トム・クルーズさんの“偽”動画、そっくりすぎて「恐ろしい」の声。TikTokで再生回数1100万回超える

トム・クルーズさん本人ではないと見抜けないほどの仕上がり。本物と簡単に信じ込ませてしまう、ディープフェイクの恐ろしさを知ることができます。
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トム・クルーズさんのディープフェイク動画
TikTok

「マジックをお見せします」「全て本物です」--。

これが偽物だと、どれだけの人が気づけるだろうか?

俳優のトム・クルーズさんにそっくりの顔をした人物が、ゴルフや手品をする「ディープフェイク」動画がTikTokに投稿され、話題を呼んでいる。

ディープフェイクとは、ディープラーニングと呼ばれる人工知能(AI)の技術手法を活用し、顔や体の部位を合成して作り出された本物そっくりの画像や映像のこと。トム・クルーズさんを模した動画は3本あり、「@deeptomcruise」というアカウントから投稿された。動画は日本時間の3月4日午前9時時点で、非公開になっている。

まるで本人が視聴者に語りかけているような本物そっくりの出来栄えだ。“偽物”の動画はネット上で話題になり、再生回数は1100万回を超えた。

 

TikTok「規則違反ではない」

アメリカのビジネス誌「FORTUNE」によると、動画を作成したのは、映像の特殊効果のスペシャリストChris Umeさん。Chrisさんは、極めて質の高いディープフェイク動画の作成を得意とする視覚効果のアーティストや、機械学習の専門家たちの間でよく知られているという。

Chrisさんは自身のサイトで、「私は最もクレイジーな動画を制作し、ユーモアが大好きです」とつづっている。サイトでは、アインシュタインやアメリカのトランプ前大統領など著名人たちのディープフェイク動画を公開している。

CNNによると、TikTokは「有害なディープフェイクや、なりすましに関する規則に違反しているわけではない」として、投稿者に対して措置を取らないと説明しているという。

 

「最も危険な犯罪の形態」

今回の動画に対し、SNS上では「ディープフェイクがどんどん恐ろしくなり、TikTokを乗っ取っている」といった不安の声も上がっている。

特に著名人や政治家などのディープフェイクは、デマを拡散させるための手段として使われる危険性がある。過去には、バラク・オバマ元大統領が、トランプ氏を侮辱するディープフェイク動画がネット上で広まり、問題になったこともある。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンは、ディープフェイクは「AIによる最も危険な犯罪の形態」と指摘する研究レポートを公開している。研究者はこの指摘の理由として、偽のコンテンツを見つけ出して投稿を阻止するのは困難なこと、公人の信用を傷つけたり、家族になりすまして資金を引き出すなどの犯罪に利用されたりする可能性があることなどを挙げている。