防潮堤の整備 住民合意に向けて「最後の1カ所まで努力」 村井嘉浩宮城県知事

宮城県知事の村井嘉浩知事は2月25日、菅義偉官房長官と面会し、東日本大震災で被害を受けた同県内の防波堤復旧事業について説明した。
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時事通信社

宮城県の村井嘉浩知事は2月25日、東日本大震災で被害を受けた同県内の防波堤復旧事業について「最後の1カ所まで努力する」と語った。MSN産経ニュースが報じた。

村井氏は「たくさんの防潮堤を整備しているが、住民合意に至っていないところは数カ所だ。最後の1カ所まで合意できるよう努力する」と語り、菅氏は「しっかりと汗をかいてほしい」と述べた。

(MSN産経ニュース「宮城県知事、防潮堤の住民合意「最後まで努力」 菅長官に説明」より 2014/02/25 20:25 20:24)

松井知事は、高さの問題で合意に至っていないのは、気仙沼市鮪立(しびたち)漁港を含め数カ所だけだと語っている。

鮪立に関して言うと、今回4メートルの津波が来たので、住民は5メートルの防潮堤を造ってくれと言っている。ところが、(実際は)4メートルの津波は防潮堤にぶつかり、7.5メートルまでせり上がる計算になる。住民の命を守るには1メートルの余裕を見て8.5メートルの高さが絶対に必要だ。税金で中途半端な防潮堤を造っては国民の理解を得られない。(住民との合意に向け)最後は鮪立まで行って、私の声を直接伝える。

(時事ドットコム「時事ドットコム:復興支援期間の延長を=村井嘉浩宮城県知事インタビュー」より 2014/02/25 16:41)

防潮堤の「あり方」をめぐっては、気仙沼市鮪立地区などで住民の間で議論が起こっていた。

12月には、気仙沼市の鮪立(しびたち)地区の自治体下部組織であるまちづくり委員会が、防波堤の高さを高さ約10メートルから、半分の5メートルにするように求める要望書を提出していた。

地区で県が計画する防潮堤は、高さ9・9メートル、長さ約540メートル、底辺の幅約60メートル。その上を2車線の道路が走る。自治会とまちづくり委は今月2日、防潮堤の高さを半分の5メートルとし、早期建設を求める要望書を村井嘉浩知事へ提出した。



「防潮堤が不要なわけではない。でも、小さな浜に高さ10メートルの高速道路のような防潮堤ができると、自然環境や景観、生活の利便性、漁港の利便性…。さまざまなものが損なわれる。これからも海と生きていく浜にとって逆効果になる」

(MSN産経ニュース「東日本大震災2年9カ月 高すぎる防潮堤、何を守るのか」より 2014/12/12 7:53)

また、塩竈市の無人島4島で計画している高さ約3メートルの防潮堤整備について、村井氏は24日の記者会見で、計画を見直す可能性を示唆している。

村井嘉浩知事は24日の記者会見で「農地を守るための防潮堤であり、農業をしないとなれば整備する理由はなくなる」と述べ、計画を見直す可能性を示唆した。



4島では、水田を保護する農地海岸整備事業として高さ3・1メートルの防潮堤が整備されたが、1980年代以降、耕作放棄されている。震災で防潮堤が0・5~2メートル沈下したとして、県が来年度に復旧する計画だが、被災者から「無駄な事業」と批判が相次いでいだ。

( MSN産経ニュース「防潮堤問題で宮城県知事「農業しなければ整備は不要」 見直し示唆」より 2014/02/24 14:52)

首相夫人の安倍昭恵さんは、被災地の人たちの希望に合わせて、防潮堤建設の見直すべきとの見解を示していた

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