イランと世界の女性たち、髪を切ってヒジャブ着用強制に抗議「もうたくさんだ」

マフサ・アミニさんは、頭部をしっかり覆ってないとしてイランの道徳警察に逮捕され、死亡した。イランの女性を支援する抗議活動が、世界中に広がっている。
Open Image Modal
トルコ・イスタンブールで開かれた、マフサ・アミニさんの死に抗議する抗議活動(2022年9月20日)
OZAN KOSE via Getty Images

イギリス・リーズに住む20 歳のソーティアム・ グダルジさんは9月、イランの女性たちに連帯するため、髪を切った。

イランでは、22歳のマフサ・アミニさんがヒジャブで髪をしっかり覆っていなかったという理由で道徳警察に身柄を拘束された後、死亡した。

この事件をきっかけに、イラン国内や世界各地で大規模な抗議活動が起きている。

イギリス・オックスフォード大学の学生で、9歳までイランに住んでいたグダルジさんにとって、この出来事はとても重要だという。

「イランに住む女性たちとの連帯するために、髪を切りました」 「イランではインターネットへのアクセスが制限されているので、抗議行動のことを広く伝えたいという気持ちもありました」とハフポストUK版に語った。

Open Image Modal
アミニさん死に抗議するデモに参加し、カナダバンクーバー・アートギャラリーの外で髪を切る女性(2022年9月25日)
Anadolu Agency via Getty Images
Open Image Modal
ギリシャ・アテネで開かれた抗議活動でも、女性たちが髪を切った(2022年9月24日)
Milos Bicanski via Getty Images

 

抗議のきっかけになった若い女性の死

イランでは、イスラム教による厳しい服装規程があり、女性はヒジャブ着用が義務付けられている。

アミニさんは9月13日、イランの首都テヘランを訪れた時に、ヘッドスカーフで頭部をしっかり覆ってないという理由で道徳警察に身柄を拘束された後、昏睡状態に陥り、9月16日に死亡した。

警察は死因を心臓発作と発表したものの、家族は「アミニさんは健康上の問題を抱えておらず、殴打された疑いがある」と訴えている。

最初の抗議活動が始まったのは、アミニさんの故郷コルデスターン州で開かれた葬儀だ。死に激怒した女性たちが厳格な法律に抗議して、ヒジャブを脱ぎ始めた。

Shayan Sardarizadehさんのツイート:コルデスターン州サッケズで行われたマフサ・アミニさんの葬儀で、女性たちがヒジャブ着用を義務付けるイランの法律に抗議し、「暴君に死を」と叫びながらヘッドスカーフをはぎとりました。22歳のマフサは、道徳警察に逮捕され、身柄を拘束された後に死亡しました。

 

抗議活動は、少なくとも15の都市に拡大。男性を含む多くの人々が女性の権利擁護を訴えてイラン政府への不満を表明し、「独裁者を倒せ!」などと叫んで抗議した。

また、女性たちは髪を切り、ヒジャブを燃やす形でも反発。ここ数年で最大の規模の抗議活動になっている。

Leena Manimekalaiさんのツイート:この切った髪を旗にして掲げている写真は、今世紀を象徴しています。

Masih Alinejadさんの投稿:これは、今日のイランです。女性たちが、最もわかりやすい宗教指導者による独裁のシンボルである「ヒジャブ着用義務付け」に抗議して、堂々と燃やしています。ヒジャブ警察はマフサ・アミニさんを殺しましたが、何百万ものマフサたちが、ジェンダーアパルトヘイト政権によるヒジャブ着用義務付けにノーを突きつけています。

 

当局は、空気銃や放水銃などを使った暴力的な方法で抗議活動を弾圧しており、 9月24日時点で、少なくとも11人の死亡が確認された。

さらに、イラン政府はインターネットを制限して、市民の情報交換を妨害し、抗議活動の様子が海外に広まらないようにした。

それでもデモの様子は世界中に拡散し、 イラン国外の女性たちも、抗議や連帯、追悼のために髪を切り、その動画をSNSに投稿している。

soutiamさんのツイート:イランの女性たちに連帯するために、髪を切ることにしました。抗議活動について、もっと知ってもらいたい。特に、イランの人たちはインターネットのアクセスが制限されていますから。

 

その一方で、イラン国内の一部の都市では、ヒジャブを着用した女性たちが「私たちは指導者に従う」と書かれたプラカードを持って、政権を支持する姿勢を示している。

イギリスでも連帯

イギリスでは、ロンドンやバーミンガムで抗議活動が行われており、女性たちが連帯を示すために髪を切っている。

Roberto Tovarさんのツイート:今日ロンドンであった、イランに連帯するデモ

22歳の時にイギリスに移住したロンドン・スクール・オブ・エコノミクス博士課程のソマヤ・トヒディさんは、 イランへの帰国が困難になるリスクを抱えながらも、髪を切るオンラインデモに参加した。

「私はヘッドスカーフを被りませんが、イスラム教の信者であり、そのことをソーシャルメディアで明確にしています。髪を切る動画をソーシャルメディアに投稿することで、宗教を信じながら政府に反対できると宣言しようと思いました」

帰国が困難になるとわかっていながら動画を投稿したのは、「自分ができる最低限の犠牲だ」と思ったからだという。 

「内戦を恐れていたので、私にとって革命は受け入れがたいものでした」 「でも今は、もうたくさんだと思っています」

Open Image Modal
ソマヤ・トヒディさん
SOMAYEH TOHIDI

イランで無宗教の両親のもとに生まれた、慈善団体「ヒューマニスツUK」の副代表でコメディアンのシャパラク・ コーサンディさんは、子どもの頃に家族と一緒にイギリスに亡命した。

コーサンディさんは、「イランの政権は、自由に生きようとする女性を殺している」と批判する。

「これはイランだけではなく、世界の問題です」「どうか目をそらさないでください。この基本的人権の否定は、人間の尊厳に対する侮辱なのです」

コーサンディさんは、イランの女性を支援するために、事件や抗議活動について伝えてほしいと話す。

「マフサ・アミニさんは、もう声を上げられません。私たちは連帯して、アミニさん、そして選択肢と民主主義を手にするために抗議しているイランの女性の声を広げる必要があります」

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。

 

―――

ひとりひとりが、サステナブルな地球環境の中で、自分らしく生きていくためにーー。

ハフポスト日本版は「SDGs」「多様性」「働き方」の三つのテーマを大きな柱としています。時事ニュース、企画特集や個人の声を拾い上げるオピニオンなど多様な記事を発信し、ハフポストの記事から会話を始めること、多くの関係者と協力しながら社会問題を解決することを目指していきます。