小泉進次郎氏が若者に訴えた 「もう人口減少、嘆くのやめませんか」 #進次郎に質問

「いま農協とバトルしてるんですか?」若者たちからの質問に、小泉氏は何と答えた?
|

Open Image Modal

自民党の小泉進次郎衆院議員は10月2日、都内で開かれた「朝日地球会議2016」で、「10年後の農業、2021年の東北、22世紀の日本」をテーマに90分語った。聞き手は、ハフィントンポスト日本版の竹下隆一郎編集長。始まる前の打ち合わせで「私がダラダラ話すだけのつまらない会にしたくない」と語った小泉氏。高校生や大学生、新社会人が競うように手を挙げ、短く、自分の言葉で質問をした。

2015年10月に自民党農林部会長に就任した小泉氏は、日本の農業の競争力を上げるために何を考えているのか。復興大臣政務官として取り組んだ「東北復興」への思いは? 今後、本格的に人口減少時代を迎える日本への展望は? 小泉氏のトークと、若者たちの質問や、Periscopeで生中継した際にTwitterで寄せられた声への回答をレポートする。

Open Image Modal

(左)ハフィントンポスト日本版の竹下隆一郎編集長(右)自民党の小泉進次郎衆院議員

■小泉氏が語る、「10年後の農業」のために大切なこと

「コンニャクは、何年間かけて育てられるか知ってますか?」小泉氏は、講演の冒頭で、最近視察した群馬のコンニャク農家の話を披露。3年間かけて育てるコンニャクの手間や、糸コンニャクに海藻が含まれている理由など語った。

小泉氏は2015年10月に農林部会長就任したエピソードも披露。「本当に予想外だった」だった振り返り、稲田朋美政調会長(当時)に、思わず「ジョークですか? なぜ僕が?」と尋ねたという。稲田氏は、「(農林部会長が)一番大変だからよ」と答えたそうだ。

いま全国の農家を巡る小泉氏は、「10年後の農業」のために大切なことは、「失われた持続可能な農業を取り戻すこと」だと語った。「農家の平均年齢は66歳、コメ農家の平均年齢は70歳。5年後、10年後に、田んぼや畑に出ている人は一体どれだけいるのか。これが問われているのがいまの農業。この構造に手を打たなければ、日本の農業に持続可能性はない」

また小泉氏は、この構造はTPPの話が出てからの問題ではないとして、「農業の最大の障壁は、TPPではない」と語った。「この20年間、農業はずっと右肩下がりなんです。農業のGDPは、20年前は11兆円台だったが、いまは8兆円台に下がった。農家のみなさんの総所得、20年前は5兆円台でしたが、いまは3兆円台を切っている」などと農業の現状を説明した。

■LINEや無人トラクター活用、世界を見据えた「未来の農業」

農家の高齢化が進み、若者の新規就農者も少ない。小泉氏は、この課題を解決するために、「農業の世界にもっと経営の感覚を持ち込んで、農業経営が成り立たなきゃいけない。農家を増やすの政策ではなくて、農業経営者を増やす政策をやろうと思っています」と語った。

LINEで取引する農家のありかたや、北海道で稼働している無人のトラクターのほか、果物の野菜の収穫でロボットが活躍する未来の姿にも触れ、情報発信の見直しやイノベーションの重要性を訴えた。

外を見れば、面積も人口も九州と同じオランダが世界第2位の農業輸出大国となっている。小泉氏は、先細りの国内の消費をふまえ、「生産コストを下げ商品の付加価値をつけて、海外に輸出していく基盤を作っていくことが大事だと説明。「農家のみなさんにはこれから、世界を見据えた農業をしてほしい」など抱負を語った。

■もう人口減少を嘆くのは止めませんか?

また小泉氏は、東北復興や22世紀の日本についても議論を展開。日本の抱える課題である人口減少についても「もう人口減少を嘆くのを止めませんか?」と語った。「人口が減ったって、やっていけるという自信が大切。将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い。いつか人口が下げ止まるときがきて、そこから力強い成長がある。人口減少を強みに変えよう」などと大きな展望を語った。

Open Image Modal

■若者たちからの質問に、小泉氏は何と答えた?

