野生のシロクマを銃殺、観光船に非難の声 「住みかを守っただけなのに」

北極海ツアーでスヴァールバル諸島に上陸した際に襲われる。船会社は「正当防衛」と主張しているが…
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スヴァールバル諸島
Arterra via Getty Images

※ (注意)記事にはホッキョクグマの死体の写真が含まれます

殺され無残に横たわるホッキョクグマ。一枚の写真に、多くの人たちがショックを受けている。

このホッキョクグマは7月28日、北極海クルーズの観光ツアー船の警備員に射殺された。

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GUSTAV BUSCH ARNTSEN via Getty Images

殺されたのは、ノルウェー領のスヴァールバル諸島。島の大部分は氷雪に覆われていて、人口とほぼ同数の約3000頭のホッキョクグマが生息していると見られる。

CNNによると今回、ホッキョクグマを射殺したのは、ドイツのハパック・ロイド社が運航している定員155人のクルーズ船「ブレーメン号」の乗員だった。10日間の北極海クルーズの途中、スピッツベルゲン島に到着した際に事件は起きた。

クルーズ・インダストリー・ニュースによると、法律に従って、ホッキョクグマから乗客を守るために、常時同行している4人のチームがまず下船した。しかし、チームはホッキョクグマ1頭が近くにいることに気付かず、メンバー1人が襲われた。ほかのメンバーはこのホッキョクグマを追い払おうとしたが失敗し、「正当防衛」として銃で撃ち殺したという。

襲われたメンバーは頭部を負傷してヘリコプターで病院へ運ばれたが、命に別条はないという。

■ SNSには非難の声も

近年、北極を訪れるツーリストが急激に増えているAP通信によると、今回ホッキョクグマが殺された現場に近いスヴァールバル諸島の街ロングイェールビーンには、今週だけで18隻のクルーズ船が入港する予定だ。

ホッキョクグマは、地球温暖化の影響で頭数が減っていて、2008年に絶滅危惧種保護法の保護対象に指定された。ホッキョクグマが、狩りや休憩場所、それに子どもを育てる時に必要とする海氷は、気候変動の影響で急速に消失している。

SNSには、希少な野生生物の生息地にわざわざ入り、命を奪う結果になってしまったことを非難する声が投稿されている

「ホッキョクグマが暮らしている自然環境に近づいて、あっちが近づきすぎたら殺そうっていうのか。馬鹿げている」

「ブレーメン号に侵入されたホッキョクグマは、自分の住みかを守るために、"ホッキョクグマ警備員"を軽度に怪我させたら、射殺された。ホッキョクグマをそっとしておいて、遠くから見ているだけにしたらどうなんだ」

「自然の環境にいただけで、このホッキョクグマは殺された。どうして注意深く見張って、ホッキョクグマを避けないの!ホッキョクグマは、すでに生存が危ういっていうのに」

ハパックロイド社は28日、声明を発表して今回の件について謝罪。「環境に配慮すべき場所で、クルーズ船は責任を持たなければないけません。そして全ての自然と野生生物に敬意を表す必要があります。弊社はそのことを理解しております」と述べた。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。