クイーン描いた「ボヘミアン・ラプソディ」 フレディ役のラミ・マレック、逆さまでピアノ弾くシーンに悪戦苦闘(記者会見全文)

出演者3人が東京都内で会見し、撮影秘話などを語った
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映画「ボヘミアン・ラプソディ」でもクライマックスとして描かれるライブ・エイドに実際に出演した際のフレディ・マーキュリーさん=1985年7月、ロンドン郊外のウェンブリー・スタジアム
Mirrorpix via Getty Images

イギリスのロックバンド、クイーンの活動を再現した映画「ボヘミアン・ラプソディ」(11月9日から公開)で、主人公のフレディ・マーキュリーさんを演じたラミ・マレックさん(37)ら3人が11月8日に来日し、東京都内で記者会見した。

ラミさんらの演技は「実物とそっくり」と評判になっており、会見では役作りに悪戦苦闘したエピソードなどが明かされた。

クイーンは1971年に結成されたグループで、メンバーは、ボーカルのフレディ・マーキュリーさん(1991年、45歳で死去)、ギターのブライアン・メイさん(71)、ドラムのロジャー・テイラーさん(69)、ベースのジョン・ディーコンさん(67)の4人。

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若き日のクイーンのメンバーたち。左からロジャー・テイラーさん、フレディ・マーキュリーさん、ブライアン・メイさん、ジョン・ディーコンさん=1977年
Richard E. Aaron via Getty Images

マーキュリーさんの力強い歌唱力に加え、ロックにオペラやジャズ、ロカビリー、ディコミュージックなどの要素を取り入れた斬新な楽曲に挑戦し、世界的に人気を博した。

映画のタイトルになっているボヘミアン・ラプソディは、クイーンの代表曲で、ロックをベースに、アカペラやバラード、オペラの要素がつまった作品だ。

マーキュリーさんはエイズによる合併症のために亡くなったが、メイさんとテイラーさんを中心に今もクイーンとして活動は続いている。

映画は実話をもとに制作。物語は、マーキュリーさんがロンドンのヒースロー空港で働きながらライブハウスに通いつめ、そこで出演していたメイさんとテイラーさんと出会ってクイーンを結成するところから始まる。

その後、「キラー・クイーン」「ボヘミアン・ラプソディ」などのヒット曲をつくりあげ、スターダムに上っていくメンバーの姿を描く。

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映画「ボヘミアン・ラプソディ」のワンシーン
© 2018 Twentieth Century Fox

マーキュリーさんは自身のソロ活動などをめぐっていったんほかのメンバーと険悪になるが、そうした困難を乗り越えて再び絆を深め、20世紀最大のチャリティーコンサートと言われた「ライブエイド」に出演。そこで映画はクライマックスを迎える。

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映画「ボヘミアン・ラプソディ」のクライマックス、ライブエイドのシーン
© 2018 Twentieth Century Fox

マーキュリーさんを演じたマレックさんはアメリカの俳優。「ミスター・ロボット」や「ナイトミュージアム」で好演したことで知られる。

このほか、メイさんをグウィリム・リーさん(34)、テイラーさんをベン・ハーディさん(27)=いずれもイギリス=がそれぞれ演じ、アメリカのジョー・マッゼロさん(35)がディーコンさんとして出演した。

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「ボヘミアン・ラプソディ」でクイーンのメンバーを演じた4人。左からグィリム・リーさん、ベン・ハーディさん、ラミ・マレックさん、ジョー・マッゼロさん=2018年10月23日、ロンドン
Mike Marsland via Getty Images

記者会見には、マレックさん、リーさん、マッゼロさんが出席した。冒頭発言と質疑の全やり取りは以下の通り(敬称略)。

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記者会見するラミ・マレックさん(中央)とジョー・マッゼロさん(左)、グウィリム・リーさん=2018年10月8日、東京
Kazuhiro Sekine

マレック)東京で映画の公開を祝うことができることはことのほか、誇らしいです。クイーンは日本の人たちにとても愛され、彼らのDNAの中や自宅、音楽にまで日本の文化は影響し、組み込まれています。

私が大好きなフレディ・マーキュリーの写真の一つに、彼がステージ上でゴージャスな着物を着たものがあります。また、映画で使った着物を私も宝物として取っておいてあります。フレディ・マーキュリーたちは実に50回、日本で公演しているのです。

そうした素晴らしい場所で今回、私たちの来日も格別なものなのです。ご招待いただき本当にありがとうございます。

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会見で撮影の裏話などを語るレミ・マレックさん
Kazuhiro Sekine