次に、講演に参加した若者らやTwitterで寄せられた質問と、小泉氏の回答を紹介する。日本の農業に関する質問のほか、東北復興や子育て政策など、日本の未来に関する質問も寄せられた。

——いま農協とバトルしてるんですか?

バトルというわけでもない。変わらなきゃいけない、という認識はお互いに共有しているんです。農業だけじゃないと思うんですけど、日本の抱えている課題で、どこかひとつだけ変えればうまくいくというのは幻想だと思うんですね。変わらなきゃいけないことは苦しいけど、いまのままやれていれば苦労しないと思うけど、いま変わったほうが後々のダメージは少ない。

私がいま力を入れているのは、農協を敵にするんじゃなくて、どうやったら、一緒の方向を見ながら「山を登ろう」と言ってもらえるかです。

ありがたいことに、9月の上旬にJAの本部に行って会長さんたちみんなと会ったときに、そこの合意は得られたんです。山を登ろうか登らないか、というところから、「よし分かった」と言って登山口まで来てくれたんです。頂上まで行けるかどうかはこれから。励ましあいながら、あと一歩あと一歩と最後まで登って、その高みから初めて見える景色を一緒に見ようじゃないか、と。

JAグループとの関係なので、いろいろ摩擦もぶつかりもあります。だけどそれは、山を登っている途中の天候の変化なので。いろんな変化に耐えながら、それでも登っていこうと。最後まで登れるように頑張らなきゃいけませんね。

——農協のどういうところに限界がきていると思いますか?

農業のみなさん、本当に頑張っているところはすごく頑張っています。農協悪玉論というわけでもないんですよ。頑張ってる農協もあれば、残念ながら努力が足りない農協もある。

いままでの構造は、農家のみなさんは農協に出せば、あとは売ってくれていた。だから誰が買って食べているのかわからなかった。これからは、消費者がどういうものを求めているのか。選ばれるものを作るためにはどんな発想が必要なのかが大事になる。プロダクトアウトからマーケットインという発想ですけど、そこがやはり弱くて、作ることには力を入れる。だけど、売ることには力を入れてこなかった。

この売る力を、もっと農協が持っていかないと持続可能性は取り戻せない。選んでもらえない。結果として農家の農協利用率はどんどん下がっている。この改革に反対する方々はいっぱいいますけど、問いたいのは「じゃあ、なぜ農家に選ばれないんですか?」ということ。

(農家が)資材を買うための登場したホームセンター、コメリとかカインズホームといったところがありますが、その利用率は上がっています。急成長で伸びてきた。裏返していうと、農協がいままでのやりかたを変えずにやり続けてくれたおかげで民間参入のチャンスがあった。ちょうど転換点ですね。

Open Image Modal

——今後、農業にテクノロジーが導入されると、どんなことができるようになりますか。

例えば、作る部分のイノベーションでいうと品種改良なども含みます。品種改良で関わってくるのは、気候変動に対する対応。すでに変わってきているのは、北海道のお米で「ゆめぴりか」がありますよね。10年、20年前には “猫またぎ”といわれる、猫でもまたいで食べないといわれた時代があったのに、いまでは「『ゆめぴりか』が食べたい」という人が出てきた。これも気候変動が要因のひとつなんです。

どんどん産地が北上してくる2050年とか30〜40年後を考えると、柑橘類の北限は東北になります。東北のみかんがものすごく美味しい時代がくる。逆をいえば、いまみかんだけに依存している地域が西にあるとすると、長期的に考えなくてはいけないのは、「本当にみかん依存でだいじょうぶですか?」「リスクヘッジ考えませんか?」ということ。国もいまは利益が出ないけど、いつからは利益が出るという研究開発を続けていくことがすごく大事です。

そしてドローンもそう。2年後に準天頂衛星というのが打ち上がりますから、さらにGPSの精度が上がるんですね。GPSを使ってトラクターを動かすとか、ドローンで農薬を散布するとか、そういったことの精度が飛躍的に上がり、数センチの単位でできますから。これもイノベーションが起きているところで、若い人が「それだったらやってみたい」と思ってくれるかもしれない。

