山崎製パンに「リアルアンパンマン企業」と称賛の声。災害時になぜ迅速な支援ができるのか?

食料支援をするかどうかは、特別な基準やルールが社内にあるわけではない。「その時々の判断」で、状況に応じて決断しているという。
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東日本大震災で食料支援に走る山崎製パンのトラック
山崎製パン提供

災害が起きた時、避難所などへの食料支援に力を入れている企業がある。製パン最大手の山崎製パン(本社・東京都千代田区)だ。

まだ記憶に新しいが、2021年8月は九州北部や中国地方を中心に大雨による被害が相次いだ。岡山県総社市が大雨に見舞われた際、山崎製パンは避難所の人たちに多くのパンを届けた。

避難所の生活に水や食料は欠かせず、総社市の片岡聡一市長は8月14日、自身のTwitterに「避難所に早速、そっと差し入れが届きました。何という会社なのでしょう。本当に感謝しかありません」と写真付きで投稿。SNS上では、困った人を助けるアンパンマンになぞらえて「リアルアンパンマン企業」との声が上がった。

また、広島県安芸高田市の石丸伸二市長も8月15日、「急な依頼にもかかわらず、900個のパンを用意して下さいました。(当初は難しいという話だったようなので、相当のご配慮を頂いたものと思います。)本当にありがとうございました」と山崎製パンから食料を調達できたことに感謝の意をつづった

 

支援の判断、特別な基準やルールはない

なぜ、山崎製パンは迅速な支援ができるのか。

それは、全国に生産工場を持っていることや、自前の配送トラックによる供給網を構築していることが大きい。仮に工場が被災しても別の工場から支援できるし、配送も他社に頼っていないため自社で判断して速やかに動けるというわけだ。

また、食料支援をするかどうかは、特別な基準やルールが社内にあるわけではなく、「その時々の判断だ」(広報)という。その都度、状況に応じて決断している。

 

「食料支援は社会的使命」

2011年3月の東日本大震災時には、避難所が閉鎖される11月までの8カ月間にグループ全体で、パン約1500万個、おにぎり約800万個、飲料約100万本などを供給したという。

山崎製パンは「被災地への食料支援は食品企業としての社会的使命と考えている」と説明。

「これからも、その使命を果たせるよう供給体制の整備に努力を重ねていきたい」としている。