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平成のお笑いシーンを振り返る。令和に活躍する芸人は? ドキュメンタル最新シーズン開始!

『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』シーズン7、4月26日より配信開始

YouTubeの登場や各種SNS時代の到来により、お笑い芸人をとりまく環境が変わった平成の終わり。令和時代には、どんな笑いがもてはやされるのだろうか。

『教養としての平成お笑い史』を上梓したお笑い評論家のラリー遠田氏、多くのバラエティ制作者を取材するマイナビニュースの中島優氏、様々なお笑い芸人のパーソナルインタビューを担当している編集者の小沢あや氏による、鼎談を実施し、平成のお笑いシーンを振り返る。

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左から小沢あやさん、ラリー遠田さん、中島優さん
TAKAKO IIMOTO
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ラリーさんは昭和54年、小沢さんは昭和62年、中島さんは昭和58年うまれ
TAKAKO IIMOTO

バラエティ番組の変遷

ラリー遠田
平成が始まってしばらくは、ネタ・コント番組が主流だったんですよね。それがだんだん終わって、『めちゃ×2イケてるッ!(平成8〜30年)』のようなロケバラエティが出てきた。そこから、お笑いバラエティの作りがちょっと変わったんですよね。

中島優
『めちゃイケ』も、初期はコントやってたんですよね。でも、鉱脈はそっちではなかったことに気がついてやめた。ドキュメントバラエティの代表格である『電波少年』の土屋敏男さんが「フジテレビのコントのDNAにうまくドキュメント性を合わせた番組」だと話していました。テロップや効果音を使った、スタッフから演者へのツッコミも新しく、『アメトーーク!(平成15年〜)』『ロンドンハーツ(平成11年〜)』の加地倫三さんなど、多くの制作者が影響を受けたと言っていました。

小沢あや
岡村さんがわちゃわちゃしているところにBGMが流れて「ここ、面白いところ!」って強調してくるのもよかったですよね。小学生でもわかりやすかった。

中島優
僕とラリーさんはダウンタウンさんに衝撃を受けた世代ですけど、小沢さんは何の番組が好きでしたか?

小沢あや
『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!(平成8〜14年)』が印象的でした。芸人さんが、社交ダンスとか演奏、別の領域でチャレンジする企画が多くて、芸人さんを人として好きになれる番組でしたね。今はSNSがあるけど、当時はネタがメインの番組が多くて、パーソナルな部分が見えてこなかったんですよね。『ウリナリ!!』で、それまではスターだった芸人さんへの「共感」「応援」が広まったような気がしています。


ネタの尺とテンポの変化

小沢あや
ネタ番組でいうと、2000年代に短いネタでポンポン見せていく時代がきましたよね。

中島優
お笑いの尺を変えたという意味では、『爆笑レッドカーペット(平成19〜26年)』の影響が強いですよね。やっぱり。

ラリー遠田
原点は多分『エンタの神様(平成15年〜)』。編集でネタをぶつ切りにして面白いとこだけ繋いだり、笑いを足したりとか、従来だったらできなかったようなことをやって。それで視聴率取ったから、どんどんネタのテンポが上がっていった。『M-1グランプリ(平成13年〜)』など賞レースは、その反動でじっくりネタを見せたいというとこから生まれた番組ですよね。


SMAPがつくった新たなジャンル

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アイドルと芸人はライバル関係にあった
TAKAKO IIMOTO

ラリー遠田
平成のお笑いで欠かせないのは、SMAPの存在。バラエティやるアイドルって初めてで、当時はすごい衝撃的でした。

中島優
『ダウンタウンのごっつええ感じ(平成3〜9年)』が終わる頃って、ほとんどコント番組はなくなっていました。その中で『SMAP×SMAP(平成8〜28年)』がコントやったらウケたっていうのは、すごいことですよね。

ラリー遠田
ジャニーズタレントって、総合力高いんですよね。演技もできるし歌もできるし、ばかなこともできる。たけしさんも、すごい昔から警戒心を抱いていたらしいんですよ。たけし軍団にも「ジャニーズがお笑いやり始めたら、太刀打ちできない。今のうちに芸を磨け」って言ってたみたいで。

