28歳、アメリカで1年間働いて感じた10のこと

去年までの自分と同じようにアメリカに関心を持っている人の参考になれば幸い。
|

前回2つ目のエントリーより5ヶ月が経過。

公私共に様々な変化があった。

アメリカで働き始め一年が経っている。

今日までで感じたことを書いてみた。長いのでお時間ある際に。

今回も個人の感想なのであしからず。よろしくどうぞ。

1.テクノロジー好きなら一度アメリカを訪れてみるべき

Open Image Modal
小野寺聡

アメリカで暮らすと、テクノロジーが生活にすごく浸透していることを実感する。

最近ではAmazon Echoが面白い。音声認識でニュースを教えてくれたり、商品のオーダーまでできるというものだ。日本にももうすぐ上陸予定だが、アメリカでは既に800万台も売れている。

自分の声ひとつで自宅にいながらスタバのドリンクが注文できる(オーダーピックアップ)というのは驚きでもあり、便利だ。

UberやLyftなどのスマホアプリも米国アカウントを作れば使えるので、ぜひ旅行時に試して見てほしい。おすすめは旅程を勝手に読み込んで、旅先ですべきことをレコメンドしてくれるGoogleTripsだ。

(なお、UberはSMS認証が必要で、Wifi環境下では認証コードを受信できないので、日本を出発する前に登録することをお忘れなく)

他にも店のレジにタブレットが普及していたり、一つひとつが面白い。

また言わずもがな、サンフランシスコのベイエリアとシリコンバレーはテック好きにはおすすめ。

Googleらインターネット企業群、スタンフォード大学、AppleHP発祥のガレージを回るなども面白いが、おすすめは「b8ta(ベータ)」というスタートアップのプロダクトを取り扱っているお店。

Open Image Modal
小野寺聡

b8taにはIoTデバイスやVR関連商品、鍵に付けて落とした際に見つけてくれるTile(iPhoneを探すの機能がついたキーホルダーと思えばわかりやすい)など、いけてる商品が毎月入れ替わりで展示してあり、実際に購入もできる。

Droneもよく飛んでおり、街中ではTeslaが走っているのを多く目にする。

Open Image Modal
小野寺聡

Teslaはイーロンマスクが手掛けるEVだが、自動車ではなくアプリケーションという位置付け。凄いのが、いわゆる "リコール" をソフトウェアのアップデートで実現できてしまうこと

Teslaには当初AT車特有のクリープ現象が搭載されていなかったが、ユーザからのフィードバックを受け、ソフトウェアのアップデートによりこれを自動で実装したという。

現在イーロンマスクは2017年中にロサンゼルスからニューヨークまで、Teslaを自動運転のみで走らせる計画を立てているが、この自動運転機能も最新のTeslaであればアップデートで実装できるらしい。半端ない。

デザインも非常にクールで、加速が速く、クルマ好きで無くとも乗りたくなる。ぜひ実際に見てほしい。

2.アメリカは "合衆国" だ

Open Image Modal
小野寺聡

アメリカは州、エリアごとに完全に違う国かと思うくらい違う。東海岸と西海岸で暮らす人が見ている世界は確実に違う。(この記事は西海岸をベースに書かれていることをご容赦いただきたい)

州によって生活スタイルや文化は異なるが、やはり構成するのは人だ。

前提であるが、アメリカには純粋なアメリカ人だけでなく、外国から来ている人の割合が(日本にいる外国人の割合と比較して)相当に多い

現世代でも永住者の13%、加えて2,000万人の外国人労働者、留学生や不法滞在を入れたら膨大な数字になる。そのため、「アメリカ人とはこういった人種」と規定するのは難しい。(英語が母語の人は思った以上に多くない

しかしアメリカに住んでいると、(日本人も含めて)みんなアメリカナイズドされてくるので、結局広義の "アメリカ人" になるとは思う。

Open Image Modal
小野寺聡

前置きが長くなったが特筆したいことは、提供されるサービスや人気が出るものは、州やエリアによって違うということである。

日本では東京や大阪の都市圏から始まり全国に展開、というものが多いと思うが、全米を網羅しているサービス商品を見ると、だいたい北中米全体か全世界を網羅している。

ITだけでなく、金融や専門サービス、食べ物からファッション、エンターテイメントまで大体そうだ。アメリカ全土で普及しているものは、どれも初期から世界を取りにいっている印象がある。