——私が住む千葉県にあるショッピングセンターは、農業の工場生産を計画しています。今度、企業による農業はどんどん増えていくのか。

私は、企業による農業を後押ししたいと思っています。その理由のひとつは、農業に就職できる環境を作りたい。いままでは農業で働くというのは、農家の後継ぎが大きな本流にあって、それ以外の農業やりたい人が農業をやることが、なかなか難しかった。

例えば最近、イオンがやっている千葉県のイオンアグリ創造という会社に農業の視察に行ってローソンファームにも行ってきたんですね。そこで感じたのは、普通に就職活動をやった結果、農業をやっている若者が出てきたこと。

イオンアグリ創造が新卒の募集をしたときに、何人が応募したと思いますか? 1万人が応募してきたんです。そのうち採用されたの40人。2年経って定着率100%。入社した若者たちと話して、「この方向は可能性あるな」と思ったのは、就職活動の一環で、休みはあって給料はちゃんと保障されている。「そういった環境でできるんだったら、私は農業やりたい」って人が入ってきたんですね。ローソンファームも同じでした。沖縄、熊本から千葉のローソンファームに働きにきた若者がいました。

若い人たちが全然入らなかった農業の世界に、「就職して農業する」というありかたを作りたい。いままでの後継ぎの農家の方々を否定するわけじゃなくて、そのルートがある一方で、もうひとつのルートを作ろうと。これは後押しをしたいなと思っています。

——例えば「この人が作ったから欲しい」という生産者が付加価値をつけることもあると思います。無肥料・無農薬に興味があるんですが、新規就農者にはそういうことに関心がある人も多いようです。もちろん経営も大切ですが、大企業ではない、個人農家を応援していく動きはありますか?(熊谷在住の高校2年生)

Open Image Modal

実家は農家? もうやってるの? (祖母の土地で無肥料・無農薬をやっている)すごいね。もう準備できてるじゃない(会場拍手)。

「誰が作ってるから買いたい」、そういった人たちはどんどん出てきている。流通のありかたも変わっているからです。農協で出すものは、ダンボールに例えばうちの地元だったら横須賀のキャベツと印刷されている。それがまとまって市場で取引される。これは産地にとってのブランドはあるかもしれないけど、人まではわからなかった。

新たな動きは、まさに「誰々さんの野菜が欲しい」。そのときにどうやって付加価値をつけるかは、まさに農家のみなさんの経営感覚やブランディングやマーケティングにかかってくると思う。

もし無肥料・無農薬といったかたちで農業やりたいとしたら、農薬代も肥料代といった資材の費用はかからない。その分、手間はかかる。その手間をかけてでも成り立つだけの農業経営というのを、いまから考えてみて。例えば、自分の農地のなかでいくらの単収を上げて、それをいくらで売ると、いくらの収入になるから食べていけるだけの手取りは残る。だとしたら、このくらいのお客さんが見つけないとダメだな、この単価で売らないといけないなって。

小規模でやってる農家さんも大規模でやってる農家さんも、必要なのは経営だと思います。しっかり後押しする施策をやっていきたいと思います。

——農協の改革をするというお話をされましたが、農協はこれから何をしていけばいいとお考えですか?(東京都の高校生)

いい質問をしてくれた。これがいま問いたいことなんです。農協っていうのは、株式会社じゃなくて協同組合です。協同組合だからできることのひとつに「共同購入」があるんですね。共同組合だから独禁法は適用されなくて、やっていいですよ、ということに共同購入がある。

例えていうと「日本全国でトラクターほしい農家さん、教えてください」と聞くと手が上がるよね。100人買いたい人がいるときと、1000人買いたい人がいるときに、売る側ってどっちに売ったほうが儲かる? 1000人だよね。買う側も1000人分買うから安くしてよって言えるようね。これが共同購入です。