リー)クイーンは1975年に有名な武道館で公演をしています。そのとき、彼らは将来の成功を確信したことでしょう。

そういったこともあり、私にとっても日本訪問は長年の夢でした。こうした形でみなさんと映画の公開の喜びを分かち合えるのは本当に光栄です。夢ではないかと、ほっぺをつねっている感じです。緑茶が最高ですね。

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来日したクイーンのメンバーら=1976年3月、東京
Shinko Music via Getty Images
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グウィリム・リーさん
Kazuhiro Sekine

マッゼロ)来日できたことが全く信じられません。私たちは映画の撮影初日から、映画が完成してプロモーションで日本に行けたらすごいよねと話していたんですが、まさかその夢が実現するなんて。素晴らしいことです。

本当に大勢の方に歓迎されて謙虚な思いと素晴らしい気持ちでいっぱいです。残念ながら今回ベンが来日できなかったので、後ろの彼の写真ボードをここまでおろしてきましょうか(笑)。

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ジョー・マッゼロさん
Kazuhiro Sekine

――伝説的なバンド・クイーンのどういうところをリスペクトしていますか。

ラミ)リスペクトしていない部分を答えるほうが簡単ですね(笑)。彼らの音楽は世代や文化、ジャンルを超え、私たちの個人的な記憶の中に宿っています。

自分たちも以前から好きでよく彼らの曲を聞いていましたが、今回この映画に出演することで、クイーン愛が倍増しましたし、学ぶこともありました。

ブライアン・メイとロジャー・テイラーが温かく迎えてくれてサポートもしてくれました。2人は、私たちがクイーンのメンバーを演じるのに相応しいのだと思わせてくれました。

私たちも演じることで曲の意味合いなどを学ぶことができました。そうした新しい経験からクイーンの楽曲を解釈することができました。ありがたいです。

撮影が終わってアメリカに帰っても、車の中ではクイーンの曲ばかりを流していました。仲間うちで曲の感想なども言い合い、そうしていくうちに一層、クイーンへの愛情が深まりました。

映画でもご覧になったとおり、「ボヘミアン・ラプソディ」という曲は完成した当初、批判されていました。しかし、それはクイーンがいかに時代を先取りし、革命的な曲をつくったかということです。

だからこそ2018年の今、私たちは映画を作り、この曲が再び世界中を席巻することになったのです。これはもちろん、クイーン自体が素晴らしいからです。

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「ボヘミアン・ラプソディ」で、クイーンのメンバーがレコード会社を立ち去るシーン
© 2018 Twentieth Century Fox

新しい世代にもクイーンを知ってもらえてうれしい。ベートーベンやガリレオら、あまりにも先進的すぎてその時代には受け入れられなかった人たちがいますが、彼らの遺産は何百年も生き続けている。クイーンも疑いなく、同じです。

フレディ・マーキュリーを演じ終わったとき、私は人間として解放されたような気がしました。心地よくないことでも十分、やれる気がしました。

クイーンの音楽はあらゆるステレオタイプ、音楽だけでなく人間としてのステレオタイプを崩すということです。同調圧力のようなものを押しのける力です。その意味で、彼らは文化的にも先取りしていました。

クイーンとフレディはステージで観客と音楽を結びつけるようなことをやっていました。そして彼らは本当の人生を送ったと思いますし、自由を主張するだけでなく、それを求めている人たちに与えました。

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「ドン、ドン、チャ」のリズムが有名な「ウィ・ウィル・ロック・ユー」が誕生するシーン
© 2018 Twentieth Century Fox

リー)彼らの音楽はあらゆることを祝福するという要素があります。周りの批判を恐れず、強い信念を持ち、自分たちの才能を信じていました。リスクを取ることも恐れませんでした。

クイーンは何か一つのものに定義されることを嫌っていました。映画の中でもジョン・ディーコンが「クイーンは一様ではない」と言ったとおりです。

私自身、そうしたところからも影響を受けましたし、リスクを取ることを恐れないようにもなりました。

この映画は子供連れで見ることもできます。親の世代がかつて情熱を持って楽しんでいたクイーンの音楽を、子ども、若い世代に自信を持って受け継ぐことができます。

つまり、彼らの音楽が時代を超えてずっと生き続けるということであり、それが日本のファンにも伝わればいいと思います。

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映画「ボヘミアン・ラプソディ」のクライマックス、ライブエイドにクイーンが出演する場面
© 2018 Twentieth Century Fox

――実在の人物を演じる難しさはありましたか。

リー)はい。プレッシャーはもちろんありました。ストーリーだけでなく、人物の性格です。

私が演じたのはブライアンだったのですが、彼とファンに対する責任は重大でした。裏切ってはいけないという気持ちです。でもそれはいい意味でのプレッシャーになり、モチベーションでもありました。

