そして私は「タナカ」を塗った 女27歳、30日間のすっぴん生活が終わった

すっぴん日記 最終話
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930曜日 天気:曇り 肌:今までにないくらい好き

少し遅めの朝。私はワクワクしながら、ある場所に向かっていた。

成田空港。

世界中の人々が行き来する場所。

メイクしないまま、スーツケースをゴロゴロ引きながら、電車に乗る。

人もいないから、ゆったり座った。

飛行機の中は、寝るだけ。

いつもそう決めて前日は徹夜をしているから、髪の毛も顔も少しボサボサのまま搭乗口に向かった。

免税店の化粧品売り場もなんとなく見てみる。

30日間ほとんど触れていなかった商品の数々に遠い世界を感じた。

遅めの夏休みを1週間まるまるとって、向かった先はミャンマー。

私が大好きな国の一つだ。

10月1日から、「すっぴん月間」から解放され、

私はようやく「メイクする」「メイクしない」の選択肢を得られる。

ミャンマーという国で、私は化粧を塗りたくるのだろうか。

1カ月ぶりにいつものメイク道具をカバンに入れた。

10月1日 日曜日 天気:快晴 肌:変わらず好き

ミャンマーには、「タナカ」という化粧品がある。

正確に言えば、「タナカ」という木を削って作る化粧品。

天然の化粧品と呼ばれている。現地の人は、おしゃれと日焼け止めの効果を期待してつけている。

面白いことにこの「タナカ」をつけているのは女性だけではない。

赤ちゃん、子ども、男性、女性、おじいちゃん、おばあちゃん...。

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AFP/Getty Images
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Asanka Brendon Ratnayake via Getty Images
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Bicho_raro via Getty Images

ありとあらゆる人が肌に塗っている。不思議な世界だ。

民主化が進んで、外国の文化に触れる中で都市部の人は濃い発色にしないように塗っているが(ダサいと感じる人もいるとか)、「タナカ」を作る挽臼と材料を一家に1セット常備している。

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小さめの挽臼に「タナカ」の木
arisa ido

私は、化粧が解禁された日、「タナカ」を顔に塗った。

初めての経験だった。ミャンマー人が嬉しそうに説明し、丁寧に顔につけてくれた。

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「タナカ」初体験
arisa ido

冷たい液体が顔につけられ、気持ちいい。乾いてくると、少しパリパリしているような感触。

とにかく、新しい世界に飛び込んでいるみたいで楽しかった。

「メイクって楽しい」

心の底から思った。それはきっと「メイク」が楽しいのではない。

「メイク」を通して新しい世界と自分に出会ったからだ。

でも、メイクしない30日間も本当に楽しかった。

「すっぴん」を通して、あらゆる常識を疑い、自由を得たからだ。

私は今、メイクする自由もメイクしない自由も得た、と確信した。

メイクしなくても、仕事にもプライベートにも影響しないことがわかったから、

毎日無意識に顔に描いていた絵が、つまらない、面倒ならやめようと思う。

やめたら、嫌われる。仕事がうまくいかない。そんなこと絶対無理。

そう思う人は、「メイクをし続ける」選択をしてもいい。

いずれにせよ、自分を大切にした選択肢をとる。

自分の自由は、自分で定義する。

そして、その定義は明日変わってもいい。

何回でも定義し直したらいい。

私は、メイクを通して「自由」の楽しさを学んだ。

自由は、きっと行動の意味を問い直して、新しく選びとること。

それが前の行動と変わらなくても、問い直すことにきっと意味がある。

毎日、毎日当たり前になっている行動は、

少し変えてみるだけで新しい価値観や世界にあなたを連れて行ってくれる。

異国の地ミャンマーで、この日記をひとまず終えようと思う。

でも、行動を常に問い続け、新しく定義し直すことはこれからもやめたくない。

◇◇◇

ハフポスト日本版でエディターとして働く私(27歳)は、2017年9月いっぱいを「ノーメイク」で過ごしました。仕事も、プライベートも、あえてメイクを塗らないことで見えてきた世界を、1カ月間少しずつ書き留めていきました。

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