だけど、協同組合の農協のほうが、民間よりも物が高いと言われる。これはけっこう本質的な問題です。そういったところを正して、本来の協同組合らしい役割を農家のためにより発揮できるようにしたらどうか。農家のみなさんに感謝をされる。農家のための農協であって、農協のみなさんが農家の方を食べさせてるんじゃないよと。それをわかってもらいたいです。

——農協を敵として見るのではなく、コミュニケーションをとっているとのことでしたが、反対する側の意見にはどういうものがありますか?(法政大学3年生)

ひとつ目の理由は、とにかく小泉が嫌い。非常にわかりやすい。そういうものもあると思います。もうひとつは、誰だってそうだと思うけど変わらなくて済むんだったら変わりたくないです。「いま変わるか、10年後変わるか。いま変わったほうが軽い治療で済むよ」。そう訴えているけれど、仮に10年後を考える必要がない立場だったらどう思う? 変わりたくないよね。けっこう根深い問題はそこです。

あと3つ目は、こっちの力不足、努力不足もあります。ちゃんと、なぜこれをやっているのか、そういったこともちゃんと説明していかなきゃいけない。だから毎週、全国の北海道から沖縄まで6ブロックに分けて説明会をまわるんです。いまなぜこの取り組みをやっているのか、なぜこの思いなのか、農家のみなさんに伝える全国のキャラバンを来週からやります。こういったことで少しでも理解を得られるように努力したいと思っています。

——Twitterからの質問です。大学3年生で就職活動を控えています。いまの選択肢のなかで、農業を選ぶのはハードルが高いと感じていますが、どう乗り越えたらいいですか?

「これ政治家になるにはどうしたらいいですか?」という質問と似ているなと思うんですけど、やっぱり覚悟が必要だと思います。僕は政治の世界に誰でも入れますよ、と言う気もないですが、それと同じで、農業の世界で、誰でも気軽に、とあまりに言わないほうがいいなと思っています。やはり大変ですから。

だけど、思いを持ってトライをしたいと思う人たちはいる。そういう人たちのトライが叶うだけの環境は作りたい。さっき言った「農地もない。実家も農家じゃない。おじいちゃんおばあちゃんも農家じゃない。だけど農業やりたい」という人の道を作らなきゃいけないじゃないですか。

そのひとつが、農業大学校という各県にあるところに、まず新規就農者として学びに行ってもらう。国は支援金とかを出して様々なサポートをして支えているんですね。こうありかたも充実させる。もう一方で、就職ができるというかたちの農業をつくっていくこと。

Twitterで相談してくれた方や、踏み込めないけど農業に興味があるという人は、農業の就職フェアとかもやってますから足を運んでみて。いろんな法人がいますから。自分でしっかり見てよく考えてほしいなと思います。

——農協と自由競争について質問したい。農協が果たしている役割として、代理販売、物流、金融の決済といったところがあると思うんですが、それらの機能を果たす新たな企業を農協とは別につくって、そこを農業と競争させることで、相対的に改革を進めるという考えがあります。その点については、どうお考えでしょうか?(熊本出身の慶応大学3年生)

私も、もっと農業の世界には競争が必要だと思います。いままでは共同という理念で、飛び抜けることは基本的に許さない。美味しいお米もまずいお米も一緒に混ぜて、みんなで出していました。もうそういう時代じゃないでしょう。

うまい米は、うまい米で売りましょうよ。飛び抜けて頑張りたい人は応援してあげましょうよ。そういった環境をつくるには、頑張った人がむくわれる競争も必要。コメリとかカインズホームとか、ああいう風に農協に代わって、資材を提供できる会社が出てきたことは、農協に対して緊張感を与えて、非常にいいことだと思う。

この前、群馬で視察しましたが、農業の機械の部品で、廃盤になってしまった部品や海外の農業機械の日本では生産していない部品を、図面から起こして地元の町工場と協力してつくる会社が出てきた。いままで800万円とか1000万円かかる高い農業機械を、部品がないという理由で買い換えなければいけなかった農家さんが、その会社が部品だけを作ってくれることで部品代だけで引き続き(いまの機械を)使えるようになれば大きなコストダウンになりますよね。

