Go Toキャンペーン、“東京除外”に疑問の声。尾身氏は「合理的」と強調【新型コロナ】

コロナ分科会後の会見で、尾身茂会長は「東京を例外にしたことは合理的な判断」と強調。ネットでは効果を疑問視する声が広がる。
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新宿・歌舞伎町を行き交う人たち=7月9日午後、東京都新宿区
時事通信社

政府の旅行需要喚起策「Go Toトラベル」キャンペーンは、東京発着を対象外とする運用に見直された。一方、新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にある首都圏などの他県は、予定通り対象となる見込みだ。

これに対し、ネットでは「東京だけ除外しても意味はない」と疑問視する声が上がる。

 

■「都民に還元されないのはおかしい」

都内では連日3桁の新規感染確認が続いている。感染者数が増えているのは、東京だけではない。7月16日には、埼玉県49人、神奈川県48人、千葉県32人、大阪府66人で、4府県のいずれも緊急事態宣言解除後に最多となった

こうした状況に、SNSではキャンペーンを疑問視する声が上がっている。

「東京を除外しても、全国でGo Toを中止しないと意味ない」
「Go Toキャンペーンを実施しなければ旅行業界が生きていけないのであれば、旅行業への直接支援を行えばいいのでは…」
「東京から来てほしくはないけど、大量の税金が使われる事業が都民にだけ還元されないのはおかしい。コロナが収束した後に全国一律でやるべきだ」

 

■「どこかで線引きが必要」

新型コロナウイルスの対策を協議する分科会後の記者会見で、会長の尾身茂氏はキャンペーンについて「新しい生活様式に基づく旅のあり方を考え、知ってもらう契機に」と強調した。

「新しい生活様式に基づく旅のあり方」とは、何を指すのか。

尾身氏は「三密、大声を出す行為、発熱など体調不良の場合は旅行を控える」と説明。さらに、感染者数が増えている若者や重症化しやすい高齢者の団体旅行、大人数の宴会を避けることを挙げた。

東京都のみを事業の対象外とすることに対し、尾身氏は「東京の感染者数は、他とは違う。東京は、接待を伴う飲食店が感染拡大の一つのスポットになったと見ている。どこかで線引きをしなければならず、東京を例外にしたのは合理的な判断」と述べた。

 

■イギリスでは食事割引

経済活動の再開か、感染拡大の防止か。

ウォールストリートジャーナルによると、Go Toキャンペーンに類似した事業がイギリスでも提案され、論争が起こっているという。

イギリス政府の「Eat Out to Help Out」は、8月にレストランやパブでの食事に50%割引(1人あたり最大約13ドル)を提供する計画。 「この計画が、ウイルスの蔓延を助長することになる可能性がある」との批判も上がっているという。