それがあるから懸命になって役作りをしましたし、やるべきことはたくさんありました。例えばブライアンのようにギターを弾かなくてはいけないとか。

でも、撮影の最初のころ、ブライアンとロジャーが現場に来てくれて激励してくれたんです。それで自信を持つことができました。

マレック)私が覚えているのは、フレディ・マーキュリーが逆さまになってピアノを演奏するシーンですね。脚本の22ページ目に書いてあり、これは大変だと思いました。

彼は自らのその手で、何千人、何万人という観衆をとりこにするわけですね。まあ、超人です。逆に私は、人間としての彼を演じるためにはどうしたらいいのだろうかと、試行錯誤しました。

彼は多数の観衆を包み込むことができる一方で、誰かに包み込まれたかったのではと思いました。彼の人間としての複雑さに注目し、研究しました。

それは、例えば彼が移民だったこと。18歳のときロンドンにやって来たこと。ロックスターになる必然性はなかったこと。そして両親は彼にロックスターではなく、弁護士や医師になってもらいたかったことなどです。

私の両親もエジプトからアメリカに移住したんです。そして私は今、フレディ・マーキュリー役として、東京で記者会見に出席している。バスをバックにして(笑)。両親も想像もしてなかったでしょう。

マッゼロ)バスがバックにあること以外は想像できたんじゃない?(笑)

マレック)つまり、これは何を意味するかというと、あらゆる可能性があるということです。

マッゼロ)過去に実在の人物を演じたことはありますが、こんなに有名人を演じたことはこれまでになったし、彼らの家族やファンに対する責任は重大でしたね。

ボヘミアン・ラプソディの曲の時、私はジョン・ディーコン役としてちょっとしたダンスをしたんですね。で、このダンスは予告編に入っているんですが、それを見た人がソーシャルメディアで「こんなジョンの動きは見たことないな」と投稿すると、すぐさま10人から反応があって、「モントリオール、1981年の公演」と(笑)。コンサート名と日付が正確に投稿されたんです。まさにこのために自分は準備をしてきたんだと感じました。

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記者会見に集まった記者たちをバックに「自撮り」するマレックさんら
Kazuhiro Sekine

――ラミ・マレックさんにうかがいたい。フレディ本人の映像ではないかと見間違うぐらいしゃべり方、歌い方がそっくりだった。役作りをかなり研究したと思うが、何が一番参考になりましたか。日本の何かを参考にしましたか。

マレック)口ひげをつけたらもうそれでそっくりです(笑)。役作りは1年かかりました。すべてのアーカイブも当たりました。ラジオやインタビュー、コンサート...、日本のコンサートももちろん、すべて見ました。日本のファンが撮影したとみられるホームビデオすら見ました。

彼の動きは自然発生的なんです。それはステージ上だけでなく、私生活でも。だから彼の一挙手一投足から目が離せませんでした。

動きを真似るんではなく、彼と同じように自然に動けるようにしないといけなかったんです。なので、振付師について学ぶのではなく、動作の研究をしました。

母親の話す癖も研究しました。それによって、彼のなまりがどこから来たのかを知ろうとしました。

彼が子どものころ見たであろう、(アメリカのダンサー兼振付師の)ボブ・ホッシーや女優のライザ・ミネリの動きも参考にしました。

しばしばフレディは拳を突き上げますよね。あれはどこから来たのか。子どものころ、ボクシングをやっていたからだと。だから私は、彼がいままでやってきたことがどう進化してその後の動きになっていったかを考えました。

フレディの動きを真似しようとするのではなく、フレディの動きの進化を理解しようとしました。

そうした訓練は毎日続き、自宅でもやっていました。フレディを裏切らないようにしようと思っていました。

とはいえ、メークアップアーティスト、衣装デザイナー、ライブ・エイドのコンサートステージを再現してくれた関係者、才能ある人たちみんなで、この伝説的なバンドのストーリーをつくったのであり、すばらしいことです。

特にプロデューサーのグラハムキングとデニス・オサリバンがいなければこの作品はできませんでした。

また、たくさんのスタジオが断る中、フォックスが制作に手を上げてくれたのは本当に感謝しています。日本のフォックスの人たちにもお礼を言いたい。こんな寒い日に会場に集ってくれた皆さん、ありがとう。

(緑茶が入ったカップを手に持って)温かい酒をありがとう(笑)

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記者会見後、会場に手を振るマレックさんら
Kazuhiro Sekine