一方でエリアが限定されたものも多くあり、この辺り特色が出ていて面白い。

例えば配車アプリで言えば、UberやLyftが有名であるが、ニューヨークのマンハッタン限定で110st以南を一律で10ドルで乗れるJuno、同じくマンハッタンの直線移動が一律5ドルでできるViaというアプリがある。

Open Image Modal
小野寺聡

▲UberやLyftなど全米で利用される配車アプリは、Googleマップで検索しただけで料金の比較ができる。

先日実際に試してきたが、これは本当に便利で面白かった。というのもLAではエリア限定の配車アプリは絶対に需要がないのだ。

食ではハンバーガーを例に挙げると、日本でも話題のShake Shackはニューヨークを中心に東海岸にはたくさんあるが、西海岸にはほとんどない(逆に西海岸のソウルフード、IN-N-OUTは東海岸には1店舗もない)。

Open Image Modal
小野寺聡

この理由は想像だが、Shake Shackはビールなどお酒も提供しているので、電車利用者の方が合っている。前述の通り、西海岸は車を運転するのが日常生活においてマストなので、lN-N-OUTなのでは、と思う。

他にも法律も税率も州ごとに違い、公用語まで違っていたりする。それぞれの州や都市を訪れて良さを比較すると新たな発見があるはずだ。

3.気候は生活習慣や思考に直に影響する

Open Image Modal
小野寺聡

カリフォルニアは地中海性気候(ケッペンの気候区分でCs)であり、冬以外はほとんど雨が降らない。昨年5月にアメリカに来て、初めての雨が11月だった。

気候は人々の生活や思考に影響すると言われるが、まさにその通りだと実感した。東京と比べてやや郊外型な都市であることも影響していると思うが、とても人間らしい生活をするようになった。

第一に、生活が規則正しくなった。朝は4時か5時に目覚め、夜は週末を除いておおよそ22時には寝ている。

夜が早いのは、24時間営業している店がほぼ存在しないこともあるが、やはり晴天が多いことが影響している気がする。高い建物が少なく空気が乾燥しており、朝から日差しが非常に強い。自然と活動する気分になる。

元々はとあるきっかけで朝型にし始めたが、すっかり慣れてしまった。日本にいた時は深夜2時頃まで起きており、夜型なふくろうの様な生活をしてたから、環境の効用は大きいと思う。

次に、運動の習慣がついた。運動は非常に盛んで、ウエイトトレーニング、マラソンやサーフィン、ゴルフ、ヨガなんかが人気がある。

Open Image Modal
小野寺聡

▲写真は、「筋肉のメッカ」ことベニスビーチにあるゴールドジム本店

日本では見ないベビーカーを押したまま、子供と一緒に走るランニングできるstrollerなんかは、アメリカらしくて面白い。

赤ちゃんを乗せたまま、みんなガチで走っているのをよく見る。

僕自身は一年間筋トレを続けてきた結果、45kgが最高であったベンチプレスが100kg上がるようになり、ネタっぽいが筋肉が多少ついてきたのか、1年間でワイシャツ3枚に穴が空いた(笑)。

第三に、自炊の習慣がついた。外食は価格が高く、クオリティもわりかし微妙な事も影響している。

アメリカは外食のコストパフォーマンスは悪い(日本が良すぎる)が、自炊はコスパがよい。特にオーガニックフードなんかは手に入りやすい。

また、気持ち的にもこれだけ晴れてると「まぁそんなこともあるか」という気になる。シリコンバレーが起業環境として適している理由の一つに天候はやっぱりあるんじゃないか。

まとめると気候・生活する環境は思った以上にその人の生活習慣や思考、体調に影響するようだ。もっというと人生観なんかも変わるかもしれない。

4.クールジャパンは本当だ

Open Image Modal
小野寺聡

よくクールジャパンは日本人の勘違い、といったことも言われるが、僕個人が感じる限りでは、クールジャパンなるものは間違いなく存在する

バーや空港でのちょっとした時間、知らないアメリカ人と話すことがあるが、多くが日本に関心を持っている。これは大きな都市に限った話ではなく、田舎町に行った時も同じだ。

(I'm from Japanというだけで関心を持ってくれたりするから、先代の先輩方には感謝。)

東京は行ってみたいがどんな街かわからない、寿司はどこがうまいのか、ラーメンには複数の味があるのか、など、日本について知り得ている情報は少ないものの、関心は高く、旅行先に検討しているという話をよく聞く。

