PRESENTED BY エン・ジャパン

年間343冊を読破したUXデザイナーが語る、読書を習慣化させる方法

忙しいときこそ、本を読め。
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1年で343冊の本を読んだ男。それが、UXデザインカンパニー『STANDARD』の鈴木智大さんだ。もともと読書家だったわけではない鈴木さんは、いかにして膨大な量の本を読んだのか。そしてその狙いとは。鈴木さんが数年かけて確立した読書術の全貌に迫る。

年間343冊の本を読んだUXデザイナーの読書術。

ビジネスシーンにおいて、読書の重要性が語られる機会は多い。

いざ始めようと思っても、最初の一冊が決められなかったり、読んでいても途中で頓挫してしまったり、三日坊主で終わってしまったり...読書へのハードルは低くない。

「どうすれば読書を習慣化できるのか?」

こんな疑問を胸に訪ねたのが、UXデザインカンパニー『STANDARD』だ。デザイナーとして活躍している鈴木智大さんは、なんと2016年にビジネス書やデザイン書を中心に343冊を読破したという"本の虫"だ。

しかも、STANDARDでは鈴木さんの活動をきっかけに、社員が読書を通じて得た学びを発信するメディア『本棚とノート』をスタート。会社全体で、インプットだけではなくアウトプットにも取り組んでいる。

しかし、鈴木さんは初めから読書家だったわけではない。本格的に読書を始めたのは2014年から。しかも、その年は30冊程度しか読まなかったという。

鈴木さんが本を取るキッカケはなんだったのか?

どのように本を選び、どのように読んでいるのか?

読書で得た学びを日々の仕事で活かすためにどんなことを実践しているのか?

年間343冊の本を読破するまでにいたった読書術の全貌に迫ると、鈴木さんが読書を通じて実現したかった"真の狙い"が明らかになった。

【Profile】

鈴木智大 Tomohiro Suzuki

DTP制作会社、新聞社を経て、モバイルアプリやWebサービスを開発するナナメウエへ。数々のアプリのデザインを手がける。その後、2014年2月からSTANDARDへ。

読書を習慣化するために。

― 鈴木さんが読書に取り組むキッカケって何だったんですか?

ひと言でいうと「危機感を覚えたから」ですね。

以前、山本郁也さんというUXデザイナーの方とお話しする機会があったんですけど、知識量の多さに圧倒されて会話が全然理解できなくて...。ただ、まぁ郁也さんは年齢も離れているし、経験値も違うから仕方ないと思える部分もあったんです。でも、そのあとイギリスへ留学していた友達と話したときにも、ものすごく知識の差があることに気づいて...。

二人とのやり取りを通じて、勉強不足を痛感したことが読書を始めるキッカケです。2014年のことですね。

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― なぜ「読書」だったんですか?他にもインプットの方法はあるし、ネットでも気軽に情報収集できると思うんですが...。

たとえば「イベントに参加する」という方法もありますよね。でも、イベントはスピーカーが大勢の来場者に向けて話します。必然的にメッセージ性も弱まってしまうんです。

Webの記事やニュースも普通にチェックはしていますけど、最近はどんどんライトになってきているので、深く掘り下げようとすると限界があるんですよね。ネットの記事を深堀しようとしていると、自然と「本を読む」という方法に着地しました。

ただ、最初は全然ダメでしたね。もともと本を読む習慣がなかったので、挫折しながら読んでいました。モチベーションは「読書を習慣化しよう」という気持ち。たくさんは読めないので、とにかく続けることを意識しました。

― 具体的に何から始めたんですか?

本屋へ足を運ぶ機会は増えましたね。そもそも本を買うこと自体に慣れていなかったので。本屋の店頭や会社にある本で自分の読みたいものを選んで読んでいました。デザイン書とかですかね。小難しい本に挑戦してモチベーションが落ちてたら習慣化できないので。2014年の半ばからスタートして30冊くらいを読みましたね。

忙しいときこそ、あえて読む?

― 翌年の2015年は200冊を読んだそうですね。半年間と1年間の差はあれど、読書量が一気に増えた背景には何があるんですか?

とにかくインプットにフォーカスするようになったからだと思います。

2014年は本を読むだけではなく、ブログで読書で得た学びや気づきを発信していたんです。2015年からはアウトプットをやめて、本からのインプットに専念する1年にしました。それも普通の人が読みたくないとき、忙しいときこそ、あえて読むようにしていましたね。

半年間実践してわかったんですけど、本を読もうと決めると2〜3日は続くんです。でも、仕事が忙しくなったり、飲み会があったりするとやめたくなってしまう。

たとえば世の中の多くの人に「本を読みたいですか?」って聞いたら「読みたい」って答えると思うんですよ。でも、「飲み会の帰りの電車でも読みたい?」と聞いたら、きっと「読みたい」とは答えないですよね。

だからこそ僕は「あえて読もう」と。飲み会でも絶対1杯しか飲まないし、外部の勉強会にもそんなに足を運ばずに読書の時間をつくっていましたね。

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― ものすごくストイックですね......!

