長谷川豊氏、衆院選出馬を表明 「殺せ」撤回も「『自業自得』の線引きをするのが政治だ」

「立候補までは、ある程度の自由裁量はある」とも。
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Yuriko Izutani /Huffington Post Japan

フリーアナウンサーの長谷川豊氏が2月6日、千葉市内で記者会見を開き、日本維新の会の公認候補として次の衆院議員選挙に立候補することを発表した。

長谷川氏は2016年9月、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」などとしたタイトルのブログを投稿。その後、批判を受けて、ブログの「殺せ」という文言などについては削除し謝罪した。また、当時出演していた全番組を降板した。

記者会見で、長谷川氏は、一部の人工透析患者を「殺せ」と書いたブログについて、病院での取材で初めて問題行為をする患者を見た驚きで「温度が高くなって」しまったとして「多くの方に偏見を与えかねない」ブログを書いたと釈明した。

日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「不適切なブログでの発信があり、すべての仕事を失う状態になっていた」と紹介。一方で、かねてから松井一郎・大阪府知事らとも交流があったとして、「あの発信自体は個人的にも言語道断と感じております、ただ、本人の話を聞くと、本音の部分ではそうではなく、表現が不適切だったということが良くわかった。『維新スピリッツ』や基本的政策でもほぼ一致している」と擁立の理由を表明した。

■「『自業自得』の線引きをするのが政治だ」と主張

一方で、長谷川氏は、この日の記者会見で、社会保障制度改革に取り組むとして、「自動車の運転免許制度」を土台にした医療保険制度に改革することで「病気になる人を減らすべき」だと主張。「『自業自得の線引きが難しい』という意見は100%間違っている。小学生でも言える。『自業自得』の線引きをするのが政治だ。そういう論者は猛省していただきたい」と主張した。

ハフィントンポストなどの対談でも長谷川氏は、「人工透析を受けている患者のうち、医師の指示を守らない『自業自得の患者』が1〜2割おり、その人々に対しては他の患者と同額の医療費補助を受けるべきではない」として、「医療は平等に受けられるという考えは違う」との考えを明らかにしていた。

なお、長谷川氏の見解は、予防医学の世界からも誤りが指摘されている。千葉大予防医学センター・近藤克則教授は、「出生時の暮らしや環境、そこから始まる「ライフコース」が成人期の疾病や健康に影響する」ことや、病気の人を減らすという目的に対処するためには「自己責任や保健指導だけでは足りないことが明らか」と指摘している

■騒動から半年足らず

騒動から半年足らずでの出馬表明について、記者会見では「発言に傷つけられた透析患者さんから見て短いのでは」との指摘もあった。

長谷川氏はその指摘に対して、「人工透析の患者を訪れ、何人もの方々と膝を突き合わせて話した。『言わんとすることはわかるが、どれだけ傷ついて苦しい思いをすることはわかってくれ』と、涙目で仰る方もいた。全部受けとめて、その上で前に進むためには、一度、日本をシステムから改革していこうと言っている集団の一員となることは、当選まではわからないが、立候補までは、ある程度の自由裁量はある。立候補までなら、傷つき怒った透析患者の方々にも許容していただける範囲なのでは。ご理解いただけるまで、根気よくお話していきたい」とした。

また、「『一度失敗した人間が反省と謝罪をしてもう一度やり直す姿を見せてみろ』という後押しをいただいた。千葉のみなさんのために働きたい。逆風だが、順風だけでは変えられない日本の政治があるのが事実」とも話した。

衆院千葉1区からは、他に自民現職の門山宏哲氏、民進現職の田嶋要氏、共産新人の大野隆氏が立候補を予定している。

長谷川氏は、フジテレビに勤務していた2012年6月、「ニューヨーク滞在関連費用の不正使用」を理由に降格処分を受け、翌年退社した。その後、フリーアナウンサーとして活動していた。