もう前を向いて進もう・・・自民党に代わる受け皿づくりを

一番重要なことは、この「一強他弱」と言われる安倍自民党、それに対抗しうる、政権交代可能な国民の選択肢を、基本政策の一致を大前提につくっていくことだ。

違憲立法=安保法制が参院で強行採決され、成立した。この「立憲主義」と「民主主義」への重大かつ不埒な挑戦も、この週末の世論調査では大した内閣支持率の下落をもたらさなかったようだ。

政党の支持率も、自民党の微減、野党各党の横這いに終わった。その理由は明らかであろう。そう、いくら安倍自民党が「国民無視の傲慢・慢心の政治」をしても、それに代わる受け皿が野党側にないという思いが国民にあるからに他ならない。

だから、もう今は、野党が何を言っても「負け犬の遠吠え」にすぎないのだ。政治家ならば、政党ならば、この流れを食い止め、反転させていくためには選挙で勝つしかない。だから、そのための準備を早速始めようと、特に野党の政治家には呼び掛けたい。

一方で、国民の皆さんには、「リメンバー・パールハーバー」ならぬ「リメンバー9・19」と呼び掛けたいと思う。

自民党が慢心するのも、世論調査で安倍内閣の支持率が一時的に下がっても、法案の衆院通過時にそうだったように、ひと月後にはまた元に戻る。「熱しやすく冷めやすい」「人のうわさも75日」「のど元過ぎれば何とやら」ということわざに象徴されるように、「世論なんてそんなものさ」と高をくくっているのだ。

ましてや、来年夏の参院選までには、国民なんて今回のことはすっかり忘れてしまっているだろう、これからは経済に万全を期していくとでも言っておけば簡単に国民は騙せるだろう。それが自民党の魂胆なのだ。そういう意味では、これからは、政治家だけでなく「民度」も問われているとも言えよう。 やはり、「リメンバー9・19」なのだ。

民間では今後、憲法学者をはじめ法曹界を中心に違憲訴訟も起こるだろう。シールズ他若者やお子さんを持つママさんたちの決起も続くかもしれない。こうしたイナーシャ、モーメンタムをこれからもつないでいくためにも、国会では、この安保法制を一旦白紙に戻し、合憲の範囲内で現下の安全保障上の要請に応えていく新たな法制を検討していく必要もあるだろう。その際には、できれば廃案になった維新の独自案をベースにしたいものだ。

しかし、一番重要なことは、この「一強他弱」と言われる安倍自民党、それに対抗しうる、政権交代可能な国民の選択肢を、基本政策の一致を大前提につくっていくことだ。国民にその受け皿と認知していただける政治勢力をつくっていくことだ。そして、次期衆院選(総選挙)での政権交代を目指していく。「政権交代なくしてストップ・ザ集団的自衛権なし」だからだ。

ただ、その前に、来年夏には参院選がある。ここでは少なくとも与野党を逆転させ、この違憲立法に基づく自衛隊出動の国会承認は、参院段階で食い止めていく必要がある。そのためには、「民意」のイナーシャ、モーメンタムが続いていくことが死活的に重要となるだろう。

(2015年9月22日「江田けんじ公式ブログ」より転載)