あらゆるモノがインターネットにつながる時代、そして科学的研究の将来

今後、IoTによって私達の生活は確実に変わります。
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English computer scientist Tim Berners Lee, best known as the inventor of the World Wide Web attends the Cannes Lions 2015, International Advertising Festival in Cannes, southern France, Tuesday, June 23, 2015. Berners Lee implemented the first successful communication between a Hypertext Transfer Protocol (HTTP) client and server via the Internet. The Cannes Lions International Advertising Festival is a world's meeting place for professionals in the communications industry.(AP Photo/Lionel Cironneau)
ASSOCIATED PRESS

6月8日、ティム・バーナーズ=リー氏が60歳の誕生日を迎えました。面識はありませんが、ティムがWorld Wide Web(www)を発明してくれたおかげで、筆者を含む数十億人の人々が毎日インターネットを利用できています。彼の功績に心から敬意を表します。私達は生活のあらゆる側面で、インターネットから何らかの影響を受けています。特に今日の企業はインターネットなしでは機能できません。(ファクシミリが登場した時、「画期的な技術だ」と思ったことを思い出してください。)しかし、おそらく他のどの分野よりもインターネットの影響が大きかったのは科学的研究です。それは印刷機の発明以来、初めてのことでした。

今や、日常使用する物理的なモノがインターネットに接続していて、他のデバイスとの識別のためのIDを持つ「モノのインターネット」(IoT:Internet of Things)の時代を迎えつつあります。IoTに組み込まれたモノは周囲のモノやデータと接続しているため、単体のときよりもその重要性が高まります。複数のモノが一体となって機能している状態は、「アンビエントインテリジェンス(環境知能)」を有している状態です。

今後、IoTによって私達の生活は確実に変わります。インターネットベースのHVAC(冷暖房空調設備)を導入しているビルの場合、エネルギー効率を監視し、必要なタイミングと場所により正確な量の電力を供給できます。人がモノと対話できるかどうかは、差し迫ったニーズや緊急のアクションに応じて変化する可能性があります。一人暮らしの高齢者にとっては、この機能が命綱になり得ます。一定の動作パターンが中断した場合に、デバイスが自動的にオン/オフしたり、アラートを家族に送信したりします。また、テクノロジー業界やエンターテインメント業界にとっては著作権の保護およびデジタル制限管理の適用が大幅に容易になり、知的財産権の侵害に対抗できるようになります。

STM(科学・技術・医学)分野の出版においては、IoTが研究者にメリットをもたらすことがすでに証明されています。研究論文全体を見ると、研究機関、研究助成団体、および平均29件の参考文献にリンクしています。何より、研究論文は研究用データセットにリンクしています。研究室の機器はすでに相互接続しており、データの生成が可能です。研究者は生成されたデータを、クラウドまたはホスティングされているサーバーで細かく分析します。言うまでもありませんが、研究者のデータセットを他の研究論文にリンクする、または独立したデータとして「パブリッシュ」するという方法で公開するかどうかを最終的に決定するのは研究者自身です。

エルゼビア実施の調査で、研究用データセットの90%以上がハードドライブに保存されており、発見できない状態であることが明らかになっています。しかし、すでに生成されているデータセットを改めて生成するプロジェクトに資金を提供せずに済むように、研究助成団体が研究者に対してデータを再利用可能にすることを要求するようになれば、この状況は急速に変わる可能性があります。また、多くの出資者が、現在行われている研究の再現性についての議論が進展することを望んでいます。そこで、エルゼビアをはじめとする出版社は現在、研究論文と同様にデータセットにも固有の識別子(DOI)を割り当てることによって、データセットを引用可能にする作業を進めています。その結果、研究者の功績が正しく認められるようになります。また、収集されたデータを自動的に論文テンプレートの形式に整えて、研究者が論文執筆に費やす時間を短縮することも可能です。これにより、新発見のスピードアップ、および問題解決に役立つ知識の移転が増加する可能性があります。

IoTに関する研究論文はすでに数千件されており、このIoTという概念の広がりに伴って、IoTのあらゆる派生物に関する論文がさらに数千件発表されると予想されます。『AdHoc Network』誌に掲載された論文「Choices for interaction with things on Internet and underlying issues」では、Social Web of Things(SWoT)という概念について「スマートデバイスをソーシャルネットワークと統合することで、物理的な世界と仮想の世界が結び付き、人とデバイスの間の対話が促進される」と書かれています。IoTの次の段階としてSWoTが登場するのは興味深く、活発に研究が行われている領域です。正直に言うと、自宅のトースターと食器洗い機が「会話」し、自分のFacebookページにリンクしていると考えると、少し不安を感じます。しかし、(キッチン家電の暴走の件はさておき、)科学的研究ひいては科学出版の次の大きなテーマがIoTであることは、ほぼ間違いありません。

科学と出版のパートナーシップには何世紀もの歴史があり、世界中の研究者が知識を共有するためのルートとなってきました。結果として生成されるデータとその管理やセキュリティも同様に重要であり、今後対処しなければならない最大の課題の1つです。『Computer Networks』誌に掲載された論文「Security, privacy and trust in Internet of Things: The road ahead」は、人気のFitBit、血圧モニター、およびその他の研究関連テクノロジーなどの「ウェアラブル技術」が拡大している今、プライバシーとデータ保護の問題を提議しています。とは言え、IoTが科学の世界に大変革をもたらすのは間違いありません。今後10年間私達の生活の一部になるような新発見が次々に誕生していくのを眺めるのは楽しみでもあります。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。