アメリカ連邦最高裁判事の候補に指名されたブレット・カバノー氏に、性的暴行疑惑が浮上

大学教授の女性が、高校生の時にカバノー氏から性的暴行を受けたと申し立てた。

今、アメリカの新聞やニュースサイトを見渡すと、ある人物の名前がトップの見出しを飾っている。それは、ブレット・カバノー氏だ。

わずか数週間前まで、カバノー氏の未来は何一つ傷がつかないように思えた。ドナルド・トランプ大統領は、最高裁判事の候補として、引退するアンソニー・ケネディ判事の代わりにカバノー氏を指名した。カバノー氏の指名承認は確実に思えた。

この時、パロアルト大学の心理学教授が、爆弾のような驚くべき申し立てをした。

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最高裁判事の候補に指名されたブレット・カバノー氏
SARAH SILBIGER/CQ ROLL CALL VIA GETTY IMAGES

フォード氏の申し立てとは何なのか?

クリスティーン・ブラゼイ・フォード教授は、1982年に2人が高校生だった時、カバノー氏に性的暴行を受けた、と主張している。

フォード氏は15歳の時、あるパーティーに参加していた。そこで当時17歳だったカバノー氏と出会ったという。カバノー氏と友人たちは彼女を部屋に閉じ込め、抵抗する声をかき消すために音楽の音量を上げて、フォード氏を押さえつけ、彼女が悲鳴を上げようとすると、手で口を押えた。

カバノー氏はフォード氏の申し立てを、「完全に虚偽」だと語っている。

フォード氏の告発はカバノー氏の指名承認にどのような影響を与えるのか?

今回の疑惑はカバノー氏の指名承認を完全に左右するものであり、運命の分かれ道となるだろう。すでに指名承認の採決は遅れている。

フォード氏の弁護士、デブラ・カッツ氏は9月20日、上院司法委員会で、フォード氏は18日の時点で共和党が要求していたように公聴会で証言するつもりはないと言ったが、特定の条件が満たされるなら、証言することも厭わない、と述べた。

「皆さんもお気づきのように、フォード氏は殺害予告を受けています。これは連邦捜査局(FBI)に通報済みであり、フォード氏と家族は自宅にいられなくなっています」と、カッツ氏は付け加えた。

「もし私たちが公正な条件に同意し、彼女の安全を確保できるならば、フォード氏は証言することを望んでいます」

ホルトン=アームス・スクール(フォード氏の出身校)の卒業生アレクシス・ゴールドスタインさんが、端的にこう語った。「クリスティーン・ブラゼイ・フォード教授を甘く見るな。ホルトン=アームス・スクールの女性の卒業生を甘く見るな。でも最も大事なのは、性暴力の被害者を甘く見るな」

最高裁判事の指名承認は、なぜ重要なのか?

最高裁判所は原則的に、アメリカで最も重要で、時には最も物議を醸し、対立が生じるような問題の最終判断を下す権限を持っている。

9人の判事がおり、辞職や引退をするか、あるいは弾劾されない限り、それぞれが終身制となっている。

新たな判事は大統領に指名されて、上院で承認されることになっている。判事が辞職した時、政権の座にある者の党派によって、リベラル寄りか保守寄りの判事が交代で据えられることになる。

最高裁判事の任期は終身なので、大統領は自らの任期を終えた数十年先も、アメリカの政策を方向付けることになる。穏健な保守派のアンソニー・ケネディ判事は1987年、共和党のロナルド・レーガン大統領(当時)に指名された。

「私たちは素晴らしい人を選ばなければならない。今後40年間最高裁にいる人を、選ばなければならない」と、ノースダコタ州ファーゴの集会で、トランプ大統領は支持者に語った。

トランプ大統領はすでに保守派の判事を指名していたのでは?

トランプ氏が大統領として最初に行った重大な任務は、最高裁判所判事に保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名することだった。

最高裁が下した最近の判決として、トランプ大統領が出したイラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン国籍のアメリカ入国を禁止する入国禁止令がある。この大統領令について、最高裁は賛成5反対4で支持し、大統領の選択が正しかったとされた。

最高裁の現在の構成はどうなっているのか?

最高裁には、民主党系の大統領に選ばれた4人の判事と、共和党系大統領に選ばれた4人の判事がいる。

ゴーサッチ氏が指名されたことにより、最高裁の構成は保守系5人、リベラル系4人になった。この数か月間はなかったが、ケネディ氏は自らの決意を変えて、多くの判決で民主党の側に付くこともよくあった。

ジョン・ロバーツ最高裁判所長官に率いられた最高裁は、2017年10月に始まり、2018年9月19日に終わった開廷期間で、5対4でトランプ大統領の政策を支持する判決を下し、リベラルの判事4人は異議を唱えていた。

民主党から指名を受けたルース・キンズバーグ判事(85)とスティーブン・ブライヤー判事(79)は、トランプ政権の間、どうにかしようとしても身動きがとれないかもしれない。

トランプ大統領は何と言っているのか?

トランプ大統領は、フォード教授の証言の信頼性を攻撃する一方で、カバノー氏を支持している。

トランプ氏は21日、カバノー氏は急進左派の政治家たちによって「攻撃された」と語った。指名承認が遅れていることに苛立っているようだ。

「ブレット・カバノー判事は、申し分のない評判を持つ素晴らしい男であり、その真実を知りたくない急進左派の政治家たちに攻撃されている。彼らは承認を反故にし、遅らせたいだけだ。事実が重要なのではない。私はワシントンD.Cで来る日も来る日も彼らとこんなことをやっている」

「もしフォード教授への攻撃が、彼女が言うように悪いことであれば、彼女本人か彼女を愛する両親のどちらかが、すぐに地元の警察当局に申し立てていたはずだ。彼女に申し立てをしてもらいたい。そうすれば、事件の日時と場所がわかる」

もっと大きな問題とは?

フォード氏は証言に同意、中間選挙の数週間前にあたる9月27日に公聴会が開かれる。中間選挙は、議会における共和党・民主党の力関係を決定づけることになる。

フォード氏が告発する以前から、民主党は支持率を高めている。民主党は上院と下院の両方で過半数を獲得できると予想されており、トランプ大統領は政策の実行に苦労しそうだ。

通常中間選挙の投票率は大統領選よりもはるかに低くなる傾向にあるが、フォード氏の証言は民主党の有権者にとって、中間選挙の集会の目玉となるだろうし、民主党員の投票を促すことになるだろう。

Huffpost UK版の記事を翻訳、編集しました。