西も東もトップMBAスクールの多くで、みんなで行く研修旅行はいまだにジャパントリップがダントツで人気とも聞く。

先日マンハッタンにオープンした「いきなりステーキ」も人気の模様。

Open Image Modal
小野寺聡

▲もちろんラーメンは多くの人に愛されている。

ただ、多くのアメリカ人が日本についてそれなりにちゃんと知っていることは、「寿司と侍とイチロー」くらいな気がしている。

アニメや漫画が好きなアメリカ人はいるが、そういった人が集まる場所に行かなければ、アニメ好きのアメリカ人は言うほど多くない気がする。

(多分行く場所によるのだろうけど、想像よりも少なかった印象だ。自分自身、クールジャパンをある意味で過大評価していた気もする。)

それでも自分の国に関心を持ってくれるのは純粋に嬉しい。

僕は27年間東京で生活してきたが、意外と外国人の方が東京についてよく調べていて、こちら以上に詳しかったりする

彼らに間違った情報を伝えないよう、東京、日本について再勉強しているくらいだ笑。

3年後に近付いてきた2020年の東京オリンピックに向け、多くのアメリカ人がより日本に興味を持ってくれたら嬉しい。

5.同調するか、個人を強く出すかが日米最大の違いだと思う

Open Image Modal
小野寺聡

これは完全に僕個人の意見。人によっては違うことを思うかもしれない。1年間毎日色々なことを経験しながら考えてきたが、日本とアメリカの違いはこれだと考えている。

日本は集団の結束が強い。諸説あるが、農耕民族であったことが影響しているというのが僕は一番しっくりきた。

空気を読み、組織の調和を乱さないことを重んじ、チームワークとしては最強と言えるかもしれない。

裏を返すと、空気を読まないことは悪い、人と違うことをすると叩かれる、というわかりやすい文化でもある。

一方、アメリカ人は必要以上に空気を読むことは少ない印象。個人の思いを大切にするので、どんどん言いたいことを出してくれる。正直これをまとめるのは大変だ。

むしろ、空気を読んで大人な対応をしている人ほど損をする、というかうまく立ち回れないだろう。(この辺りに苦労する日本人は多い気がする。)

これは両国ともに一長一短だ。良いところでも悪いところでもある。それぞれの文化を良く理解し、進めていくのが大事であると思う。

ロジカルさ、リーズナブルさ(合理性)は日本以上に重視するイメージがある。

Open Image Modal
小野寺聡

芸人の厚切りジェイソンが「Why Japanese People?」とネタで問いかけているように、アメリカ人は概して合理的な理由を求めることが多い

何も仕事だけでなく、日常の一つひとつの行動に関してだ。

先日カフェでアメリカ人4人と話していたら、日系企業文化の話になって、「歳を取って勤続年数が高いほど給料が上がる(年功序列)」、みたいな話ししたら、「Wait for...what? It doesn't make sense(理解できん)」みたいな感じでなんかよくわからんが、怒られた笑。

逆に言えば、自分の意志でどうしたいか考え、そのためにこれをしていて、その先はこうしていきたい、という論理的に納得感があることを言えば、わかってくれる。(当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが)

日本人は英語が苦手で(僕も苦手だ)臆することが多いと思われるが、対アメリカ文化の要所を抑えて対峙すれば、特段引けを取ることはないと思う。

6.日本人にはプロ意識がある

アメリカ人のモチベーションは何か、ということについて、同じく駐在で来ている知人と話したことがあった。お互いに同様の悩みを持っていて、アメリカ人の仕事のモチベーションがわからない、というものであった。

仕事の仕方は日米で大きく異なると思うが、日本人は総じて "きっちり" していると言われる。

設定した納期は必ず守る、自分の役割+αのことまできっちりこなす、責任感がある、などが共通認識であった。

これらの動機を落とし込んだ結果、あるブログに書いてある内容に双方納得した。(日本人は)モチベーションに左右されず、プロ意識で仕事している、というものだ。

仕事に必要なのはモチベーションではなく、プロ意識である

アメリカ人は、各々の仕事に対する責任感・プロ意識という意味では(もちろん個人的性格もそうであるし、立場や役職にもよるが)、日本人よりも緩いことが多い気がしている。

