“みんなの党” 会派で復活。渡辺喜美氏が「NHKから国民を守る党」とタッグを組むも入党せず

N国党の立花代表はかつて、みんなの党の事務局に立候補を申し出たと語り「国政政党になった以上、単一争点だけではなく政策全般について議論を深めていく必要性を感じている」と渡辺氏との協力体制について言及した。
Open Image Modal
NHKから国民を守る党の立花孝志代表(左)と記者会見する渡辺喜美氏=2019年7月30日、東京・永田町の参院議員会館
時事通信社

「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表が7月30日、無所属の渡辺喜美参議院議員と、新たな会派「みんなの党」を結成すると発表した。渡辺氏はN国党には入党せず、「みんなの党」代表を務める。

渡辺氏は30日に参院議員会館で開かれた会見で、「5年ぶりの復活」と意欲を見せた。N国党のシングルイシューである「NHKのスクランブル放送化」について、「NHK改革については深く考えたことはない」と話した。

また、民営化論を唱えていたこともあったもあったと語り、NHKの受診料を個人の実感として「高い。強制的に徴収するなら課金のシステムとお値段は考えたほうがいい」と述べた。今後のNHK改革については「勉強してみる価値はある」と話すにとどめた。

渡辺氏のN国党への入党は「無理を通すことはしなかった」「双方、そこの歩み寄りはできなかった」と立花代表が説明。

みんなの党について立花代表は「アジェンダに共鳴した」とし、スクランブル放送化のワンイシュー以外にも、「国政政党になった以上、単一争点だけではなく、政策全般について議論を深めていく必要性を感じている」と語り、渡辺氏と協力して“アジェンダ”をもとに、広く政策について考えた方がいいのか悩んでいるとした。

みんなの党は2009年8月、自由民主党から離党した渡辺氏が結党した国民政党だった。

脱官僚・地域主権・生活重視を掲げていたが、2013年の参議院選挙後に、民主党(当時)と日本維新の会との野党再編をめぐって党内で内紛が起こり14人が離党。2014年11月に解党した。

立花代表「(みんなの党で)立候補したかった」

立花代表は、2009年に渡辺氏が「みんなの党」を結成したときから「ファンだった」といい、2012年12月の衆院選では、みんなの党の事務局に「立候補できないか」と電話していたことを明かした。

「政治に強い渡辺先生と、選挙に強い私がなんとかNHKスクランブル放送を実現できないかと。国民の皆さんの声を聞きながら考えたい」とビジョンを語った。

会派では、議案については話し合うものの、議決については拘束を掛けないとしている。

N国党は前日29日、北方領土問題で戦争で島を取り返すことへの賛意を引き出そうとするかのような発言をした問題で日本維新の会を除名された丸山穂高衆議院議員の入党を発表していた。

立花代表は丸山氏のほかにも元NHK職員だった国会議員など「12人に声をかけている」としている。

会派と政党は何が違う?会派をつくることのメリットとは

今回の会見で、渡辺氏は「政党ではなく会派であるので、党規拘束などはない」と語った。

政党と会派は、何が違うのか。

政党は、要件が公職選挙法などで定められている。一方で、会派は議会内のグループで、国会では慣例として、国会議員2人以上が集まってその院の議長に届ければ結成できる。

政党の要件は、▽国会議員5人以上▽直近の国政選挙で得票率が2%以上ーーのどちらかを満たす必要がある。

政党となると、政党助成法に基づき、議員数や選挙の得票数に応じて「政党交付金」を受け取れる。

会派は、同じ政党に所属する議員で構成されることが多いが、政党に所属していない議員同士で会派を組んだり、複数の政党で一つの会派を構成したりすることもある。

参議院では、かつて自民党と社民党が統一会派を組んでいたこともある。2019年7月の参院選直前の状況では、立憲民主党と社民党、国民民主党とれいわ新選組が組む会派などもあった。

会派になることの最大のメリットは、委員会での質問時間が配分されることがあげられる。

委員会とは、本会議の審議に先だって法律案などの議案の内容を詳しく専門的に検討する機関のこと。

委員会では、会派の所属議員数に比例して、代表質問の時間や各委員会の委員の配分、部屋の広さも決まる。

Open Image Modal
参院内閣委員会
時事通信社

このほか、会派ごとに「立法事務費」として原則、議員1人当たり毎月65万円が支給される。