国会に赤ちゃんを連れてきたのは、スペインの政治家が初めてではない。世界各国での動きは?

スペインの女性政治家が、自分の赤ちゃんを国会へ連れて行った。でも、彼女だけじゃない。
Open Image Modal

スペインの左派ポデモス党の議員、カロリーナ・べスカンサ氏は1月13日、スペイン国会に、自分の赤ちゃんを連れて行き、批判と称賛を浴びた。

反緊縮財政策を掲げるスペインのポデモス党の議員のカロリーナ・べスカンサ氏は1月13日に国会に赤ちゃんを連れて行ったことで、国際ニュースの見出しになり、彼女に敵対する人たちからは、怒りを買った。彼女の賛同者は、1人の働くお母さんが、母親としての責任を世に示したことを称賛した。この時、スペイン国会では12月の選挙を受け、ヒートアップした政治論争が繰り広げられていたが、スペインの評論家や一部のフェミニストグループは、彼女の行動を激しく非難した。

べスカンサ氏が所属する政党、ポデモス党は、彼女が「仕事と家庭をうまく両立させようとしながらも、今日、それが出来ないでいる全ての女性を代表して、意思表示のパフォーマンス」を見せようとした、と述べた。それは、社会政治的な意味合いを含み、きちんと計画された、インスピレーションを与えるような行動だった。女性たちはこれまでも様々な国で、党の所属が異なっても同じようなことを実践、いろいろな意味合いをもたらし、反応を引き起こしてきた。

Open Image Modal

国会に赤ちゃんを連れてきた初期の頃の女性の中に、カナダの新民主党のミッシェル・ドックリル氏がいる。彼女は1998年、オタワの国会で、当時の社会民主党員が欠席ができなかったので、7カ月の赤ちゃん、ケンジー・ジェームズちゃんを連れて来た。議長は、カナダ国会への「食事や食べ物の持ち込み」は禁止するという規則をそれとなく引き合いに出し、彼女に同じことを繰り返さないよう要求した。

2012年には、カナダの議員、サナ・ハッサイニア氏が、3カ月の赤ちゃんを連れて、庶民院に現れた。理由は、彼女の夫の都合が悪く、赤ちゃんの面倒が見れなかったからだ。彼女はすぐに、赤ちゃんが起こした騒ぎで、議長から警告を受けた。彼女の同僚は写真を撮ったが、その撮影行為はカナダの国会では禁じられていた。べスカンサ氏とほとんど同じで、ハッサイニア氏も、働く親が毎日直面する困難を表現し、自国で議論を引き起こした。「こうしたことが考慮されないと、女性、特に若い女性が政治に関わることを思いとどまってしまうようになります。これは非常に残念なことです」。ハッサイニア氏は当時、こう語った

「アルゼンチンの議員、ビクトリア・ドンダ氏は、国会開催の最中に授乳をしました。これを正しいことだと思いますか?」

アルゼンチンでは2015年7月、急進市民同盟所属のビクトリア・ドンダ議員が、彼女の赤ちゃん、トリルセを国会に連れて行くことを止めなかった。そして、彼女は自分の席で授乳もした。理由は赤ちゃんがお腹が空いていたからだ。彼女の行動は、世界中で批判と称賛を招いた。この行動は、アルゼンチン国内の公共の場での授乳についての物議を加速させた。

その数カ月前、チリで、共産党の議員、カミラ・バジェッホ氏が、国の税金システムをめぐる採決の場に、当時もうすぐ2歳になる娘を連れて出席した。前議長、ホルヘ・スチョルソン氏からの批判的な数件のツイートが、議員が職場に子供を連れてきてもいいかどうかという、議論を巻き起こした。

「カミラ・バジェッホ氏が、(国会での)議会に、半円の建物(=議事堂)に子供を連れて出席したのは、不適切です/子供を連れてくるのは禁止されるべきです/彼女の給料で、ベビーシッターを雇う余裕はあるはずです」

