日本のファッション大手ユニクロは、2月後半からアメリカの店舗で「モデスト・ファッション（控えめなファッション）」ラインを展開する。イスラム教徒の女性に向けて、頭髪を隠すヒジャブなどを販売する予定だ。
デザインを担当するのはイスラム教徒の日系イギリス人デザイナー、ハナ・タジマ氏だ。ユニクロとタジマ氏は、2015年にも東南アジアで今回のモデスト・ファッションと似たラインを展開し、成功している。
ユニクロ×ハナ・タジマが正式にスタートするのは2月26日。ヒジャブやケバヤなどのイスラムの伝統的な服だけではなく、ゆったりしたシルエットのスカートや長袖のトップスなど、西洋風デザインの商品も取り扱う。値段は10〜60ドル（約1100〜6800円）と手ごろだ。
タジマ氏はハフポストUS版に、もっとバラエティに富んだ服をつくりたかったと話してくれた。その理由を彼女はこう話している。「『控えめ』という言葉は人によって意味が違います。ヒジャブだけでなく、もっとゆったりとしたシルエットの服やもっと体を隠す服、もっと裾や袖の長い服も提供したいのです」
これまでにドルチェ&ガッバーナやDKNY、MANGOといったファッションブランドが、イスラム圏の女性をターゲットにした洋服を発表してきた。しかし、今回のユニクロの試みは、これまでよりも優れているといえそうだ。
その理由の一つとして、デザイナーが実際にイスラム教徒だということが挙げられる。29歳のハナ・タジマ氏は、18歳の時に改宗してイスラム教徒になった。父親は日本人で母親はイギリス人だ。この国際的なバックグラウンドが、多様な人たちが集まるイスラムの世界を表しているといえるだろう。
多様なイスラム教徒たちのために、バラエティに富んだ「控えめな服」が用意されている。頭を包むファッションには、伝統的なスカーフに近い「ヒジャブ」、ゆったりしたシルエットの服の下に着るぴったりした 「インナーヒジャブ」、そして帽子のように髪を隠す「インナーヘッドバンド」の3つがある。これほどの多様性は他の大手ブランドには見られない。
ユニクロ x ハナ・タジマ ヘッドカバー
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Open Image Modal (credit:Uniqlo x Hana Tajima)
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Open Image Modal (credit:Uniqlo x Hana Tajima)
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Open Image Modal (credit:Uniqlo x Hana Tajima)
また、ブランドとデザイナーお互いの強みを生かすコラボレーションでもある。ユニクロは機能性の高い素材で知られていて、今回のヒジャブやヘッドバンドは、通気性が高く水分を外に逃がす素材「エアリズム」で作られている。38℃以上にもなる中東の湾岸諸国でヒジャブを着て暮らすイスラム教徒の女性たちにとって、快適なヘッドスカーフになるだろう。
「コラボレーションの話を頂いた時、最初に頭に浮かんだのはユニクロが持つ知識や技術でした。イスラムのファッションは多くの素材をつかうことが多いので、通気性がとても大切なんです」とタジマ氏は述べている。
また、広告も多様性に富んでいる。ドルチェ&ガッバーナはイスラムファッションの広告に白人女性のモデルしか起用しなかったが、ユニクロは、イスラム教徒の女性とイスラム教徒ではない女性をモデルに起用している。モデルの一人ユナさんはマレーシア出身のイスラム教徒だが、もう一人はイスラム教徒ではないとタジマ氏は述べている。
控えめであるだけでなくファッショナブルである点も忘れてはいけない。服は多様性に富んでいて、足首や首、髪を隠す服もあれば、隠さない服もある。マリーゴールドイエローやアボカドグリーンといった鮮やかな色や、エレガントなスカートやドレス、繊細で派手すぎないデザインの服が用意されている。ただ控えめな服であればどこにでもあるが、ユニクロのコレクションはお洒落でもあるのだ。
これまでいくつかの大手ブランドがイスラムファッションを作ってきた。しかし、今回のユニクロのモデスト・ファッションラインは、ブランドが作るイスラムファッションはどうあるべきかを見せてくれるといっても過言でないだろう。
