感染力7割増?「新型コロナ変異種」日本の対応は。イギリスなどからも“特段の事情“あれば入国可能

政府は152の国と地域を上陸拒否対象国に指定していて、そこにはイギリスも含まれる。一方で「特段の事情」がある場合は新規入国を認めている。

イギリスで、従来のものより感染力が高いとみられる新型コロナウイルスの「変異種」の感染が拡大していることを受け、ヨーロッパ各国が航空便の乗り入れ停止などの措置を打ち出している。

加藤勝信・官房長官は12月21日、日本政府としての対応について、もともとイギリスを「上陸拒否対象国」としていることを挙げ「感染状況などを見つつ慎重に対応していく」と話した。

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記者会見する加藤勝信官房長官=21日、首相官邸
時事通信社

■上陸拒否対象国だが..

イギリスを中心に感染が広がっているのは、新型コロナウイルスの変異種「VUI-202012/01」。イングランド南部のケント州で12月13日に確認され、ロンドンを中心に感染拡大が起きている。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は記者会見で、まだ不明確な点が多いとしたうえで、「致死率が高いことや、重症化しやすいことを示す証拠はない。ワクチンが、変異種に対して効果が低いことを示す証拠も今のところない」と説明した。しかし一方で、「変異種の感染力は、古い種よりも最大で70%高い可能性がある」ともしている。

各国が対応に追われている。BBCによると、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギーなどは航空便の乗り入れを停止。貨物輸送も一部でストップしているという。

これに対し、加藤官房長官は21日、定例記者会見で日本政府としての対応を問われると、「厚生労働省でイギリス政府やWHO(世界保健機関)と緊密な情報交換をしている」と回答。日本ではこれまでに変異種は確認されていないことにも言及した。

そして、今後の対応については「これまでも国民の健康と命を守ることを最優先に、機動的な水際措置を講じてきた。イギリスはもともと上陸拒否対象国に指定をしていて、特段の事情のない限り新規入国は原則禁止にしている。感染状況などを見つつ慎重に対応していく」と状況を見守る考えを示した。

日本政府は11月30日までに152の国と地域を上陸拒否対象国に指定していて、イギリスも含まれる。一方で「特段の事情」がある場合は新規入国を認めており、その場合も出国前72時間以内のウイルス検査や、日本の検疫での検査、さらに自宅やホテルでの14日間待機などが必要になる。

加藤長官は「特段の事情があるかないかを勘案する際にも、そうした感染状況を踏まえた慎重な対応が必要だ」と話した。