ノルウェーの海岸に漂着した子どもの遺体、英仏海峡で遭難のクルド人男児と判明

ノルウェー警察は6月7日、年始に海岸で見つかった遺体は、英仏海峡で遭難し行方不明になっていたクルド人の男児アルティン・イラネザッドちゃんと確認したと発表した。
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生前のアルティンちゃん
ロイター通信

ノルウェー南西部カルモイの海岸で2021年の元旦、幼い子どもの遺体が打ち上げられているのが見つかった。

ノルウェー警察は6月7日、DNA鑑定の結果、遺体は2020年10月に英仏海峡で遭難し行方不明になっていたクルド人の男児、アルティン・イラネザッドちゃん(1)と確認したと発表した。

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遺体が身につけていた青色の防寒着
ノルウェー警察提供

 

ロイター通信などによると、イラン北西部サルダシュト出身のアルティンちゃんは遭難当時、1歳半。2020年10月27日に両親と9歳の姉、6歳の兄とともにフランス側から小さなボートで英国側へ渡ろうとしてボートが沈没した。

アルティンちゃんを除く家族4人は全員が亡くなり、アルティンちゃんだけが行方不明になっていた。遺体が流れ着いたカルモイと遭難現場の英仏海峡は、直線距離でおよそ1000キロ離れている。

一家は2020年夏、イラク国境近くのサルダシュトを出発。欧州を目指して密航業者の手を借りながらトルコやイタリア経由で移動を続けていたという。

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遺体が身につけていたライフジャケット
ノルウェー警察提供

 

ノルウェー警察によると、遺体は青色のつなぎの防寒着とライフジャケットを身につけていた。同じデザインの防寒着を着たアルティンちゃんの写真が存在したことから、遺体はアルティンちゃんとみて、ノルウェー国内に住む親族にDNA提供を受けるなどして慎重に裏付け捜査を進めていた。

 

中東の山岳地帯に暮らしてきたクルド人は、独自の言語や文化を持ちながら、第1次世界大戦後に引かれた国境線で居住地域がトルコやイラン、イラク、シリア、アルメニアに分断され、「国を持たない世界最大の民族」とも呼ばれる。

各国で少数民族として迫害されてきた歴史を持ち、戦乱を逃れて難民になる人や、経済的に困窮して欧州を目指す人が後を絶たない。