瀬戸内海の離島に図書館を!大人から子どもまでみんなが学べる場所をつくるため、男木島でクラウドファンディングを実施中

香川県の高松港からフェリーで約40分、瀬戸内海に浮かぶ男木島(おぎじま)という小さな島があります。「瀬戸内国際芸術祭」の舞台のひとつとしても注目を浴び、観光客の往来も盛んです。
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写真: 小倉快子

香川県の高松港からフェリーで約40分、瀬戸内海に浮かぶ男木島(おぎじま)という小さな島があります。全周5km、人口180名ほどの小さな島ですが、近年では「瀬戸内国際芸術祭」の舞台のひとつとしても注目を浴び、観光客の往来も盛んです。

そんな男木島で、島に住む人々の学びの機会と、本を通じた島内外の人の繋がりを創るための図書館づくりのプロジェクトがスタートしました。現在、「READYFOR?」でのクラウドファンディングにも挑戦中です。

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READYFOR?プロジェクトページより retrieved June 14, 2015

3年ぶりに再開した小中学校の生徒たちの学びの機会

島の大部分が山地である男木島では、人が住む集落は港周辺の斜面に1つしかありません。年々、人口が減少し過疎化が進んでいましたが、島の暮らしに惹かれて、ここ数年でUターン・Iターンの移住者が増えてきているといいます。

島で唯一の小中学校は、生徒がいなくなったため2011年から休校状態にありましたが、2014年4月、Uターンの3世帯により生徒数6名で再開校しました。

さらに、そこから1年で、20代から30代の若者を中心としたIターン者含む26名の移住があり、現在では島の人口の1割以上が移住者となりました。

増えつつある若者居住者と島の人との交流の場をつくりたい

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2015年5月5日。移住者である若手漁師の独り立ちを祝う船のお披露目式と、端午の節句のお祝いを兼ねた餅まきの様子。島でこれらのお祝いが開かれたのは約20年ぶりとのこと。

ですが、移住者にとって不安となる、島での暮らしの課題も存在します。1つは、子どもたちにとっての学習環境。小中学校が再開したとはいえ、生徒はわずか6名。学年も異なり、人や設備資源も限られている中、子どもたちが互いに競い合い学び合うための環境は十分とはいえません。

もう1つは、島内外の繋がりを広げ、保つためのコミュニケーションの機会。もともと島に住んでいた人と移住者が顔を合わせて気軽に話せる場所や、離島に暮らしながら島外からの情報や知識に触れる機会をつくっていくことも課題となっています。

こうした不安を解消するため、子どもたちの学習の場として、そして、世代や出身の違いを越えた島民同士の交流の場としての図書館をオープンさせるプロジェクトがスタートしました。2015年1月より、長らく空き家となっていた古民家の改修作業が、島民とボランティアの手により進んでいます。

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長らく空き家となっていた古民家を改修して、島で唯一の図書館に!写真: 福井順子

未来への希望を紡いでゆける図書館をめざして

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「男木島図書館」代表の福井順子さん(右)と、男木島出身、大阪よりUターンした福井大和さん(左)夫妻

男木島図書館」の代表を務めるのは、男木島在住の福井順子さん。彼女もまた、2014年に男木島に移住してきたひとりです。福島県郡山市出身で、大学進学以降は大阪で暮らしていましたが、男木島出身である夫の福井大和さんと娘さんとともに、一家3人でのUターン移住を決めました。

図書館の開館は2015年の8月を予定していますが、現在も、"オンバ"と呼ばれる手押し車を使って移動図書館としての活動を行っています。週に一回、島の交流館や神社を周り、島民の方々に声をかけて、本の貸し出しを行います。

活動を始めた当初は、「本を読んでいたのは遠い昔のこと」といった声も少なくなかったそうですが、今では「何か面白い本は無い?」「もう読める本は全部読んだ」などと、本を求める声を多く聞くようになったそうです。

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男木島のアーティスト、「オンバファクトリー」制作の手押し車"オンバ"に本を載せて。桜の下、夢中で本を読む子どもたち 写真: 福井順子

「知の機会平等」を目標に、新たなチャレンジへ

図書館に設置する蔵書の目標は、全部で1万冊。今回のREADYFOR?でのクラウドファンディングでは、そのうち500冊の本と、本を飾るための本棚設置資金に充てるため、150万円のファンディングに挑戦しました。そして、24日でその目標を到達することに。

そのため、残りのスポンサー募集期間では、ストレッチゴールを掲げます。「合計1000冊の本+視覚障害者のための音声読書再生機の購入」のため、目標金額を240万へ。

それは、DAISY図書(Digital Accessible Information System)という、目で読書を楽しむことができない人のためのシステムを整えたいとの想いからでした。島には、目が弱い高齢者も少なからずいます。

「男木島図書館は「知の機会平等」を理念にあげています。誰であろうと、環境や身体の状況によって本を楽しむ機会を奪われないようにしたい。それが願いです」

詳しくは、こちらのアナウンスをご覧ください。

一口3,000円から支援が可能で、支援者の名前は男木島図書館の公式ホームページに掲載されます。また、チケットの金額に応じて、男木島図書館オリジナルグッズや、干しエビや塩ワカメといった男木島の特産品、「一日館長権」など、さまざまなリターンのバリエーションがあります。

本を通して人と人が繋がり、学び、語り合える場としての図書館づくり。瀬戸内海の小さな離島に新たな希望の光を灯す挑戦です。

関心を持たれた方は、ぜひこちらのプロジェクトページをご覧ください。

(2015年6月22日「マチノコト」より一部修正して転載)

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