この動画を見て欲しい。これはパロディ的に作られた日米サラリーマンの比較であるが、実によくできていると思う笑。

こと時間や期日の緩さや、接客態度などは日米大きく異なる。実際に飲食店やストアに行ってみるとその様子はよくわかると思う。

レジの店員さんの第一声は「いらっしゃいませ!」でなく、「Next!」だ。

空調が壊れ修理を依頼して「じゃあ明日10時に」と言われ待っていたら、16時に来たこともあった。(こんなことは日常茶飯事だ。)

それでいて「来てやったぞ, YO!」的な態度だったりするので、なんというかアメリカ人は強気すぎる(笑)。

繰り返しになるが、日米どちらも人による。だが、きっちり行う、誠実に対応するという日本の文化(およびそれを重んじる周囲の空気)は、ビジネスでは役立つ点が多いと思う。

Open Image Modal
小野寺聡

アメリカでもザッポスというAmazon傘下の靴のオンラインビジネスを行う企業が高い顧客満足度を長年キープし、各所から注目を集めているが、それは彼らのきめ細かさや誠実な対応が評価されているからである。つまり、アメリカ人にも受けるやり方なのだ。

1人の顧客に10時間電話対応したエピソードなど、これは別の意味で常軌を逸している気もするが、こういった取り組みは見習うことも多い。

かくいう僕も日本にいた頃は結構緩い方であったが、アメリカに来てから日本人として、まだまだではあるが、このきめ細かさは身に付けるべきだと意識的に取り組むようになった。

一事が万事というが、それは本当にその通りで、公私共に毎日の小さい事が大切だと思う。

7.東京より暮らしやすい都市はないと思う

Open Image Modal
小野寺聡

アメリカに来たことも恵まれていると思うが、東京で育ち、東京で働いてきたことも相当に恵まれていた。

海外に出ると日本の良さが見えてくるというのはよく言われることだが、東京の凄さは群を抜いてることに気付いた。

ここではアメリカの主要都市とされる、ニューヨークのマンハッタン(NY)、サンフランシスコ(SF)、ロサンゼルス(LA)と東京を比較したい。

まず、東京は物価が相当に安い。ランチは高くても押並べて1,000円が一つの目安だろう。(牛丼290円で味噌汁も付いてるとか、神としかいえない)

もちろん食べるものによるが、ジャンル問わず同じクオリティの食事をしたい場合、LAでは12-15ドル、SFやNYでは20-25ドルはする。

加えて、ご存知の通り、接客やサービスの質も日本は神だ。味に関しても質が良い(アメリカの食も美味しいが、前述の通りコストパフォーマンスはあまり良くない、というか悪い)。

Open Image Modal
小野寺聡

住居に関しても、SFのダウンタウンやNYでは、Studio(ワンルーム)の賃料でも月額3,000ドル(33万円)程度はする。

SFのベイエリアでは最低100,000ドル(1,100万円)の年収がなければ暮らせない、と言われるほどだが、あながち間違ってないと思う(住居に関しては、独身者はルームシェアが主流である)。

東京では、都心に1時間以内でアクセスできる都内や都内近郊に住んだとしても、ワンルームマンションの月の家賃は多くが10万円を切るだろう。しかも時刻に正確な電車を筆頭に、交通網が非常に発達しているので、車を持つ必要がない。

また、東京並みに面積が広い都市も世界では少ない。アメリカで言えば、前述した3都市いずれも東京の一つの区ぐらいの大きさしかない。※LAをダウンタウンLAとした場合

東京は、丸の内、六本木、渋谷、新宿、秋葉原と、普通の国の主要都市がいくつも連なってて、行ったり来たりできる。行くべきところが多すぎる、という外国人旅行者の話をよく聞く。

Open Image Modal
小野寺聡

極め付けは、世界最強の国民インフラ、コンビニがある。コンビニこそ相当にやばい。異常なほどに便利だ。一時帰国した際に食べたセブンイレブンのおにぎり(わずか110円!)がなんと美味しかったことか。

大学の学費も安く(アメリカでは卒業まで4年間で1,000-2,000万円くらいかかる)、治安も最高に良く、1,000万人が集まる街なのでいろんな人がおり、会おうとすれば、会いたい人は誰にでも会えると思われる。

東京の良さを挙げれば枚挙にいとまがないが、これほど刺激的でかつ暮らしやすい街は、たぶん本当に世界を探してもないだろう。これは東京から海外に出た人はみんな一度は思うはずだ。

