難民問題を、もっと日本に引き寄せたい。国連UNHCR協会の報道ディレクターになります。

「欲しいのは教育」。難民キャンプの子供たちが口にした言葉を今でも忘れることはできません。
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「難民」という言葉を聞いても、なんだかピンとこないという人が多いかもしれません。

幼い頃から学校のクラスに移民の子や、いろいろな事情で故郷から逃れてきた子どもたちが普通に存在する欧米にくらべて、日本人にとって難民が「遠い世界の話」であるのは当然ですよね。

私にとっても難民は、とてつもなく理不尽な状況に追い込まれて苦しんでいる人たちというイメージくらいで、自分とは別世界の存在でした。でも、実際に現地に足を運び取材をした18年前をきっかけに、その認識が大きく変わることになります。

その時に訪れたのはパレスチナ難民キャンプとアフガニスタン難民キャンプでしたが、それぞれ住み慣れた家や故郷を追われ、家族と離別をし、屋根のある家や学校、職場という日本人にとってはごく当たり前の日常を奪われた彼らの苦境は凄まじいものでした。しかし、想定を超えたのは、そうした過酷な状況にあっても前を向いて、希望を失わない難民の方たちの笑顔です。とりわけ子供たちは、雨ざらしで不衛生な難民キャンプで暮らしながら、はじけるような笑顔で私たちを迎えいれ、元気いっぱいに走り回っています。

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ペシャワルにあるアフガニスタン難民キャンプで。(2001年10月)

 「今、何が一番欲しいですか?」「必要なものは何ですか?」

きっとお腹がすいているだろうな、子どもだからサッカーボールやおもちゃも欲しいだろうと尋ねた私に、難民キャンプの子供たちが口にした言葉を今でも忘れることはできません。

「欲しいのは教育です」

思わず、え!?っと聞き直した私に彼らは言いました。

「だって教育を受けることができたら夢を持てるから。算数を勉強すればお買い物もできるし、学校の先生になれるかもしれないよね」

日本で当然のように学校に通うことのできた私は、教育を受けることは夢を持てることなんて発想したこともなかった。夢を持てる権利を自然に与えられている日本に育ったことを改めて感謝すると同時に、別世界だと思っていた難民の人たちが一番必要としているものが「夢をもつための教育」なのだということが、世界に伝えるべきとても大切なメッセージに感じたのです。

「私はこのたび UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本における公式支援窓口 「国連UNHCR協会」の報道ディレクターに就任することになりました」

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、1950年以来、紛争や迫害などにより故郷を追われた人々を国際的に保護・支援し、難民問題の解決へ向けた活動を行っています。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが特使を務めたり、日本ではギタリストのMIYAVIさんが親善大使をされているので若い方もご存知の方がいるかもしれません。

私の仕事は、日本の方たちに難民問題に関心を向けていただき、今よりも少しだけ自分に引き寄せて考えていただく機会を増やしていくことです。

今、止まらない難民の流出に欧米各国が受け入れを拒絶したり、受け入れをめぐって政情不安になっていることは皆さんご存知のとおりです。日本は他国と国境を接していない島国ということもり、「難民問題」も欧米各国に比べて遠い話ではあるけれど、だからこそできる優しい支援があるのではないかと信じています。

難民の人たちの教育機会を支援することで、彼らは夢を抱き、応援してくれた日本という国を大切に思ってくれることでしょう。たくさんの夢を日本が育てていくことは、きっと日本の将来にとっても豊かな実りをもたらしてくれることと思います。

報道ディレクターとして、日本にいる難民の人たちはどんな思いで、どんな生活をしているのかといった身近なことから、世界の難民キャンプの現状まで、できるだけわかりやすくお伝えしたり、またチャリティーライブなど参加型の楽しいイベントも企画して、たくさんの方にお目にかかれたらと思っています。

国連UNHCR協会を、今後ともよろしくお願いいたします。