テロについて、フランス人から学べること

断固とした短期的強硬策は、長期的な問題をもたらす。緊急措置は、それ自体が一つの流れを生み出し、「通常の」活動の中にその存在を定着させてしまう。
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PARIS, FRANCE - JANUARY 08: As a tribute for the victims of yesterday's terrorist attack the lights of the Eiffel Tower were turned off for five minutes at 8pm local time on January 8, 2015 in Paris, France. Twelve people were killed yesterday including two police officers as two gunmen opened fire at the offices of the French satirical publication Charlie Hebdo. on January 8, 2015 in Paris, France. (Photo by Aurelien Meunier/Getty Images)
Aurelien Meunier via Getty Images

最悪の事態を想定するといい。「シャルリー・エブド」に対する襲撃は、拡大を続けるテロ行為の第一波である。近い将来、新たな過激派集団が第二波の襲撃を成功させ、既に広まっている不安をさらに高めることになるだろう。大統領が事態を収拾するために「何か対策を取るべきだ」という強硬な主張に直面したオランド大統領は、次に何をするべきか検討している。ここで登場するのが、フランスの憲法である。同憲法は、共和国の制度が「深刻かつ差し迫った脅威」に直面している時であればいつでも、大統領が特別の権力を行使できるよう承認するものである。大統領がこの権限を一度行使すれば、通常の状況下では許される事のない、全面的な予防拘禁措置(常習犯人を再犯防止のため刑の執行後も拘禁する、保安処分の一種)を指令することも可能である。

ただし、これには一つの条件がある。大統領がこの権限を行使できるのは、最大60日間のみである。それ以降、彼は国の最高司法機関である憲法制定評議会に対し、脅威が引き続き「差し迫っている」ことを承認してもらう必要がある。同評議会がこれに同意しなければ、この非常事態は終了する。仮に非常事態が存続した場合でも、同評議会は危険度が通常レベルに回復したと判断した場合、「いつでも」大統領の権限を制限する義務を常に負っている。

この仕組みによって、フランスではテロ攻撃が成功した後にくる短期的な危機と長期的な危機を明確に区別される。短期的には、拷問を除いた強硬策をとることで、情報機関の警戒を首尾よくくぐり抜けたテロ組織のネットワークを寸断できる可能性がある。このような手段を取らなければ、破壊行為や、移民に対する世間の過剰な反応がエスカレートしてしまうリスクがあまりにも大きい。

しかし、こうした断固とした短期的強硬策は、長期的な問題をもたらす。緊急措置は、それ自体が一つの流れを生み出し、「通常の」活動の中にその存在を定着させてしまう。差し迫った危機が去った後でも、情報機関の仕事は脅威を検知することであるため、厳しい活動が不可欠であるとしてこれを擁護するであろう。

さらに困ったことに、これから起こるテロ攻撃は防ぐことができない。この世界には70億人の人間が存在するのだから、憎しみを抱えた人間はいつも何千万人と存在する。「新しい標準」が、新たなグループが起こす悲劇を防げなかった時、一般市民はより厳しい措置を要求するだろう。何十年かの時を経て、「新しい標準」はますます抑圧的になる。

この厳しい見通しを認識したフランス人は、差し迫った危機が過ぎ去った後は憲法制定評議会が「古い標準」への復帰を命令するべきだと主張している。今はまだ、同評議会が効果的な制約として機能するかを判断する時ではない。その役割は2008年の修正案によって制定されたばかりであり、幸いこの新しいシステムが実生活で施行されたことは一度もない。

いずれにせよ、このような制度的管理の手法が意味をなすのは、その独特の制度的枠組みの中においてのみである。様々な理由から、アメリカの最高裁判所はフランスのように一方的に介入して大統領をチェックすることはできないし、今後もそのようなことは起きないだろう。

しかし、彼らの基本的な見解を取り入れて、アメリカの憲法上の論理に当てはめることはできる。フランス人が正しいのは、一連のテロ攻撃に立ち向かう時、テロとの終わりなき戦いと通常の法的基準の厳守することの間に「第三の道」があると主張している点だ。議会は法の下で法案を通過させるべきで、司法に委ねてはならない。議会は緊急措置の継続を正当化するため、状況が依然として深刻かどうかを判断することになる。

この枠組みを検討してみよう。深刻なテロ攻撃への対処として、大統領が60日間の非常事態宣言を発令したとする。しかし、彼の特別な権限は、両院の過半数がさらに60日間の延長を可決しない限り失効してしまう。二つ目の期間が満期を迎えようとしている時、議会はさらに延長を認可できるが、今回は過半数が6割以上、次回は7割以上、それ以降全ての延長には8割以上の賛成票が必要となる。この「多数決を超えた手段」があれば、適当な期間内に通常のシステムへ戻せる――悲劇が壮大な規模となることを想定しなければ。

この枠組みと、それ以外の「第三の道」によるテロ攻撃の緊急事態へのアプローチは、真剣な検討に値する。議会はこの役割を果たせる。お決まりの党利党略の分裂があったとしても阻害要因とはならない。将来の緊急事態に備え、抑制と均衡(政治権力が特定部門に集中するのを防ぐために、権力相互間で抑制と均衡を保たせること)の強固なシステムが構築できる。市民的自由の強力な擁護者や、国家安全保障の提唱者は、双方に存在する。課題は、共通点を見出すことである。

他の多数の国々も、フランス人同様、新たな緊急事態体制を成立させている。テロリズムが21世紀を通じて深刻で断続的な危機を生み出すと予想してのことだ。

我々は、同じことをもっと昔にやるべきであった。