永寿総合病院へのクラウドファンディング、開始6日目で2000万円を突破。OB医師が企画

寄付は病院を通して看護師らに1人5万円の支援金として渡す。病院は収入が半減して大幅な赤字になっており、勤務調整が行われているという。
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永寿総合病院の職員に手当てを配るためのクラウドファンディング
クラウドファンディングのサイトより

新型コロナウイルス感染症の大規模なクラスターが発生した永寿総合病院(東京都台東区)の職員に手当てを渡そうというクラウドファンディングに、多くの寄付が集まっている。

同病院で勤務経験のある医師らが6月29日、「頑張れ、永寿総合病院:地域医療の砦を守ろう」を立ち上げ。開始から6日目の7月4日午後3時すぎに目標金額の2000万円を突破した。

 

満額の給与を受け取れない看護師も

永寿総合病院では、3月23日に入院患者2人の感染が判明。その後急速に感染が広まり、患者と職員ら計214人が感染、入院患者43人が死亡した。病院は3月25日から外来診療と新規入院の受け入れを停止。2カ月以上経った5月26日に一部外来診療を再開、6月8日からは他の診療も順次再開した。

クラウドファンディングを呼び掛けたのは、永寿総合病院で勤務経験のある医師3人が共同代表を務める「永寿総合病院を応援する会」。

同会によると、同病院の収入は半減し大幅な赤字になっている。運営費用を抑えるために出勤調整が行われ、満額の給与を受け取れない看護師などの職員もいるとする。病院はすでに公的な支援を受けているものの、厳しい状況が続いているという。

 

職員に1人5万円の手当てを 

同会は「新型コロナウイルス感染症への対応による精神的・肉体的疲労。収入の減少による経済的ダメージ。このままでは、医療従事者が先に倒れてしまいます」「職員の生活を守らなければなりません」と訴える。

共同代表のひとり、あさくさ田原町内科クリニック院長の阪口真之さんはプロジェクトページで「あの期間中、身の危険も顧みずに最前線で闘ってくれた医療従事者の方へ、いま私たちが協力してできることをしたい」と立ち上げの経緯を語る。 

さらに今後第2波、第3波も懸念される中、院内感染があった医療機関が運営困難になれば医療崩壊が起きかねないとし、「これはafterコロナの時代に社会全体で向き合うべき問題です」と呼び掛けた。

集まった2000万円の寄付は、看護師約400人に病院を通して1人5万円ずつ支援金として渡す。4000万円集まれば、看護師以外の職員約400人にも、同額の手当てを届けるという。

 

「励まされています」

寄付した人たちからは「現場の大変さ、皆様の熱意に頭が下がります」「 関係者の方々の安心に繋がりますように」など、温かいコメントが寄せられている。

永寿総合病院の公式ツイッターも、この動きに感謝。「応援メッセージに職員が励まされています」などと投稿している。

同病院の湯浅祐二院長は7月1日に記者会見し、朝日新聞デジタルによると、感染拡大した理由を「他の病院に比べて新型コロナへの対処が甘い状況があった」などと説明し謝罪。看護師や医師計3人の手記も公開され、話題となっていた。