持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォームが設立

世界のタイヤ・自動車関連産業が天然ゴム生産の持続可能性について果たす役割は大きい。

2018年10月25日、持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム、GPSNR(Global Platform for Sustainable Natural Rubber)の立ち上げが発表されました。これは10月22日から25日まで、シンガポールにて開催されたWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)の関連イベントにて、WBCSD傘下で世界的なタイヤメーカー11社で構成されるTIP(Tire Industry Project)により発表されたものです。その名称の通り、この新しい枠組みは世界の天然ゴムの生産や利用が、より自然環境や社会的課題に配慮した方法で行なわれてゆくことを目指すものです。

保全と生産の共立を目指して

これまでWWFは、日々の暮らしやビジネスに欠かせないさまざまな自然資源、例えば森林分野では、木材、紙パルプ、パーム油といった産品に関して、FSC®(Forest Stewardship Council®)やRPSO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)といった第三者による認証制度の立ち上げに関わり、その持続可能な生産と利用を目指した活動を世界各地で行なってきました。

ここ数年、WWFとタイヤメーカーのミシュラン社、トヨタ自動車株式会社とのグローバルコーポレートパートナーシップ契約の締結なども契機となり、天然ゴムにおいても、そのトレーサビリティや持続可能性について確認しようとする動きが進んできました。

2018年2月には世界トップのタイヤメーカー、株式会社ブリヂストンも天然ゴムの持続可能な調達に関する方針を公表。その後、複数の世界的なタイヤメーカーが同様の方針を発表し、こうした動きは一層加速しています。

またこうした流れを一部の先進企業だけでなく、世界中の天然ゴムサプライチェーンと生産地へと拡大させるため、天然ゴムや持続可能性に関係する様々なステークホルダーにより、このGPSNRの設立に向けた準備が進められてきました。

業界を超えたプラットフォームへの期待と可能性

このような持続可能性の取り組みの背景にあるのは、やはり生産現場における森林減少、地域住民の権利侵害などといった環境・社会面での課題です。 東南アジアを中心に、まだまだ経済的には貧しい地域も多い生産地において、天然ゴム栽培を含む、さまざまな農産物生産は地域の人々や社会にとって重要な収入手段の一つとなっています。

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しかしその一方で、これらの地域がゾウやトラなどの絶滅の危機に瀕する大型の野生生物が生息可能な豊かな自然の森が残る、今や地球上で数少ない場所であることも事実です。

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そのため、生産地の自然環境を守りながら、いかに持続可能な生産が行なえるかの検討、具体的な取り組みの開始は急務とWWFは考えます。

生産量の約7割がタイヤの生産に使われるといわれる天然ゴム。世界の天然ゴム生産量、消費量はともに増加傾向にあり、その生産は過去40年間で3倍に拡大。2016年には約1,230万トンにも達しています。

この数字からも、世界のタイヤ・自動車関連産業が天然ゴム生産の持続可能性について果たす役割は大きく、またこれらの業界でグローバルにビジネスを展開する企業が多数存在する日本は、市場という側面から大きな貢献ができる可能性があります。

WWFは、このプラットフォームが今後WBCSD傘下のTIPの枠を超え、天然ゴムの生産者、加工企業、自動車メーカー、NGOなどがサプライチェーンを通じて協働し、トレーサビリティの確立やより高い持続可能性の実現に向け協働してゆけることを期待します。

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