日本人のパスポート取得率は2割強といわれるが、確かにこれだけ良い都市が国内にあるなら、海外に出るよりも東京に出る方を優先したくなるのもわかる気がする。

8.海外で働くことは全然特別なことじゃなかった

Open Image Modal
小野寺聡

ここから3つはだいぶ主観が入った話をする。(よろしければ引き続きお付き合いを・・)

昔、海外で働くことはもの凄い華やかなことで、相当に凄いことをやっていると思っていた。

入社以来、「とにかく海外で働きたい」と主張し続け、海外勤務にずっと期待に胸を膨らませていたが、そんな甘いものじゃなかったということがこの一年で嫌なくらいにわかった。

簡潔に言うと、死ぬほど大変だった。というか、何回も死んだ。(自分の実力不足もあるが。。)

華やかでないということについて(コンプラ上、詳細は書けないが)やっていることは相当に地味だむしろ日本にいた頃より地道なことを日々しているかもしれない。

人によるが、駐在で来ている友人らと話すと(僕ほど海外勤務に対して邪悪な妄想をしていた人は少ないかもしれないが)みんな日本にいた頃に抱いていた海外勤務とイメージに多少なりギャップがあるようだ。もちろんいい意味のギャップもあるが。

アメリカは良い環境と言われる。 確かに自然は豊かで道は広いし、総じて物はでかい。(人もでかい)

Open Image Modal
小野寺聡

しかし上記で述べてきたとおり、日本の素晴らしい当たり前の常識が覆される分、どちらがいいかというのは一概に言えない。どちらも一長一短だ。

小さい話をすると、アメリカの祝日は日本の半分くらいだ。夏のお盆休みも、年末年始も、最近だとGWも存在しない。この時期、FBは見ないようにしている笑。欧州はバカンスシーズンになると1ヶ月とかやばいくらい休むらしいが、アメリカ人は比較的、労働総量は多い気がする。

さらにアメリカの競争環境は厳しい。

日本人がアメリカで生き抜くためには、差別化が必要不可欠だと思われる。

前述したきっちり纏めること、気遣いができることなど、自分達の持つ価値を出さなければ、やはり帰国子女でもない限り、語学面でハンデがあり異文化から来ている分、同じフィールドで真っ向から戦ったら普通に勝ち目はない

というわけで何かと生きるのに大変な国である。

それでもアメリカが好きで、ここを目指して来れ、ここで生活でき、心から嬉しく思っている。

だけど多分どこに住んでもその土地の良さがあって、それを感じることが楽しいはず。きっと小さな発見次第で楽しくなると思う。

9.隣の芝生は青く見えがちだ

Open Image Modal
小野寺聡

これはアメリカに駐在して気づいた、個人的な話だ。

新入社員の頃、毎晩オフィスに篭って狂ったように働き、終電で帰る日々が続いていた。帰宅してさらに2時, 3時まで英語の勉強をしたりして、相当にバイタリティに溢れていた時期でもあった。

若い話であるが、当時、海外出張に頻繁に行っている同期を見て「自分はなんと恵まれていないのか」と嘆いていた。

その時の課長(初めての上司でお世話になった方)が僕に掛けてくれた言葉が未だに残っているが、それはまったく自分の考えとは違っていて、「周りに聞ける先輩がいて、育ててくれる人に囲まれて、本当に恵まれた環境にいる」といったことを言っていた。

いま思えば相当に甘ったれんなという話なのだが、当時この上司が何を言ってるかまったく理解できず、むしろ不満に思っていた。

丸6年が経とうとしているいま、一人海外に来て責任者となって自分で判断する状況下となり、その言葉が蘇り、当時の環境が本当に素晴らしかったと思う事がある。正直、戻りたいと思ったことも普通にあった。

どうやら自分がいる環境が恵まれていることは、意外とその時は気づかない場合があるらしい。

もう一つ別の例を出したい。

個人的な話だが、僕は就職して自立するまで経済的な制約が多い環境で育ってきた。

両親が8歳で突如離婚し、ネタみたいだが一時期ワンルームマンションに家族で住んでいた。

お金がかかる事は自分が働き始めるまで諦めた事の方が多く、予備校代や大学進学費用も、親戚を回ってお願いしてなんとかしてもらった記憶がある。

別に「暗黒時代」みたいに思っているわけではないが、家庭環境については就職して何年かするまで周囲に話したことはなく、なんとなく良い感じのネタにもしづらく、良い影響を出さないと思っていた。