ユニクロビジネスの軌跡 写真集
記者会見する柳井会長(01 of14)
Open Image Modal記者会見するファーストリテイリングの柳井正会長＝ 2013/04/25、香港 \n\n撮影日： 2013/04/25 (credit:時事通信社)
ユニクロ銀座店(02 of14)
Open Image Modal開店したカジュアル衣料品店「ユニクロ銀座店」（東京・銀座） \n\n撮影日： 2012/03/16 (credit:時事通信社)
ユニクロ銀座店の外国人スタッフ(03 of14)
Open Image Modalカジュアル衣料品店「ユニクロ銀座店」で配置された外国人スタッフ。「コンシェルジュ」として外国人客への対応を中心に行う（東京・銀座） \n\n撮影日： 2012/03/16 (credit:時事通信社)
ソウルのユニクロ旗艦店(04 of14)
Open Image Modalソウル・明洞にオープンしたユニクロの旗艦店（韓国） \n\n撮影日： 2011/11/11 (credit:時事通信社)
郵便局とユニクロがコラボ (05 of14)
Open Image Modalユニクロの防寒肌着「ヒートテック」とメッセージを郵送できるサービス「あたたかめーる」を手にポーズをとる女優の黒木メイサさん（東京・目黒区の恵比寿ザ・ガーデンルーム） \n\n撮影日： 2011/10/20 (credit:時事通信社)
ユニクロのニューヨーク５番街店(06 of14)
Open Image Modalカジュアル衣料品店「ユニクロ」のニューヨーク５番街店の開店前に並ぶ人々。約４６００平方メートルの売り場面積は同店として世界最大となる（アメリカ・ニューヨーク市内） \n\n撮影日： 2011/10/14 (credit:時事通信社)
大阪・心斎橋にユニクロ「グローバル旗艦店」がオープン(07 of14)
Open Image Modal「グローバル旗艦店」として開店したユニクロ心斎橋店（大阪市中央区） \n\n撮影日： 2010/10/01 (credit:時事通信社)
品川駅に登場したヒートテック専門店(08 of14)
Open Image ModalＪＲ品川駅構内に登場したユニクロの「ヒートテック」専門店。朝のラッシュ時には邪魔にならないよう撤去される（東京・港区） \n\n撮影日： 2010/10/22 (credit:時事通信社)
錦織、ユニクロとウエア契約(09 of14)
Open Image Modalユニクロとスポンサー契約し、記者会見で握手する男子プロテニスの錦織圭選手（左、ソニー）とファーストリテイリングの柳井正会長兼社長（都内のホテル） \n\n撮影日： 2011/01/26 (credit:時事通信社)
上海のユニクロ(10 of14)
Open Image Modalユニクロ（ＵＮＩＱＬＯ）が海外進出戦略の柱として開店したグローバル旗艦店の「上海・南京西路店」（中国・上海） \n\n撮影日： 2011/07/29 (credit:時事通信社)
ビックカメラとユニクロの共同店「ビックロ」 (11 of14)
Open Image Modal家電量販店ビックカメラとカジュアル衣料品ユニクロが共同で開店した「ビックロ」＝２７日午前、東京都新宿区 \n\n撮影日： 2012/09/27 (credit:時事通信社)
開店した「ビックロ」(12 of14)
Open Image Modal家電量販店ビックカメラとカジュアル衣料品ユニクロが共同で開店した「ビックロ」の店内＝２７日午前、東京都新宿区 \n\n撮影日： 2012/09/27 (credit:時事通信社)
米西海岸にユニクロ初出店(13 of14)
Open Image Modalユニクロ米西海岸１号店の開店式に出席した柳井正ファーストリテイリング会長兼社長（左端）＝５日、アメリカ・サンフランシスコ \n\n撮影日： 2012/10/05 (credit:時事通信社)
マニラのユニクロ(14 of14)
Open Image Modal買い物客でにぎわうフィリピンの首都マニラのカジュアル衣料品店「ユニクロ」＝６月。 \n\n撮影日： 2012/06/00 (credit:時事通信社)