米津玄師さんが「カナリヤ」に込めた思いは? 是枝裕和監督によるMVから読み解く

MVの中では登場人物がマスクをしていたり、コンビニのレジにはビニールカーテンがかかっていたりと、コロナ禍の状況を伺わせる。
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アルバム『STRAY SHEEP』ジャケット写真
公式サイトより

米津玄師さんが11月19日、アルバム『STRAY SHEEP』収録曲「カナリヤ」のMVを公開。撮影は映画監督の是枝裕和さんが担当した。

音楽と映画、それぞれ第一線で活躍する両者のタッグの実現に、ネットでは「豪華すぎる」「短編映画みたい。朝から泣いた」など、反響が広がっている。

 

オリコンニュースなどによると、出演しているのは若手俳優の蒔田彩珠さんや、田中泯さん、淵上泰史さん、朝見心さん、本村海さん、倉野章子さんで、3世代にわたる物語が描かれている。

米津さんと是枝監督がタッグを組むのは、今回が初だという。

 

どんなMV? 歌詞とあわせて読み解くと…

 「カナリヤ」は、ピアノをベースにしたミディアムバラードで、アルバムの最後を飾る楽曲だ。

音楽サイト・ナタリーのインタビューで米津さんは、この楽曲を作ったのは、新型コロナウイルスが流行し、多くのアーティストたちが楽曲などでメッセージを発信している最中で、自分は何をするべきか考え、制作した曲だと明かしている。

MVの中では登場人物がマスクをしていたり、コンビニのレジにはビニールカーテンがかかっていたりと、コロナ禍の状況を伺わせる。

時間軸は2つあり、新型コロナウイルスが流行する以前と以後を歌っているとも解釈できる。「ありふれた毎日が 懐かしくなるほど」という歌い出しからも、過去に思いを馳せていることがわかる。 

アニメーションで描かれた黄色のカナリヤは、かよわさや儚さなどを象徴するモチーフのようだ。

男女がバスケットをしたり一緒に川辺を歩いたりと、日常的なシーンもある一方で、そうした人と人との触れ合いが、新型コロナによって奪われてしまった日常を描いているようにも思う。

それでも、サビの歌詞から読み解けるのは、変わっていくことを肯定しようとする思い。時世に左右されない、普遍的な楽曲でもある。MVの最後では、米津さんを含めた登場人物がみな空を見上げているシーンで締め括られる。

なお、オリコンニュースなどによると、アルバム『STRAY SHEEP』の収益の一部は、カナリヤ基金を通じコロナ禍で困窮している人々に寄付するという。