(なお、その後住んだカオスなシェアハウスの影響で、この考えは良い意味で崩壊した)

経済的には恵まていないと思う一方で、実際は幸せで楽しかった記憶が多く、見え方は気にしていたが、わりと育った環境は肯定的に捉えている。

多分その分相当な愛情を注ぎ込まれて育てられていて、おかげでぐれることもなく、むしろ真っ直ぐに育ち過ぎた気すらしている。

隣の芝生は青く見える」と言う言葉があると思うが、結局どんなに理不尽と感じる局面においても、自分の中で恵まれているものがなにかしらあると思う。

自分への戒めでもあるがこれは経験上、その時に気づく場合と気づかない場合があると思われるが、多分それに気づいた方がよくて、その方が大事な判断を見誤らないと思う。

今は海外駐在員としてアメリカにおり、控えめに言っても恵まれている。それでも頭で分かっていても、時に環境のせいにしたくなる事もある。そんな時は初心に戻って、今ある幸せに感謝するのが大事な気がしている。

生きていればどうしてもやるせないこと、誰のせいでもないことは沢山ある。悲観するのは楽だけど、それでも希望を持って自分が信じた道に進んでいけば、案外周りには助けてくれる人が現れたりして、なんとかなる、と(よく忘れるが)自分に言い聞かせている。

10. 人生は決めの問題かもしれない

Open Image Modal
小野寺聡

長くなった、、最後一つ。(ここまで読んだ人、神)もうすぐ29歳になるので今年で20代は最後になる。同じ年代では既に結婚して家庭を持っている人も多い。

また、起業や独立して、自分で事業を始めている友人も増えてきた。Facebookでは毎日誰かの「ご報告」を目にしている気もしている。

僕自身これまでの人生でそういった機会がなかったわけでもないが、結果的にその道を選んでこなかった。というか、チキンな性格で大きな決断というのはこれまでして来なかった。

アメリカに来てから色々考えるようになったが、どう生きるかは結局決めの問題かとようやく気づいた。

この仕事をやりたい、この仕事を通じて何かを達成したい(得たい)、というものがあるから無意識に進むべき方向を選んでいると思うし、結婚もこの人として幸せになりたい、と自分が決めたからすると思う。働きたい場所とか環境も多分そうだ。

余談だが、僕はニューヨークがとても好きになり、ほとんど週末弾丸だが、この1年で6回も行っていた。いつか必ずニューヨークで働きたいと思っている。

Open Image Modal
小野寺聡

海外に来るまでも何度も挫折して心折れたが、なんとか周りの人の絶妙な助けによってその度に立ち上がり、海外に来てからも何度も挫折して心折れたが、その度にまたしても周囲のファインプレー的神対応に助けられ、なんとか生きながらえている。

七転び八起きという言葉があるが、挫折した後いかに立ち直るかが大事なんじゃないかと思っている。(ちなみに僕でいうと、アメリカに来て既に百回は転んでいる笑。)

過去に転職を決めれなかったり、結婚に踏み切れなかったり、そういった一切のことがあったが、結果的にその決断も意味があって良かったはず。

堅い話は抜きにして、アメリカ的に自由に考えると、自分がどうしたい、どうなりたいと決めたことに向けて、これからも地道に進んで行こうと思う。

以上10個。

...なんだか超絶長く、個人的感想が多くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございます。

たかだか1年の感想で、アメリカに何十年も住んでいたり、長く働いてもっともっと多くの経験をされている方はまた違ったこと、より深いことを感じられるかもしれない。

学生時代の最後でちょっとだけアメリカに留学して、それからではあるがアメリカに憧れて(きしくも6年経って同じ都市に戻ってきて)、自分なりにではあるがアメリカ文化を知ろうとしてきたつもり。

それでも百聞は一見にしかず。全然知らないことの方が多かった。

アメリカで働くことは、それ自体がビザや生活費等のハードルが高いけれど、多くの発見がある。日本で一定期間働いた経験がある人なら尚更だと思う。

(ちなみに個人的に英語は引き続き勉強しているけれど、英語より専門性が何より大事かと。)

20代でアメリカで働く機会を得れたことが本当に幸運であったと思うので、参考になればとこれまで纏めてみた。3つ続いた駐在エントリーはこれにて終了です。

去年までの自分と同じようにアメリカに関心を持っている人の参考になれば幸い。

お読みいただき、ありがとうございました。