サメやエイの数は、過去50年で71%も激減。絶滅から守るために「もう時間がありません」

サメやエイが絶滅の危機に瀕していることが、新たな研究からわかりました
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絶滅の危機にさらされているヨゴレ
Stephen Frink via Getty Images

外洋性のサメやエイが、過去50年の間に71%も減っている――サメやエイの危機的な状況を伝える研究結果が、1月に発表された。

研究に携わったのは、カナダにあるサイモンフレーザー大学のネイサン・パコーロー博士研究員らのグループだ。

研究者たちは、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにある31種と、WWF(世界自然保護基金)の「生きている地球指数」の18種のデータを分析した。

その結果、世界の海に生息する外洋性のサメとエイの個体数が、1970年から2018年にかけて71.1%減少しているという推定値を導き出した。

そして調査した31種類のうち、4分の3以上に当たる24種類が絶滅の危機に瀕していた。

中でもヨゴレ、アカシュモクザメ、ヒラシュモクザメの3種のサメ類は、個体数が急速に減少しており、深刻な絶滅の危機にさらされていた

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アカシュモクザメ
Michele Westmorland via Getty Images

激減の原因は乱獲

減少の原因として科学者が指摘するのは、人間による乱獲だ。中でも、ヒレなどの体の一部を狙って、乱獲されているという。

サメ保護団体「シャークリーグ」によると、サメやエイは、肉やヒレ、肝油などを目的に乱獲されたり、釣りやダイビングなどのレクリエーションのために捕獲されたりしてきた。

また、マグロ等の他の魚を網などで捕獲する際に捕まることも珍しくなく、そういった場合は大抵、海に戻されるのではなくそのまま売られるという。

シャークリーグによると、サメやエイは成長に時間がかかる生き物で、子どもを生む数が少ないため、特に乱獲の影響を受けやすい。

乱獲は「効果的な資源管理を上回る勢いで進んでいる」と同団体は警告している。 

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黒海で捕獲されたエイ
Dmitry Feoktistov via Getty Images
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捕獲され、市場で売られるシュモクザメ
SOPA Images via Getty Images

今すぐにアクションを起こさなければ手遅れに

パコーロー氏は「サメやエイは、海の生態系やきれいな海を維持するためになくてはならない存在です。しかし海面下は見えにくいために、彼らの状態を調べるのは難しかった」と、研究のプレスリリースで説明している。

そして「このレポートは元々、有益な情報を伝える報告書として作成していました。しかし今は緊急の警告となって欲しいと強く願っています」と訴える。

サイモンフレーザー大学のニコラス・ダルビー教授も「外洋性のサメやエイの乱獲は、海の生態系全体を危険にさらし、世界で最も貧しい国の食料の安全を脅かす」と、乱獲が生態系全体に与える影響を警告している。

サメを絶滅から守るために、研究者らが強く求めているのは世界全体での取り組みだ。厳格な漁獲制限を設けるなどのアクションを今すぐに起こすよう訴えている。

今回の研究結果は、私たち人間に厳しい現実を突きつけているが希望がないわけではない。

研究に携わったソニア・フォーダム氏によると、保護プロジェクトが功を奏した例もある。科学を元にした漁獲量制限を設けた結果、北西大西洋で複数のサメの数が改善したという。

しかし残された時間は少ない。

「比較的シンプルな保護策により、サメやエイを守ることができます。しかしもう時間はないのです。かけがえのない生き物を守るために、今すぐに、世界全体で保護活動をするよう求めます」とフォーダム氏は述べている。