実写版『ムーラン』にボイコット運動。新疆ウイグル自治区で撮影、中国マーケットを狙うディズニーに批判も

『ムーラン』のエンドロールでは、「China Special Thanks(チャイナスペシャルサンクス)」の文字と共に、新疆ウイグル自治区にある中国共産党の宣伝部や公安部の機関名が複数挙げられている。
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『ムーラン』のハリウッド屋外広告=2020年3月13日撮影
Rich Fury via Getty Images

9月4日からDisney+で公開が始まったディズニーの実写映画『ムーラン』に対してボイコットを呼びかける動きが出ている。撮影の一部を中国の新疆ウイグル自治区で当局と協力して行われていたためだ。

『ムーラン』のエンドロールでは、「China Special Thanks(チャイナスペシャルサンクス)」として、中国での撮影で協力を得た機関や会社の名前が表示されている。この中に、新疆や新疆ウイグル自治区のトルファンにある中国共産党の宣伝当局や公安当局の機関名もある。

新疆ウイグル自治区をめぐっては、ウイグル族に対する中国政府の弾圧が国際問題になっている。ニューズウェークはウイグル族の女性に対して強制不妊手術や漢族男性との結婚奨励が進められていると告発している。

SNSでは「新疆は文化的ジェノサイド(大量虐殺)が行われている場所だ」「トルファンの公安局は新疆の強制収容所に深く関係している」と指摘する声とともに、「#BoycottMulan(ムーランをボイコットしよう)」というハッシュタグをつける動きが広がっている。

 

中国マーケットを狙うディズニーの思惑 

『ムーラン』のボイコットを呼びかける動きは1年前にもあった。

主役を演じる中国出身の俳優リウ・イーフェイさんが2019年8月、逃亡犯条例への抗議デモが行われていた香港について、自身のウェイボーで「香港警察を支持します」と投稿。香港の人々やデモを支持する人たちから批判を浴びていた。

だが、ディズニーが中国をマーケットとして重要視する中で発覚した新疆での撮影は抗議の動きをさらに複雑なものにしている。

香港の民主化運動に関わるジョシュア・ウォンさんは「『ムーラン』を観るということは、警察の残虐行為と人種差別から目を背けるだけでなく、イスラム教徒のウイグル人の大量投獄にも潜在的に加担することになるのです」と投稿。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、ディズニーは中国消費者を取り込む狙いがあるとした上で、「ディズニーはムーランの制作に当たって何カ月も調査し、同国内での上映を確実にするため、中国当局と脚本を共有した」と指摘。「ムーランは愛国者だが、新疆を舞台とすべきではない。新疆では、母国への愛を示すことでウイグル人は迫害されてきた」とボイコットを呼びかける人権活動家のコメントを引用している。

『ムーラン』は、ディズニーの長編アニメで初めてアジア人女性を主人公とした作品として知られる。今回の映画は、1998年に公開されたディズニーのアニメーション映画の実写版。

当初は3月に全米公開が予定されていたが、新型コロナウイルスなどの影響で公開日の延期が続き、Disney+での公開となった。Disney+が利用できない中国では、9月11日から劇場公開が予定されている