入店拒否は「日常」。盲導犬が足元に寄り添う写真を、視覚障害の女性が投稿したわけ

「他の人に迷惑がかかる」「動物はだめ」。様々な理由で、盲導犬と一緒に入店することを断られる人たちがいます。
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「盲導犬って、お店に入ったらどうするかご存知ですか?」――。

視覚障害者の女性がSNSで投稿した、盲導犬と写った1枚の写真に、反響が広がっています。

投稿したのは、大阪市の会社員浅井純子さん(47)。

浅井さんは、30歳の時に目の痛みや視界の白濁、視力低下などを発症。角膜の周りにできる進行性の潰瘍「モーレン潰瘍」と診断され、その後両目を失明しました。5年前から、オスの盲導犬ヴィヴィッドと生活しています。

 

盲導犬、お店でどう行動する?

浅井さんは3月下旬、次のようにツイートしました

<盲導犬って、お店に入ったらどうするかってご存知ですか?歩き回ると思われるかも知れませんが、実は盲導犬は入店すると、必ずテーブルの下もしくは使用者の足の下に待機をします。でも、これを知らなかったら入店を拒否する気持ち、分かります。だから盲導犬の賢さについて知って頂けると嬉しいです。>

ツイートには、飲食店で着席する浅井さんと、浅井さんの足の下で待機するヴィヴィッドが写った写真も貼っていました。

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浅井さんがTwitterで投稿した写真。ヴィヴィッドは、浅井さんの足元で待機している
浅井純子さん提供

この投稿は、4月2日時点で約17万件の「いいね」が付き、大きな反響を呼んでいます。

 

何度も、何度も断られた

ヴィヴィッドが浅井さんの元にやってきて初めて一緒に行った店で、浅井さんは店側から入店を拒まれました。自ら体験して初めて「断られることが本当にあるんだ」と知り、驚いたと言います。

その後も「他のお客さんの迷惑になる」「盲導犬が待機するスペースがない」「受け入れる態勢が整っていない」などの理由で、様々な店で断られる体験をしました。

入店を拒否されるのは普通にあること。日常です。最初は何でダメなの?と怒りがわきました。でも店内での犬の様子を知らなければ、お店側が敬遠してしまう気持ちも分かるな、と考えるようになりました

認知されていない現状をひとつずつ変えていこう、と思い立った浅井さん。盲導犬や視覚障害者のことを子どもの時から知ってもらいたいと、大阪府や兵庫県などの小学校を訪問し、児童生徒に向けて講演をするようになりました。

今回ツイートしたのも、「盲導犬ユーザーの入店が拒否されることがないように」との願いがあったからです。写真を見れば、盲導犬のための特別なスペースは必要なく、使用者の席の範囲に収まっていることが分かります。

 

受け入れは法律で義務付けられている

盲導犬を連れてレストランやカフェに入ったり、電車やバスなどに乗ったりすることは、身体障害者補助犬法(補助犬法)などで認められ、施設側は受け入れを義務付けられています。

補助犬法は、施設や他の利用者に「著しい損害が発生」する恐れがある場合や「やむを得ない理由がある」場合を除き、盲導犬や介助犬などの同伴を「拒んではならない」と定めています。

補助犬法の施行から20年近くたちますが、盲導犬や法律の規定への理解が定着しているとは言えません。

認定NPO法人「全国盲導犬施設連合会」が2020年、盲導犬ユーザー673人を対象にした調査(回答数643人)で、「過去1年間(2019年1月〜12月)で盲導犬の受け入れを拒否されたことがある」と答えたのは336人(52.3%)と半数以上でした。このうち、4回以上拒否された人は約3割を占めています。

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全国盲導犬施設連合会の資料を基に作成
HuffPost Japan

拒否された場所別(複数回答)では、レストランや喫茶店などの飲食店が77.4%と突出。続いて、病院24.7%、電車・バス・タクシーなどの交通機関20.8%、宿泊施設19.9%などでした。

拒否の理由では、「犬などの動物がだめ」「他の人に迷惑がかかる」「犬を店の外で待たせる、外の席の利用など条件を付けられた」「受け入れの前例がない」などが多かったです。

浅井さんは「断られる経験を続けるうちに、『もういいや』と諦めて行く場所を狭めてしまう視覚障害者も多いです」と話します。

 

認知が広がれば、変えられる

それでも、盲導犬が外出時にどう行動するのかを伝えることで、店側の対応が変わることもあります。

浅井さんは以前、話題のレストランで断られた時、『とにかく一度行くことを許してもらえませんか』と交渉し、店側が渋々承諾したことがありました。

「ヴィヴィッドは、いるかいないか分からないほど静かに、私の足元で待機していました」

その様子を見たオーナーはその後、認識不足だったと浅井さんに謝罪し、「これからもお越しください」と伝えたそうです。

日本補助犬協会が公表しているデータによると、盲導犬の数は全国で928頭(2019年10月時点)。最も多い東京都でもわずか105頭で、街で見かける機会がない人も多いかもしれません。

「ほとんどの人にとって盲導犬は身近な存在ではありません。投稿や写真などを通じて盲導犬の行動や生活を認知してもらうことで、理解は一歩ずつ進んでいくはずです」

 浅井さんは、ヴィヴィッドとの暮らしを伝える子ども向けの動画をYouTubeでも発信しています。

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浅井純子さんとヴィヴィッド
浅井純子さん提供

(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)