中絶手術、医療保険の仕組みの変更を提案。「“慎重に検討”している間に子どもが苦労している」

後を絶たない「望まぬ妊娠」。立憲民主党の打越さく良議員は「女子高生が中絶のためにカンパを募ったり、お金がないということで中絶を諦めたりということになっている」と報告した。
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立憲民主党の打越さく良議員が、3月22日に開かれた参議院の厚生労働委員会で、若い女性の望まない妊娠の現状について質問した

人工妊娠中絶の費用に関し「諸外国に比べて高額だ」と指摘した上で、「女子高生が中絶のためにカンパを募ったり、お金がないということで中絶を諦めたりということになっている」と述べた。

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3月22日に開かれた参議院の厚生労働委員会で質問する立憲民主党の打越さくら議員
参議院インターネット審議中継より

「“慎重に検討”している間に、子どもたちが苦労している」

打越議員はまず、日本における性教育の遅れを指摘した。

「ユネスコなど作成した国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、9歳から12歳で意図しない妊娠を避ける基礎知識、12歳から15歳では緊急避妊薬を含めてより具体的な方法を教えるよう提起している。日本の性教育は国際標準に達していないのではないかと思う。国際標準に沿った性教育が必要ではないか?」と質問。

これに対し、蝦名喜之・文部科学省大臣官房審議官は「性に関する指導に対する価値観は国によって異なりますので、ご指摘のガイダンスの有用性を含めまして、学校における性に関する指導のあり方について、慎重に検討していくことが重要であろうと考えてございます」と回答した。

蝦名審議官が「例えば避妊方法を含め、個々の生徒間で発達の段階の差異なども大きいことから、集団で一律に指導することだけではなく個々の児童・生徒が抱える問題に応じ個別に指導するなど、状況にしっかりと対応して行くことが必要と考えている」と続けて述べると、打越議員は「“慎重に検討”している間に、子どもたちが大変苦労しているように思われます」と返答した。

「20代以下」の女性、中絶の件数の現状は?

その後、打越議員は「20代以下に占める人工中絶をした女性の人の割合」について質問した。

鈴木英二郎政策統括官は「人工妊娠中絶件数の総数は15万6,430件、女子人口『1000人に対する実施率』は6.1となっております。このうち20代未満が1万2,678件で実施率が4.5、20歳から24歳が3万9,805件で実施率が12.9、25歳から29歳が3万1,392件で実施率が10.4となっております」と回答した。

この回答に対し打越議員は「やはり、20代以下の女性たちが中絶している割合が高い」と改めて問題視した。

続けて、「中高生の性交経験、避妊の実行率は把握しているか。避妊をしたと思っている場合でも確実な方法をとっているのかを把握しているのか、また避妊しない場合の理由も把握しているのか」と問うと、蝦名審議官は「文部科学省として、中学生や高校生の性行為の経験の状況や避妊の実施状況などについては把握をしてございません。しかし、いくつかの民間団体において若者の性行動について調査をされているものがあると承知している」と回答した。

これに対し打越議員は、「把握されていないということ自体、性教育をどのようにしていくかということに対する検討資料がないということではないか」と国側の姿勢を厳しく追及した。

中絶手術における医療保険の仕組みに言及。田村大臣の回答は?

さらに、打越議員は人工妊娠中絶の費用についても「諸外国などに比べて高額なのではないか」と疑問を呈した。

渡辺由美子・子ども家庭局長は「人工妊娠中絶に関する費用については、(日本では)自由診療で行なっておりますので、国として費用等は把握しておりません。また関係学会、団体にも伺ってみましたが、特にそれに特化した調査を行なっていないということでございました」と回答。

打越議員は「フランスやイギリス、オランダ・スウェーデンなどでは(中絶にかかる費用が)無料という調査がされています。一方で日本では、初期中絶が約10万から20万円。中期中絶の場合は40万から60万もするということで、女子高生が中絶のためにカンパを募ったり、お金がないということで中絶を諦めるということになっている。WHOが女性や医療者を差別やスティグマから保護するために、中絶というものを公共サービス、または公的資金を受けた非営利のサービスとして医療保険システムに組み込むべきと提言していますが、日本でもそうあるべきではないか」と続けて指摘した。

これに対し田村厚生労働大臣は、「経口中絶薬などを含めて色々な検証をしているわけでありますが、もし薬事申請が出てくれば審査をするということになると思います。ただ、保険収載という話になると、母体にとって命や健康に影響があるという場合にはあり得るんだと思いますが、一般の中絶というものを保険収載にするのは、保険の趣旨からしますとそれに当てはまらないのではと考えております」と回答した。

日本産婦人科医会の公式サイトによると、人工妊娠中絶手術は妊娠初期(12週未満)とそれ以降で手術方法が異なる。

加えて、「中絶手術はほとんどの場合、健康保険の適応にはなりません。妊娠12週以後の中絶手術の場合は手術料だけでなく入院費用もかかるため経済的な負担も大きくなります」と説明している。