こういった動きが全国展開できるような後押しをしたい。農業機械の世界は大手の4社が8割のシェアを握っていて、いままで競争が起きてこなかった。新規参入を促していきたい。

——社会人1年目です。22年間石巻でこの春に東京に出てきました。大学でも特に農業を勉強していたんですが、宮城県亘理(わたり)のイチゴ農家は、一旦震災で被災したことでイノベーションが起きて新たな技術革新が起きたいい事例と聞きます。新たな技術に対する不安が大きいところもあると思いますが、実際に被災地で、どういう風に自信と楽観を育っているか、目撃した例があれば教えてください。

いろいろ現場を見て思うのは、もちろん人口減少っていうのは、私がいくら言葉で自信や楽観をといっても現実は厳しいです。減り続けているところを目の当たりにする地域のみなさんにとって、自信と楽観を持ち続けるのは簡単なことではないと思います。だけど、それでも言いたいのは、苦しいけどそれも楽観して、悲観し続けていても変わらないんだったら、どんな手段だって考えませんか。

例えば、被災地で震災の後に起きたことのひとつに、ビジネスのありかたを全く変えて、いままで企業相手の仕事をやっていたところが、消費者に直接売るという仕事に変えていった。規模は縮小したけれど、持続可能なビジネスモデルに変えていった水産加工会社がいっぱい出てきた。自治体を超えて、町の境を超えて、漁師と漁師がつながりはいじめたフィッシャーマンジャパンの新しい動きとかも出てきた。

Open Image Modal

人口が減るところに、外からどうやって人に来てもらえるか。うちの町にしかないものに着目するしかない。今後にとって勉強になるんじゃないかなと思うのは、地元にいると当たり前すぎちゃって地元の良さに気づかないから、外からのいい意味のよそ者を呼んできて、一緒になって町づくりをやる被災地は本当に増えてきたこと。

実は、よそものの力と地元の力を相乗効果で発揮することが、全国の町ですごく大切だと思う。こういった取り組みをイメージしながら、東北や熊本の被災地だけでなくて、全国にそういった動きが広まってほしいなと思っています。

——28歳で、友人たちで結婚して子供が生まれた人も多いですが、子育ての制度的にも社会環境についても不安があります。私たちの世代の子育てについて、どのようなビジョンを持っていますか?(神奈川県の会社員)

私も独身で、これからなんです。そういったなかで、「第3子以降の重点支援をしますよ」といわれて、どう感じます? ピンとこないですよね。第3子? その前にいくつ超えなきゃいけないのか(会場笑)。ねえ。第3子以降の支援の政策やっている人は、専門家も含めて、みんな2人3人子供を持つのが当たり前だった時代の人が作っているんですよ。

いまは1人持つのが大変なんです。だったら1人目やりましょうよ。だから私は「1人目支援だ」と言っているんですよ。第一歩なんだと。なんでも一番大変だと思うのは初めてのときじゃないですか。経験がないときにしっかりフルサポートで支えて、それが2人目や3人目を持つというひとつのきっかけになるという考えで、子育て、子ども政策は考えるべきだと思っている。

もちろん、第3子以降の重点支援するひとつの根拠になっているのは、金銭的な理由で第3子以降を断念する人が多いという数字が出ているから。ピンポイントで限られた資源を投入しないといけない、というのはわかるんです。だけど、そこはそこでやりながらも、1人目の柱も作っていかないといけないんじゃないんですか。そのために子どものための財源を作らなきゃいけない。厳しい話かもしれないけど社会保障の見直しも含めてやんなきゃいけない、と思っています。

——人口減少だと、移民について考えざるとえないという声もあると思いますが、どう思いますか?