小沢あや
逆に、お笑い芸人さんたちが俳優や歌手として活躍することも増えましたよね。『人生は上々だ(平成7年)』では浜田さんと木村さんが共演して。

ラリー遠田
さんまさん、たけしさんが先駆者で、平成に入って「お笑い第三世代」とんねるず、ウッチャンナンチャン、ダウンタウンが出てきた。その辺の人たちの特徴って、とにかくみんなビジュアルがかっこいいんですよね。それまでの芸人のイメージを覆した。

中島優
ダウンタウンさんなんて、大阪時代に歌だけでお笑いを全然やらないライブがあったそうですから(笑)。

小沢あや
思えば、みんなCD出してましたね。とんねるずも、野猿で連続ヒットを飛ばして、ウンナンもブラビとポケビをやって。全部買ってました!

ラリー遠田
平成は、アイドルが芸人化し、芸人がアイドル化した。よりボーダレスになってきたっていうことですよね。


女芸人のあり方も変わった?

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F-1層に支持される女性芸人は?
TAKAKO IIMOTO

小沢あや
平成の間に女芸人のあり方も変わって、多様化してきましたね。

中島優
平成の女芸人で一番成功したのは、山田邦子さんですよね。『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ(平成元年〜4年)』とか、いわゆる総合バラエティで冠を持った女芸人は、後にも先にも邦子さんしかいない。

ラリー遠田
祭り上げられてたから、不倫報道後は反動もすさまじくて。一時期好感度1位まで行ったのが、どん底まで落ちた。やっぱりガラスの天井があるのかな。女性は男性の中に1人だけいると紅一点でちやほやされるんだけど、ある程度まで出てくるとめちゃくちゃ叩かれる。今もまだそれがあるから、ガンガン出てくる人っていないですよね。

小沢あや
つらいですね……。今は、女性に好かれる芸人が活躍しているように思います。光浦靖子さんとか、渡辺直美さんとか。

ラリー遠田
生き方自体が憧れの存在になると、バッシング受けにくいですよね。昔のバラエティって、結局男が作って男が見てたんですよ。今は女性側の視聴者のほうが分厚いから、制作サイドも「女性に共感してもらえる存在」として女芸人が重宝されてる。僕は最近はAマッソが好きなんですけど。

小沢あや
私も大好きな女芸人さんいっぱいいるんですが、声を大にして推したいのは阿佐ヶ谷姉妹です。ネタも、自虐はしつつも周囲を攻撃せず、自分たちの生活を肯定していて上品。彼女たちが「安心しておばさんになってください」と言ってくれることが希望というか、すごく今っぽいなと。ちょっと先を行く女の先輩として、私にとってスターなんです。ロールモデル。

ラリー遠田
女性芸人がテレビに出ると、「ブス」「モテない」とか、分かりやすい役柄をやらされるんですよね。でも、阿佐ヶ谷姉妹はそういう圧から自由になってる。

小沢あや
そうなんです。他の芸人と過激にやりあうこともなく、ありのままの彼女たちが受け入れられていることに、安心感があるんです。スピード勝負の最近のお笑い界の中では異質で、テンポもおっとり。『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝して、ちゃんと結果も出している。かっこいいです。


令和時代の笑いはどうなっていく?

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芸人の働き方も多様化するのでは? と盛り上がる
TAKAKO IIMOTO

ラリー遠田
平成は、ネットメディアやYouTube、BSやCSなどいろんな場所ができて「自分の好きなフィールドで戦えばいい時代」になったと感じます。令和時代は、それぞれのメディアに合わせた新しいコンテンツがいろいろ生まれて、お笑いの土壌としては、かつてないほど豊かになると思いますね。

小沢あや
マスに向けた笑いではなく、狭いジャンルでウケる人がたくさん出てくると思います。活躍の場が細分化して、今よりもっとプロアマの境目が薄くなると思うんです。芸人が複業をやるんじゃなく、複業で芸人をやる人たち。「情シスあるある」みたいなネタをやるエンジニア芸人とか、出てくるかも。

中島優
しゅんしゅんクリニックPさんみたいな感じですね。僕は、芸人さんになるハードルが下がるんじゃないかなと思うんです。今はお笑いの養成所に行くのが定番パターンだけど、YouTubeとか、見つけてもらえる機会がたくさん出てきたじゃないですか。学費のハードルもないし、仕事しながらでもできる。それに、タモリさんとか所ジョージさんみたいな、弟子入りでも養成所出身でもない異質な存在が出てくると面白いですよね。


テレビからインターネットへ、は本当?

