駅アナウンス悪用、障害ある女性を狙う痴漢やストーカー被害の訴え「下着の色聞かれた」NPOが報告

待ち伏せや、下着の色を聞かれるなどの被害の相談が複数寄せられているという。国土交通省は鉄道事業者に対し、駅アナウンス以外の方法を検討するよう要請した。
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imagenavi via Getty Images

一部の鉄道会社で行われている、車いす利用者や視覚障害者などの乗降を知らせる駅アナウンス。駅員同士での情報共有や介助が本来の目的だが、乗降する車両や降車駅を知った他の利用者が悪用し、障害のある女性が痴漢に遭うなどの被害が相次いで報告されている。

障害者団体でつくる認定NPO法人「DPI日本会議」が8月25日、被害の実態を発表した。同団体は、7月に国土交通省に改善を求める要望書を提出。これを受け、国交省は鉄道事業者に対し、駅アナウンス以外の方法での情報伝達を検討するよう要請した。

 

待ち伏せや、下着の色を聞かれるなどの被害

DPI日本会議は、障害のある女性が受けたストーカーなどの被害事例を公式サイトに10件以上掲載。

聞き取りから、「降車駅で待ち伏せされて家までつけられた」「下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された」「違うところに連れて行かれた」等を訴える被害の実態が明らかになった。

 

▽被害の事例(一部抜粋)

・電車が動き出して間もなく男性が寄ってきて「品川でしょ?送ろうか?」と何度も言われて、ずっと声を掛けられていた。やめてくださいと言っているのに周囲の人は誰も助けてくれなかった。(車いす使用者)

車両ドアのところの外側を向いて立っていたら、後方から「いたいた!手伝ってあげるよ」と言いながら後方に回り、ぴったり迫りもぞもぞされ、荒い息をされた。離れようとしたが、ぴったりくっつかれて動けない。次の駅でドアが開いたときに、とりあえず車両からでた。希望駅ではなかったので歩行に慣れていなくすごく困ったが降りるしかなかった。その場にいて次に来た電車に乗るしかなかった。(視覚障害者)

・夜遅くなり周囲が男性ばかりだったので、アナウンスをしないでくださいと頼んだがダメだと言われ、乗った号数まで言われた。ドア付近にいたら「ここだ!」とスーツ姿の男性が乗ってきた。ぴったり後方にくっついてきて、下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された。怖くて声もでず降りた駅で係員にアナウンスのせいだと泣きながら訴えたが、「警察に行ってください」といわれるだけで、大丈夫ですか?の一言もなかった。その時からずっと心療内科にかかっている。もう電車は怖いからアナウンスがなくならない限り電車は乗れない。だから社会参加はできない。(車いす使用者 )

・ホームに来た係員に、乗り換え駅と下車駅を大声で確認されたので、周りに聞こえないように言ってくださいと頼んでいたら、近くの会社員に「乗せてもらっているのに偉そうなこと言うな!」と怒られた。(車いす使用者 )

 

被害内容では、駅員にアナウンスをやめるよう頼んでも断られたり、被害を訴えても十分な助けが得られなかったりするケースもあがっている。

 

アナウンス以外の方法をとる事業者も多数

DPI日本会議によると、駅アナウンスは乗務員に安全確認を伝達するために行っているが、アナウンス以外の方法で安全確認をしている事業者も多数あるという。

国交省は鉄道事業者に対し、駅アナウンス以外の方法での情報伝達を検討するよう求めたほか、各社の検討状況について報告するよう要請。8月には、全国の鉄道事業者に対し、被害の実態についての報告会も行ったという。

国交省の担当者はハフポスト日本版の取材に対し、「報告会では、当事者の女性が被害の実態についてお話しされました。現段階では、事業者から検討状況についてまとまった報告はありませんが、多くの被害があがっていることから、できるだけ早く対応できるよう務めています」とした。

DPI日本会議は現在も駅アナウンスが続いていると指摘。各鉄道事業者に対し、「被害の実態を認識して頂き、駅アナウンスを一刻も早く中止し、他の方法に切り替えていただけますよう、強くお願いいたします」と訴えている。