女性をレイプしようとした男を撃退⇒14日間の拘留で公安当局に批判相次ぐ

メディアの問い合わせに、公安当局も急遽調査を開始

「助けて!」

女性の家に押し入った男を撃退し、レイプ被害を防いだ男性が逆に警察に拘留される事態が中国で起き、ネットユーザーの公安当局への批判が強まっている。

押し入った男は、レイプ疑惑を否定している。

 

Open Image Modal
拘留のイメージ画像
Getty Images

 

■女性助けたはずが...傷害の罪に

中国メディア南方都市報などによると、事件が起きたのは2018年12月26日の深夜。中国福建省の福州市で、女性が男に後をつけられているのに気づいた。男は女性のアパートまで付きまとい、女性が部屋のドアを閉めると、鍵がかかったドアノブを蹴って壊し、部屋に侵入した。

男は女性の右ほほを殴るなどし壁に押さえつけると、無理やり服を脱がそうとしたという。

女性が「レイプされる、助けて」と叫ぶと同じアパートの上の階に住んでいた男性、趙さんが声を聞き、現場に駆けつけた。

趙さんは男を女性から引き離すと、立ち上がろうとする男性の腹部を蹴り飛ばし、被害を防いだという。

女性をレイプ被害から守ったはずの趙さん。しかし待っていたのは「故意傷害罪」として刑事拘留される結末だった。趙さんが男を蹴った際に、男の内臓が損傷したことから刑事責任を問われたという。一方で、押し入った男は刑事責任に問われなかった。

趙さんはその後14日間に渡って公安当局に拘留されたが、検察が逮捕を認めない決定を出したため、2019年1月に釈放された。

■公安当局へ相次ぐ批判

このニュースが現地メディアに報道されてから、ネットユーザーの公安当局に対する批判が強まっている。

この事件を伝えるメディアのSNS投稿には「もう誰も困っている人を助けはしないだろう」とか「強姦未遂の捜査はどうしたんだ」などといったコメントが相次いでいる。

女性の部屋に押し入った男は地元テレビ局の取材に対し無実を主張。「当日は女性の部屋のドアのところで遊んでいただけだ」などと説明している。

■「詳しい状況を調べている」

レイプしようとした男が処分を受けず、助けた男性が拘留される。現地メディア新京報が担当した晋安公安分局に問い合わせたところ、「現在このことについて調査を行なっている。近く結果を公表する」と回答したという。

しかしこのことについてもネットからは、「拘留しているときは何もしなかった癖に、今更調査を始めるとか、どういう理屈がわからない」と冷ややかなコメントが寄せられている。

趙さんには妊娠していた妻がいて、拘留中に出産した。新京報の取材に「私についた汚点を払拭したい。(拘留されたことが)子供に影響が及ばないよう願っています」と話している。