中島優
「若者のテレビ離れ」というけれど、結局YouTubeで違法アップロードされたテレビ番組を見てたりしますよね。だから、テレビもラジオにおけるradikoみたいにタイムシフトでどこでも楽しめるようなな無料アプリができたら、みんなもっと見ると思うんですよ。お金かかってて良質ですからね。

ラリー遠田
昔の地上波は、ゴールデンはみんなが見る番組、深夜は誰も見てない番組。深夜なら好きなことやっていいよって感じだった。今は深夜がゴールデン化してるから、過激な番組が押しやられちゃってるんですよね。それがウェブに流れてる。

小沢
ネット番組は、視聴者だけでなくスポンサーを意識しなくていいのが強みですよね。Amazon Prime Videoでやっている『戦闘車(平成29年〜)』も、自動車メーカーがスポンサーについている地上波ではなかなかできないですよね。ダウンタウン好きなおふたり、『ドキュメンタル(平成28年〜)』シリーズはどうですか?

ラリー遠田
ドキュメンタルという企画自体が、松本さんのこれまでのお笑いの集大成みたいなとこありますよね。松本さんは芸人としていろんな面がありますが、「笑い」自体を誰よりも考え詰めてる。人はどういうとき笑うんだとか、こういう状況を作ったらより笑えるのではないかみたいなのを、まるで科学者がビーカーで薬品を混ぜて実験するかのようにやってる。松本ラボですね。

中島優
スタッフの心意気もすごいですよね。春日さんが局部からミニチュアのカレーライスを出す場面があったんですけど、「どうにかカットせず使ってやろう」という気持ちが伝わってきました。「綺麗に隠すために、映像も軍事技術を使ったんだ」と、総合演出の小松さんに聞きました(笑)。

小沢あや
前シリーズは女芸人さんがいっぱい出ていて、どう戦うのかと思ったらまさかのゴリゴリの体張り芸で、ハラハラしながら見てたんです。でも、潔く体を出しちゃうゆりやんさんがいるなか、森三中黒沢さんは肌色のタイツを下に着用していたんですよ。体張るのも、それぞれ自由な範囲でやっていることがわかって安心しました。


新シリーズで活躍するのは誰?


ーー今回は雨上がり決死隊宮迫さん、たむらけんじさん、ハリウッドザコシショウさん、小籔さん、フットボールアワー後藤さん、東京ダイナマイトハチミツ二郎さん、ザブングル加藤さん、千鳥ノブさん、トム・ブラウンみちおさん、霜降り明星せいやさんの10人が挑戦します。どなたに期待をされますか?

ラリー遠田
やっぱり、ルーキーとして期待するのは霜降り明星のせいやさん。

小沢あや
いま一番の注目株。せいやさん、基本スタイルは漫才ですけど、ネタの中でとにかくボケまくりますからね。動きも派手ですし、短い時間でどんどん仕掛けてきそうな気がします。

ラリー遠田
せいやさんは、笑いのポテンシャルがとにかく高い。僕の中ではポスト岡村隆史です。器用なのに、ちょっと抜けてる感もあるんですよ。逸材です。

中島優
僕は、ザブングルの加藤さんかな。『さんまのお笑い向上委員会』で独特の存在感を放っていますが、周囲を巻き込む感じがあるんですよね。宮迫さんも、扱い方慣れてると思うんで。無理に絡もうとしないとは思いますが、楽しみです!

10人の芸人が繰り広げる笑わせ合いバラエティ『HITOSHI MATSUMOTO Presentsドキュメンタル』。参加費1人100万円、制限時間6時間。優勝賞金1000万円の基本ルールは変わらず、シーズン7ではまた新たなルールが追加される。初出演となるのは、昨年のM-1チャンピオンである霜降り明星 せいや、同じくM-1で爪痕を残したトム・ブラウン みちお。そして、「くやしいです」でおなじみのザブングル加藤、さらに吉本新喜劇の人気座長である小籔千豊までもが満を辞して登場する。Prime Video随一の超人気バラエティ番組、最新シーズンは4月26日より配信開始。