なぜ、1年も前に問題視していた無意味なキールアーチの存在を消去できていないのか?

なぜ、1年も前に問題視していた無意味なキールアーチの存在を消去できていないのか?

設計に取り組んでいる日建設計がバカなわけでも、構造エンジニアリングのオブアラップがバカなわけでもありません。

その辺は以前にも解説していますが、

むしろ、日本の、いえ地球上で最も優秀な建築設計集団、エリートです。

今回、説明会でどこか自信なさげに、「緑を増やし歩行者の回遊性を確保した、、、」と無難発言されていた日建設計の右高氏など、野球でいえばレギュラーで先発4本柱のおひとりといってもいいでしょう。

日建設計の先発ピッチャーということは、日本の建築界の先発投手陣の一角を占める、そんな選手なんです。

名古屋駅前にある、トルネードなビルをご存じでしょうか。

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これ設計した人です。

谷口吉生さんの京都博物館も㎜精度の建築でしたが、このスパイラルタワーは、そこに垂直荷重がかかって二重螺旋になっていますからね。

構造エンジニアにとっても鉄骨加工の面々にとっても相当難しかったと思います。ただし、こういった螺旋状の構造物は自然界にも見られます。

ある種の蔓性植物とか海藻とか巻貝なんかもそうですしね。

建築には大きくふたつの流れがあって、人が雨露をしのぐための簡易な三角屋根の人工的組み合わせから進化発想したものと、自然界に存在する生物の形態から翻案進化したものと、です。

このスパイラルタワーはその両者の系譜に属するものでしょうね。

元来人は自然に存在するものに美を見出してきました、一方、人工物は人工物における美というものがありますが、このスパイラルタワーではその両方を目指されたのでしょう。

それが、なぜ新国立競技場では鈍重な動きになっているのか、爽やかな工学的息吹が感じられないのか、間に合わないかもしれないという焦燥感が支配的になっているのか。

そして、右高氏だけじゃない、日本の建築エンジニアのトップランカーたちが集まっているはずなんですよね。

しかしながら、技術者というのは「何をやるのかを決める立場」にはなく、「やると決まったことをやる立場」だから、おかしいと思ってもそれを言う立場にない、否定するなら受注するな、ということになる。

そして、無意味な偽構造の寄生体であるライズの低いキール梁や地下にうごめくタイバーの存在だけでなく、制度運用上の問題でもあります。

巨大な建造物ゆえ、建築の法律だけじゃなく、都市開発関係の法律ともリンクしているからなんです。

下記に手続きの流れ、フローチャートを掲載しますが

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この、フローが

「間に合わないんではないのか?」という不安感を呼び、

「もう、このまま一切の見直しなく突き進むしかないんだ!」と、

森喜朗元首相に言わせしめて

まるで、宝暦治水事件の薩摩藩総奉行平田靱負や

硫黄島の栗林中将のような状況を、

現場の責任者に強いている原因のひとつです。

現行の制度がどのようになっているか、なるべくわかりやすく解説しつつ

キール梁をやめて設計をやり直す方法を探ってみたいと思います。

で、現在どのポイントにいるか?といいますと

ここです。

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(2015年3月11日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)