「表現の不自由展」10月8日に再開。金属探知機でのチェックも。これまでの経緯は?

「円満な形で、日本最大級の国際芸術祭の完成を目指します」
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表現の不自由展・その後
時事通信社

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」が10月8日から再開されることが7日夜、愛知県の大村秀章知事から発表された。

展示再開にあたり、セキュリティー面で万全を期すため、来場者は抽選方式にするという。人数は、抽選1回にあたり30人。事前の教育プログラムを受けるほか、ガイドツアー付きで実施。貴重品を除く手荷物の預かり、金属探知機によるチェック、動画撮影の禁止、SNS拡散の防止などが盛り込まれた。資料には「円満な形で、日本最大級の国際芸術祭の完成を目指します」と書かれている。

14日の閉幕まで残り数日。幕開けから「表現の自由」をめぐる様々な課題を浮き彫りにしたあいちトリエンナーレは、最後に何を残すのだろうか。

 

激動の2カ月を振り返ると…

「表現の不自由展・その後」は、さまざまな理由によって美術館などでの表現の機会を奪われた作品を集め、「表現の自由」とは何かを問う企画展。政治的なメッセージも含む作品が、どのように「排除」されたのか、その経緯やその後の足跡とともに展示されている。

 

8月

8月1日に開幕すると、慰安婦をイメージした「平和の少女像」や、昭和天皇をモチーフにした作品群がネットで「炎上」した。

視察に訪れた河村たかし名古屋市長が「日本人の心を踏みにじる」として展示の中止を求め、菅義偉官房長も補助金の交付について「事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と発言。「検閲だ」「政治家の表現の自由だ」と議論となった。

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河村たかし名古屋市長と菅義偉官房長官
時事通信社

 

8月3日、「ガソリン携行缶をもってお邪魔する」などの脅迫や抗議の電話が相次ぐ事態を受け、安全面への配慮から企画展の中止が決定。わずか3日での展示中止は大きな話題となり、トリエンナーレ全体への注目も生んだ。

中止を受け、トリエンナーレに参加している海外作家を中心に、表現の機会が再び奪われたことに抗議の声も上がった。海外作家らは不自由展の再開を求めて、それぞれにステートメントを発表。自分たちの作品の展示を中止したり内容を変更したりするなどの動きが広がった。

不自由展の実行委は展示再開を求めて名古屋地裁に仮処分を申請。芸術祭の実行委員会との食い違いも次第に浮き彫りになっていった。

 

9月

一方、日本人作家を中心に市民との対話を始めようと取り組む動きも出てきた。9月10日には海外作家やアート界以外の有識者も参加する「ReFreedom Aichi」が結成された。

9月25日には、あいちトリエンナーレのあり方検証委員会が不自由展の再開を促す中間報告を発表。歓迎する声も上がり、事態は好転するかに見えた。

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揺れる「あいちトリエンナーレ2019」
Reuters/Huffpost Japan

ところが、翌26日、文化庁が手続き上の不備を理由として補助金約7800万円の全額不交付を発表した。

「来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず,それらの事実を申告しなかった」としているが、各方面から「検閲だ」と非難する声が殺到。愛知県の大村秀章知事は裁判で争う構えを見せ、ネット上では決定撤回を求める署名も多数集まっている。

そんな中、30日に大村知事が不自由展再開に向け、実行委同士で協議を始めたことを発表。再開時期は10月6〜8日とされていた。

◇「 #表現のこれから 」を考えます◇

「伝える」が、バズるに負けている。ネットが広まって20年。丁寧な意見より、大量に拡散される「バズ」が力を持ちすぎている。 

あいちトリエンナーレ2019の「電凸」も、文化庁の補助金のとりやめも、気軽なリツイートのように、あっけなく行われた。

「伝える」は誰かを傷つけ、「ヘイト」にもなり得る。どうすれば表現はより自由になるのか。

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