トランスジェンダーの俳優、エミー賞主演女優賞に初ノミネート。『POSE』主演のMJ・ロドリゲス

トランスジェンダーの人々を対象に大規模なオーディションを実施した人気ドラマ『POSE/ポーズ』。前回は候補ならず、エミー賞に対し批判があがっていた。
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MJ・ロドリゲス(2021年7月6日撮影)
Kate Green via Getty Images

アメリカの大手ケーブルテレビ局FXのドラマ『POSE/ポーズ』(日本ではNetflixなどで視聴可)で主演を務めたMJ・ロドリゲスが、テレビ界最高の栄誉とされる「第73回エミー賞」にノミネートされた。

ロドリゲスはトランスジェンダー女性であることを明かしており、70年以上続くエミー賞の主演俳優部門にノミネートされた初めてのトランスジェンダーの俳優となった。

 

「ついに私は『見られた』」

1980〜90年代のニューヨークを舞台に、「ボール・カルチャー」を通してアフリカ系やラテン系を中心としたLGBTQコミュニティを描いたドラマ『POSE』。アメリカでは最終シーズン3の放送が終了している。

ロドリゲスが演じたのは、ボールに出場する若者たちが所属する「ハウス・オブ・エヴァンジェリスタ」のマザー、ブランカ。

今回のノミネートを受け、ロドリゲスはDeadlineの取材に対し、「とても嬉しく、成し遂げた気分です。ついに私は『見られた』のだと感じています」と語った。

人々が、私という人間の存在を本当の意味で見ることができ、アートを通して、私が世界に提供するものに出会うことができたことに感謝します。

私はこの仕事が大好きです。女性であり、黒人やラテン系であるトランスのアーティストとして、あらゆるインターセクショナリティを表現しています」 

第73回エミー賞でロドリゲスが候補となったのは、ドラマ部門の主演女優賞。『POSE』はほかにも、作品賞や主演男優賞(ビリー・ポーター)など、全9部門にてノミネートされている。

CNNなどによると、エミー賞に、トランスジェンダーの俳優が初めてノミネートされたのは、2014年。Netflixの人気オリジナルシリーズ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に出演するラバーン・コックスが助演女優賞部門の候補となった。それから7年、ついに主要部門である主演女優賞でもノミネートされ、歴史がつくられた。

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『POSE』出演者。左からビリー・ポーター、ドミニク・ジャクソン、MJ・ロドリゲス、インディア・ムーア(2019年3月23日撮影)
Gregg DeGuire via Getty Images

『POSE』とは? 前回は候補ならず、エミー賞に批判も

『POSE』の製作総指揮を務めるのは、『glee/グリー』などで知られるライアン・マーフィーで、「ストレートの男性がトランスジェンダー役を演じる時代はもう終わり。ハリウッドで働きたいと思いながらも中々チャンスを得られない人々へ、より多くの機会を提供する時期だ」という思いから、トランスジェンダーの人々を対象に大規模なオーディションを実施。メインキャストはじめ、総勢50名のトランスジェンダーの俳優が起用されている。また、脚本・監督などで、当事者であるジャネット・モックも参加している。

2020年は、ロドリゲスをはじめとした『POSE』のトランスジェンダーの俳優はノミネートされず、エミー賞に対し批判があがった

2021年6月には、性的マイノリティの権利擁護団体GLAADが公開書簡を発表。これまで、アメリカの映画やドラマなどにおいて、トランスジェンダーのコミュニティが正当に評価されることなく、実生活にも影響を与えるような有害な描写が繰り返されてきたことを訴えた。

そんな中、『POSE』は「ハリウッドにおけるトランスジェンダーをめぐるリプレゼンテーション(社会を構成する人々や文化の多様性を示す表現)を一変させ、トランスジェンダーの人々が何者であるかを世界に教えた」として、その功績を支持するよう促していた。

GLAADは、ロドリゲスのノミネートを受けコメントを発表。「ハリウッドのトランスジェンダー女性にとって画期的な出来事であり、『POSE』の過去3シーズンにわたる彼女の素晴らしい演技が、ようやく認識される時がきた」と称賛した