菅首相、会見を中止した「ぶら下がり取材」で苛立つ場面も。「先ほどから同じような質問ばかり」

ぶら下がり取材では、声を荒げて記者と受け答えする場面もあった。
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記者団の質問に答える菅義偉首相=2月26日、首相官邸
時事通信社

菅義偉首相は2月26日、6府県で緊急事態宣言を先行解除することを発表した。当初は通例となっている記者会見を開く予定だったが、前日に突然中止に。会見ではなく、記者が首相を取り囲んで行う、いわゆる「ぶら下がり」形式で取材に応じた

 

なぜ中止になったのか 「山田広報官隠し」指摘には

菅首相はこれまで、緊急事態宣言の発令や対象地域の拡大など、節目で会見を開いてきた。時事ドットコムによると、一部地域での先行解除に伴い、政府は当初26日に会見を実施する方針だったが、前日25日夕に中止が決まったという。

内閣広報官の山田真貴子氏が菅首相の長男らから接待を受けていた問題が背景にあるのではとの見方が強く、野党は「山田広報官隠し」と批判した。

「ぶら下がり」の形式で取材に応じた菅首相は、記者から会見中止の理由について問われると、「山田広報官のことは全く関係ありません」と否定。

「現に昨日、国会で答弁されてきたことも事実ではないでしょうか」と述べ、「記者会見のタイミングについては、最後までの状況を見極めた上で判断を行った後に、緊急事態宣言の全体についてきちんと会見を行うべきだと考えています。現に昨年の関西圏を解除したときは行っておりませんで、このような形でぶら下がりで対応している、このことも事実であります」と説明した。

記者から「時短要請や感染防止など国民に対するお願い事をしている。そういったことに応えるためには国民の疑問にまず答えなければならないと思うが、それでも今日会見をやらなかった。国民の協力を得られると思うか」と質問が及ぶも、菅首相は、「本日こうしてぶら下がり会見をやっているのではないでしょうか」「必要なことには答えている」と強調した。

 

記者の質問に苛立つ場面も

ぶら下がり取材では、声を荒げて記者と受け答えする場面もあった。

宣言の先行解除をめぐっては、諮問委員会で医療側の専門家から慎重な意見も出ており、「条件付き」での了承となった。

記者から「専門家から再拡大に相当強い懸念が出ています」と指摘されると、菅首相は声を荒げ、「ですから、基準を決めているわけですから。基準はクリアしているわけでありますから」と強調。

「その上に立って、やはり油断することなく、それぞれの首長さんも、徹底して行うように、時間短縮8時までをすぐやめるのではなくて、いろんなことを考えているのではないですか」と答えた。

取材中は、「よろしいですか、もう」と苛立った様子で早めに切り上げようとする場面も。

最後に記者から「今度の会見では最後まで質問など、打ち切りなくお答えいただけるのでしょうか」と問われると、「私も時間がありますから。でも大体皆さん出尽くしているのではないでしょうか。先ほどから同じような質問ばかりではないでしょうか」と締めくくった。

 

ぶらさがり取材の映像は首相官邸ホームページで全編が確認できる。