僕は、日本に貢献してくれて、優秀で、スキルがある外国人っていっぱい活躍してると思うんです。ひとつの論点になっているのは、いわゆる単純労働者を含めた、労働力が足りないという日本において、そのボリュームを移民という部分で捉えるのか、だと思います。

私は人口が減っていく部分をすべて移民で、っていうのは反対です。人口減少を強みに変えるという発想のなかで、日本が守るべきものを守りながら、技術の革新、イノベーションをより危機感を持って進めるかということを、どこまで追求できるかをチャレンジする国家になったほうがいいと思います。

ちなみに日本の農業でいうと、労働力のボリュームの部分で、外国人実習生の規制緩和を求める声はすごく強いです。全国のいろんな産地から、「もう人が集まらない」という声がいっぱい上がってきている。そういった声は、将来の人口減少じゃなくて、今の労働力不足に対して、なんとかしてほしいという声。そこに新たな制度設計をして対応していくか、ということもあります。

——自信と楽観というお話を聞いても、将来には正直不安があります。普通に働いて年金がもらえるのか、老後安心した社会で過ごせるのか、すごく不安です。国は、自信と楽観を持てるようにどのような政策を考えているのでしょうか(20歳の大学生)

年齢だけで社会保障のありかたを決めるのが、いままで。65歳からはこう、75歳からはこう、とか。そうじゃなくて、本当に困っている人は年齢に関係なくいますよね。高齢者のなかでも困っている人と困っていない人がいる。若い人のなかでも、困っている人とそうでない人がいる。だとしたら年齢じゃなくて、本当に困っている人に支援がいくような社会保障のありかたに変えていくべきじゃないか。

もうひとつは、病気になって病院に行って治療をするためにお金を使うのか、病院に行かないですむように健康でいられるようにお金を使うのか、どっちのほうが前向きなお金の使いかたかと考えたら、答えは明らかですよね。だとしたら、病気にならないように、健康でいるためにどうお金を使うかということを取り入れていって、それがインセンティブとして働くような制度設計ができないかと考えています。

いまアメリカの大統領選で、なぜトランプ氏があれだけ残っているか。なぜEUからイギリスが抜けるか。底流のひとつにあるのがひとつは、やはり若い世代の格差や子どもの貧困、またその連鎖に対する、本当にこれ止まるのかという大きな不安があると思う。日本は、貧困とか格差とかは、世界の先進国に比べれば程度の差はあっても、これからおそらくこの問題にもっと正面から取り組まなきゃいけない時代が来るでしょう。

私はこの若者の格差や貧困の問題を、もっと正面から見据えて対応するべきだと、今から準備するべきだと思います。一個一個やっていって、少しでも自信と楽観に変わっていきていけるように一生懸命頑張ります。

——自信と楽観ということなんですが根拠も大事だと思います。根拠について、どう考えますか?

残念ながら、いまの中国の動き、北朝鮮の動き、世界の様々な不安定化を見ていると、「法の支配」という日本が高い価値を置いているその発想から、世界は「力の行使」というところに、いま少し動いているような気がします。

これからも法の支配が守られるような国際社会を作っていくための努力を、日本が全力で働きかけながらも、力の行使がより強く出てきた世界のなかで、私たち日本人がどう生きていくかを考えたら、やはり我々が問わなきゃいけないのは、自分たちが生き抜くこと。「この時代を自分の力で生きていく」という思いを、いままでの時代以上により強く持たないといけない時代がきている。厳しい言い方かもしれないけど、僕らが生きる時代って、そういう時代だと思います。

その通りやれば発展の道がたどれた時代から、世界のどこも経験したことのない、人口減少と超高齢化と少子化に取り組みながら、答えを見つけなきゃいけない。すぐに(答え)は見つからないと思う。だったら前向きにもがきましょうよ。

国に任せていれば大丈夫、政治に任せていればいい、行政に任せておいればいい。そういう発想ではなくて、少しでも答えが見つかるように一人ひとりができることをやっていきましょう。国ができることもあれば、国ではできないこともある。

最後に大切なのは、一人ひとりのみなさんが、いまの世界の動きがどうなっているのか。いまの日本社会は何が問題なのか、そういったことを自分事として日々を送って、みんなで高め合っていくことです。これからの未来を切り開いていく。人口減少を悲観せずに、それぞれの持ち場で頑張りましょう。

▼画像集が開きます▼