“表現の不自由展”中止へ。大村知事、京アニ放火事件を意識したことも明かす【あいちトリエンナーレ】

県職員個人への誹謗中傷には「相手は匿名ですよね。(管轄の)東警察署とはすでに情報共有して対応しております」と怒りを露わに
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愛知県の大村秀章知事は8月3日、臨時の記者会見を開き、慰安婦を表現した少女像が展示されたことなどがきっかけで批判が寄せられた「あいちトリエンナーレ」内の「表現の不自由展・その後」について、3日限りで中止すると発表した。

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愛知県の大村秀章知事(資料写真)
時事通信社

大村知事は会見で、「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」とした脅迫FAXや、県職員個人への誹謗中傷が相次いでいることを挙げ「こういう事象があったことを多くの方に知っていただくということではないかと思います」と話した。

■誹謗中傷や脅迫文

大村知事は会見で、少女像や昭和天皇の写真が焼けているように見える展示作品への批判が集まったことについて、電話回線を増強し、管理職の県職員を中心に対応にあたったことを明らかにした。

しかし、2日には「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」などと書かれたFAXが送られてきたことなどから「芸術祭を、安全安心で楽しんでいただきたいという思いで、一番いい方策は何かということで、今回こういう判断にさせていただいた」と安全面の配慮から中止の判断に至ったとした。

「ガソリン〜」の脅迫FAXについて「京都アニメーションの放火事件を意識したものだと思うか」と記者に問われると「私はそういう風に受け止めました」と答えた。

さらに、「運営する事務局スタッフのマンパワーも完全にオーバーフローしたという現実もあります」とし、集中する批判に対し、対応する職員の許容量を超えていたことことも理由として挙げた。

事務局に対しては、「電話での恫喝・脅迫」の他に、職員の名前を聞き出し、ネットで誹謗中傷をする人もいたという。

知事は「若い女性職員がやられたらたまりません。相手は匿名ですよね。(管轄の)東警察署とはすでに情報共有して対応しております」と怒りを露わにした。

表現の不自由展は「表現の自由をめぐるさまざまな議論の契機を作りたい」という目的で実施されたというが、大村知事は「趣旨や実行委員会の思いは多くの方に届いたんじゃないか」と評価。

会見の最後には、再び、脅迫などが寄せられたことに言及し「こういうことがあったと多くの国民の皆様に感じていただければいいんじゃないかと私は思っています。私が威勢のいいことをいうことよりもこういう事象があったということを多くの方に知っていただくということではないかと思います」と話した。

そのほか、名古屋市の河村たかし市長から2日に、展示中止を含めた対応を求める抗議文を受け取ったことに対しては、「内容についてのご意見なので、私がコメントをするとコミットすることになりますので、特にコメントはありません」を言及を避けた。