新元号を「明暗」と仮定する――新時代の「明暗」を予感させる展覧会

私達が過ごした平成とはどんな時代だったのか。
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Nao Kimura

30年続いた平成が終わって、新たな元号とともに、新たな時代が始まるらしい。

それは一体どんな時代なのか。私達が過ごした平成とはどんな時代だったのか。

そのような問いに、総勢20名以上の作家が作品で応答を試みる展覧会「明暗元年」が先月末より墨田区と台東区の7つの会場で開催されている。

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「明暗元年」メインビジュアル
美学校・ギグメンタ実行委員会

本展は、東京・神保町にある1969年創立の美学校が中心となって開催するアートプログラム「ギグメンタ」の企画のひとつで、本展参加作家はいずれも美学校の修了生。

美学校は入校に際して試験がなく、年齢、性別、国籍、学歴といった制限もないのが特徴で、ゆえに一口に修了生と言っても、職業、世代、美学校に至るまでの経緯は様々である。

本展の見所が「新元号を『明暗』と仮定する」というアクチュアルなテーマにあるのはもちろんだが、展覧会場である7つのスペースもまた、本展の大きな魅力と言うことができる。

いずれの会場も、美術館やコマーシャルギャラリーとは異なり、元町工場や古くから残る長屋をリノベーションした、いわゆる「オルタナティブ・スペース」と呼ばれる場所で、運営者は自発的に制作や発表、生活の場としてのスペースを運営している。

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「明暗元年」展示会場のひとつ、float。元プレス工場を改装したシェアアトリエ兼イベントスペース。
Nao Kimura
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「明暗元年」会場のひとつ、デトロイトコーンクラブでの展示風景
Nao Kimura

展示作品は、2020年の東京オリンピックを題材にしたものから、平成という時代との別れを恋人との別れに重ねた私的なもの、一見、テーマとは関係ないのでは......と思えるマイペースなものまで様々だ。ただ、平成最後の夏に、戦火や再開発を免れて、平成どころか昭和の面影を残す会場で、今を生きている作家たちが自らの存在を呈しているのは紛うことなき事実である。

私は、そのこと自体に新時代の胎動を感じている......と言ったら大げさだろうか。しかし、早すぎる梅雨明けとともに到来した真夏の日差しの中、自身の足で会場間を移動してみて、そこに場所があること、そこに人がいること、そこに作品があることに、確かな手応えを感じているのだ。

やってくる時代は果たして明か、暗か。先行き不明、明日をも知れぬ中で、新時代の光明を探しに足を運んでみてほしい。

「明暗元年」

会期:2018年6月30日(土)、7月1日(日)、7日(土)、8日(日)、14日(土)、15日(日)、16日(月・祝)、全7日間

時間:13:00〜19:00

会場:space dike、sheepstudio、spiid、float、デトロイトコーンクラブ、あをば荘、まぼろし空間ユブネ、全7会場

入場料:500円

※全会場共通のフリーパス制

※パスポート提示で会期中何度でも展示をご覧いただけます

※パスポート販売会場:space dike、sheepstudio、spiid、float、あをば荘