「議会の場に子供を連れてくるということは、バジェッホ氏がエリート主義者だということを示しています/彼女は規則が自分には当てはまらないと、思っているのでしょう」

しかし、バジェッホ氏を怖じけさせるのは、簡単ではない。彼女は、2011年にチリを揺るがした学生運動のリーダーで27歳。国会で最年少の議員だ。

「いつの日か、大臣が赤ちゃんを連れてくることだけじゃなくて、男性の大臣が赤ちゃんを連れてくるのを見れたらいいと思います。これは、女性だけの話ではありません」

「不正行為で非難されている誰かさんが、私に経済的、そして母性について忠告してくるなんて、おかしな話です」。バジェッホ氏は、このツイッター論争をこう締めくくった。

衆議院事務局広報課によると、日本では、慣例として議員本人にしか議場に入れず、これまでに赤ちゃんを連れて来た議員はいない。「特段の決まりや法規はない。しきたりになっている」(同課)という。また、国会議員の子育てをめぐっては、自由民主党所属の宮崎謙介氏は、21日間の育児休暇を取るつもりだと公表し、議論を呼んでいる。わずか2%の父親しか、与えられた育児休暇を取らないこの国では、1つの無節制だと一部から思われている。宮崎氏の同僚、日本の国会議員の中には、宮崎氏の決断を「評判を落としている」と言ったり、国民に奉仕する時間を休暇に使うことを非難したりした者もいる。

ヨーロッパでは、フォルツァイタリア党の議員、リチア・ロンズーリ氏が、この議論の主役を演じた。なんとヨーロッパ議会でのことだ。ロンズーリ氏の娘のヴィットリアちゃんは現在5歳になるが、彼女は生まれて数カ月の頃から、ヨーロッパ議会の常連だ。

リチア・ロンズーリ氏は、生まれたばかりの赤ちゃんを連れてヨーロッパ議会に現れた。これらの「女性+母親+働く人」に拍手を送ろう。

フランスでは、国会の場に赤ちゃんが現れたことは、まだ一度もない。しかし、数週間後には、フランスのデジタル担当大臣のアクセル・ルメール氏が、出産予定で、情報化社会に向けたデジタル共和国構想の法案を推進するのに間に合わないよう、職場復帰を遅らせるという彼女の決断は、キャリア対母業に関する問題で、女性が選択する様々な立場の1つの例となっている。

彼女の決断は、前法務大臣のラチダ・ダティ氏の決断とは、対照的だ。ダティ氏の場合は、2009年に娘ゾラちゃんを出産後、5日後に職場に戻った

ルメール氏は、ダティ氏の姿勢を尊重はするが、根本的に彼女とは考え方が違うと述べた。「育児休暇は、権利というだけではなくて、現実のことであり、お母さんと赤ちゃんの両方にとって、生理的、物理学的、心理的に必要なことなのです」。

スペインでは2011年11月にも、ヒートアップした論争があった。ソラヤ・サエンス・デ・サンタマリア氏が選挙で保守派の国民党が勝利した後、サパテロ氏率いるスペイン社会労働党とともに、政権移譲を交渉するために育児休暇をとらなかった

冒頭のべスカンサ氏の話に戻ろう。最近の一連の論争の最中、理解されていないのは、単純なことだ。彼女が、赤ちゃんを連れて行くと決めたのは、スペインの国会議員が集うカレーラ・デ・サン・ヘロニモの議事堂で、初めてのことではないのだ。1991年、激しい予算議論が交わされる中、統一左翼党の議員、アンへレス・マエストロ氏が、国会に赤ちゃんを連れてきて、授乳をした。しかし、彼女は、フェリックス・ポンス氏が用意したオフィスでこっそり授乳した。彼女は、自分の席で授乳している写真を撮られることは嫌だったからだ。彼女は露出を恐れた。それから間もなくして、写真家が、共産党の国会で、以下の写真を撮った。一般進行役、フリオ・アンギタ氏のスピーチの間に。

1991年 二ネス・マエストロ氏は、国会へ赤ちゃんを連れて行った...スペイン共産党 。議員議会ではなくて、エル・ムンド公文書による。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

【関連記事】

Open Image Modal