「あの大変なときにも読んだんだから」が、継続するモチベーションになるんですよ。やめたくなったときが勝負所というか。漫画の主人公も、体がボロボロでもがんばるからカッコイイじゃないですか。あんな気分です(笑)。

― 読み方自体に変化ってありましたか?

2015年はいろんな方法をテストしていましたね。たとえば1冊読みきったり、いろんな本を乱読したり、要点だけをかいつまんだり...インプット方法もノートに取ったり、本に書き込んだり...と、自分に合う読み方を模索していました。

基本的にはKindleではなく書籍で読んでいます。今一冊のなかでどのくらいのところにいるのかとか、あとどのくらいで終わるのかとかがわかりやすいので。ページごとの読み方もいろいろテストしたんですけど、僕にとってベストだったのは「いいところにラインを引いて、ドッグイヤーしておく」という方法ですね。後ですぐに確認・参照できるので。

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― 2014年、2015年の下地があって、びっくりしたのですが...2016年には「343冊」も読まれたと拝見しました。

2016年は毎日読むことが目標だったので、当日のスケジュールをふまえて、1日5時間くらいで完結できそうな本を選んでいました。あとは土日にまとめてって感じですね。

といっても、全部を読み切っているわけじゃないんです。ちょっと読んでみて、つまらなかったり内容がカンタンすぎたりするときはやめるときもある。同じ分野の本を読んでいると、似た内容が書いているときもあるので。

あと、内容のレベルが高くて読めないこともあるんですよね。文字だけを追ってしまって内容が頭に入ってこないというか。そういう本って、たぶん自分との距離がまだ遠いということだと思うんですよ。今読む本じゃない。読めない本を手に取ってしまったときはすっぱりとやめて、内容が頭に入るちょうどいいレベルの本を探すようにしています。

膨大な読書量の先にある、真の狙い。

― 本の学びをアウトプットにつなげようとしたらどうすればいいんでしょう?

自分に「この本を読んで絶対に仕事に活かそう」というプレッシャーをかけすぎないことですね。僕は本を読んでいると、以前読んだ全く違う分野の本とつながることがあるんです。自然体で「いつか使えたらいいかな」「この本にはこのあたりの内容が書かれているな」くらいで覚えておけばいいのかな、と。未来への投資ですね。

直近で仕事に必要な知識を習得しなければいけないときは別ですけどね(笑)。

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― ここ2〜3年でたくさんの本を読んで、鈴木さん自身に変化ってありました?

当初の目的だった知識の習得はできたと思います。まだまだ至らない点はありますが、自分より年齢やキャリアがうえの人やデザイナー以外の人とビジネスやマーケティングの話ができるようになりました。そういう意味では成果はありましたね。

ただ、実は今は「本を読むこと」や「知識を得ること」が目的じゃないんですよ。僕が読書を通じて実現したかったのは「何かを習慣化する」ということ。生きていればこれからも絶対に学ぶことは増えていくし、どう継続して学んでいくかが重要になると思っているんです。だから、仕事以外の時間をどれだけ活用して、自分をコントロールする力が求められる。読書は習慣化のためのテストだったんです。

ぶっちゃけ今年は本を読んでいなくてですね(笑)。今は英語の勉強をしています。

― なんと......膨大な量の読書のウラにそんな狙いがあったとは...!

僕、やりたいことが全くないんですよ。RPGだとラスボスがいないような状態で「とりあえずレベルを上げておくか」みたいな(笑)。もしやりたいことができたときにすぐ戦えるように、レベル上げの方法を模索しているところです。

― なるほど...では、最後に"読書を始めたいけど始められていない人"へのアドバイスを聞かせてください。

そうですね...僕は1冊目が勝負な気がしています。1冊目につまらない本に当たると読書そのものがイヤになってしまうから。背伸びせず、カンタンなやつでいいからまず読んでみる。5冊くらい買えば、1冊は読みやすいものに出会えるような気がしています。

あと、"読みやすさ"って時間が経つに連れて変化していくんです。今僕が読みやすい本と、1ヶ月後に読みやすい本はきっと違う。興味の賞味期限と連動しているということなんですけど、そういう意味では今の仕事や関心ごとに近いものを選ぶのがいいかもしれませんね。カッコつけてビジネス書を選ばなくてもいいんですよ。きっと。

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― 最初の一冊の選び方から、自然体な読み方、習慣化するための方法、そして読書量の先にある真の狙いまで、たくさんの興味深いお話をありがとうございました。鈴木さんのお話が、"読書を始めたいけど始められない"という人の背中を押すキッカケになればいいなと思います。

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