イスラム教徒の男性2人、アラビア語メッセージやりとりしたことを理由に飛行機を降ろされる

「イスラム教徒として飛行機に乗る」と表現される差別が、911以降アメリカで続いています

2020年2月に国内線を利用した2人のアメリカ市民のイスラム教徒男性が、アラビア語のテキストメッセージを送っていたことを理由に飛行機から降ろされた。

男性たちは市民権の侵害だとして、搭乗していたアラスカ航空に謝罪を求めている。

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Sundry Photography via Getty Images

テキストメッセージで飛行機を降ろされる

飛行機から降ろされたのは、スーダン系アメリカ人のアボヴァカさんとモハメドさんだ(プライバシーを守るために、ファーストネームだけを公開)。

アボヴァカさんとモハメドさんは2020年2月17日、仕事でシアトルからサンフランシスコに向かうアラスカ航空の飛行機を利用した。

公民権擁護団体の「アメリカ=イスラム関係協議会(CAIR)」によると、ファーストクラスの席に座って離陸を待っている間、アボヴァカさんは携帯電話を使ってアラビア語でテキストメッセージのやりとりをしていた。

それを見た近く乗客が、アボヴァカさんの行為を「怪しいやりとり」とフライトアテンダントに報告したという。

その後2人は飛行機から降ろされ、アラスカ航空職員やシアトル空港警察、運輸保安局、FBIから約2時間事情聴取された。

アボヴァカさんは携帯電話を渡すように言われ、問題視されたテキストメッセージだけでなく、写真も含めたコンテンツもチェックされた。

テキストメッセージはアラスカ航空の職員によって翻訳され、最終的に警察によってテキストメッセージが無害と確認された。

しかし他の乗客も飛行機を降ろされて、警察犬による機内のセキュリティチェックが行われた。

CAIRは「離陸が遅れた飛行機を待っている間に、2人のうちの1人がトイレを使ったという理由でファーストクラスのトイレのタンクを空にするチェックまで実施された」と説明する。

屈辱を感じ傷ついた

アボヴァカさんは12月21日に開いたオンライン記者会見で「私たちは飛行機で他の人たちと同等に扱われず、自分たちは平等ではないんだと感じました」と語った。

事情聴取をされている間に他の乗客が自分たちの横を通り過ぎていき、とても屈辱的だったという。

他の乗客から2人に対して怒りや偏見が向けられているのを感じ、「始まりから終わりまで、本当に惨めな1日でした」とモハメドさんは悔しさを振り返った。

2人が危険を及ぼすような行為を一切していないとわかった後も、アラスカ航空はアボヴァカさんとモハメドさんを予約していた飛行機に搭乗させず、その後別々のフライトに、2人の席を予約したという。

結局、アボヴァカさんとモハメドさんはサンフランシスコで出席を予定していたイベントに参加できなかった。

イスラム教徒への空港での差別

多くのイスラム教徒や中東系の人たちが空港で受ける差別は、皮肉を込めて「Flying while Muslim(イスラム教徒として飛行機に乗る)」と呼ばれている。

2001年に起きた911(アメリカ同時多発テロ)以来、イスラム教徒やアラブ人の旅行客は、空港で二次検査を受けたり、宗教や政治的な見解について質問をされたり、時には飛行機の搭乗を拒否されたりしてきた。

そのほとんどが根拠のない民族差別、宗教差別に基づいている。

CAIRワシントンD.C. のエグゼクティブディレクター、イムラーン・シディキ氏は「『Flying while Muslim』は、世界中で疑念と屈辱の現象として認識されています。この現象を終わらせなければいけない」と述べ、アラスカ航空に対してアボヴァカさんとモハメドさんへの誤った対応を正すよう求めた。

CAIRだけではなく、アメリカ自由人権協会(ACLU)やイスラム教徒擁護団体にも、様々な航空会社の差別的な扱いに関する報告が寄せられている。

アラスカ航空の広報は「テキストメッセージを見た他のお客様が懸念を示されたことにより、おふたりが今回のような経験をしたことについて、お詫びを申し上げます。アラスカ航空は違法な差別を厳しく禁じています。今回の苦情を真摯に受け止め、対応します」とハフポストUS版にメールで述べた。

同社は内部調査を開始して、過失があったかどうかを確認するという。 

イスラム教徒として飛行機に乗る

イスラム教徒や中東の人たちが、どれほど空港で差別を受けているか正確には把握されていない。しかしこれまでに多くの苦情が寄せられ、訴訟が起きている。

2009年には、アラビア語が書かれたシャツを脱ぐよう求めた運輸保安局の管理官とジェットブルー航空が、24万ドルの和解金を払った

2012年には、2人のイスラム教指導者を違法に飛行機から降ろしただけではなく、警察によって危険がないと確認された後にも再搭乗を許さなかったアトランティック・サウスイースト航空が、2万5000ドルの民事制裁金を課された

2015年には、携帯でニュースを読んでいた4人のイスラム教徒(そのうち2人は中東系)を、他の乗客が「怪しい行為」として通報し、4人は飛行機から降ろされた

2016年には、アラスカ航空を予約していたヒゲの生えている男性について、他の乗客が「アラブ人のようで恐ろしい」と言ったために搭乗を許されなかった

同年には携帯電話でアラビア語を使って喋っていたイラクからの難民が、サウスウエスト航空の飛行機から降ろされる出来事も起きた。

また、結婚記念日を祝うヨーロッパ旅行からオハイオ州の自宅に戻る途中だったイスラム教徒の夫婦も2016年、デルタ航空のフライトアテンダントがパイロットに「不安だ」と伝えたことで、飛行機から降ろされた

もう同じことをしないで

差別を受けてから10カ月経った今声をあげた理由について、アボヴァカさんとモハメドさんは「アラスカ航空に自ら事態を正して欲しいという気持ちがあった。また、新型コロナウイルスで経済的打撃を受けている航空会社の状況を悪化させたくなかったから」と説明した。

12月に入ってイギリスやアメリカでワクチン接種が始まり、多くの人が移動を再開させるようになった。そのため2人は、自分たちの経験を公表することにしたという。

アボヴァカさんとモハメドさんはアラスカ航空に対し、謝罪と航空券の払い戻し、そしてポリシーの見直しを求めている。

またカルチュラル・コンピテンシー・トレーニング(様々な文化に敬意を払い適応するためのトレーニング)を導入し、同様のケースに適切な対応をするよう訴えている。

アボヴァカさんは、どんな人たちにも、自分たちと同じような差別を受けて欲しくないと話す。

「私たちが声をあげたのは、他の人たちに対して航空会社が同じ対応をして欲しくないからです。私たちはイスラム教徒の人たちだけではなく、全ての人のためにも声をあげているのです」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。