サッカー連盟会長の「人種差別」を告発、エジルがドイツ代表を引退「もう代表ユニフォームを着たくない」

「彼らの目には、勝ったらドイツ人、負けたら移民に映る」
|
Open Image Modal
メスト・エジル選手。June 27, 2018. (Photo by Gokhan Balci/Anadolu Agency/Getty Images)
Anadolu Agency via Getty Images

サッカードイツ代表のMF、メスト・エジル(29歳、アーセナル所属)が7月22日、ドイツ代表からの引退を表明した。

エジルはトルコ系移民の3世。W杯ロシア大会前にトルコのエルドアン大統領とのツーショット写真をSNSに投稿したところ、クルド人や政権に批判的な人への強硬姿勢をとるエルドアン大統領を支持するものと受け止められ、批判を受けていた。

Open Image Modal
エジル選手(左)とトルコのエルドアン大統領。London, United Kingdom on May 13, 2018. (Photo by Kayhan Ozer/Anadolu Agency/Getty Images)
Anadolu Agency via Getty Images

エジルは22日、Twitterで3部構成にわたる長文の声明を発表。ドイツ・メディアやサッカー連盟のラインハルト・グリンデル会長から人種差別的な攻撃があったとし、ドイツ代表を引退すると表明した。

第一部でエジルは、エルドアン大統領との写真について「政治的意図はなかった」説明。

「私はドイツ人とトルコ人の2つの心を持っている。子どもの頃、母はいつも(祖国に)敬意を表し、私自身のルーツを決して忘れないように教えてくれた」

「私たちが撮った写真に、政治的な意図はなかった」

「エルドアン大統領と写真を撮ることは、あくまで私の家族の国のリーダーに敬意を示すことだった」

第2部では、エルドアン大統領との写真をゴシップとして扱ったドイツ国内のメディアを批判した。

「多くの人が私のプレーについて評論し、新聞や専門家が私の至らない点を指摘してくれます。私自身も、こうした意見を受け入れることができる。私は完璧なサッカー選手ではなく、こうした評価が私にやる気を与えてくれる」

「しかし、私が受け入れることができないのは、ドイツのメディアが、私が2つのルーツをもつことを、ワールドカップでの残念な結果を写真のせいにしていることだ」

「特定の新聞は自らの政治的意見、右翼の宣伝として、エルドアン大統領と私の写真を使用している。ワールドカップでの敗北の理由として、なぜ私の名前や写真を見出しに使ったのか」

「彼らは私のプレーやチームのプレーを批判せず、私のトルコのルーツを批判した」

「私は、メディアが持つダブルスタンダードに失望している。(元ドイツ代表キャプテンの)ローター・マテウスは別の世界的リーダーと会い、ほとんどメディアの批判を受けなかった。これについてメディアは彼に説明を要求せず、なんら罰を受けることもなく代表選手としてプレーし続けた」

第3部では、ドイツサッカー連盟のラインハルト・グリンデル会長を名指しで批判。「グリンデル会長と彼の支持者の眼には、私たちが勝ったら私はドイツ人に、負けたら移民に映る」と、人種差別的な姿勢があったと非難した。

「ここ2〜3カ月にわたって、私を最も苛立たさせた問題は、ドイツサッカー連盟(DFB)のラインハルト・グリンデル会長からのひどい扱いだった」

「エルドアン大統領との写真の件をうけて、グリンデル会長は私のことを代表チームから外したい思っていた。何も考えず、誰にも相談せず、自分の意見をTwitterに公表していたからだ」

「ヨアヒム・レーブとオリバー・ビアホフが私を擁護してくれたが、グリンデル会長と彼の支持者たちの目には、私が勝つとドイツ人に、負けると移民に映る」

「ドイツで税金を払い、ドイツの学校に寄付をし、2014年のドイツチームとともにワールドカップで優勝したにもかかわらず、私はまだ社会に受け入れられていない。私は異物として扱われている」

その上で、グリンデル会長の発言を引き合いにしつつ、「人種差別は絶対に受け入れられてはいけない」と強く訴えた。

「ドイツサッカー連盟や他の大勢からの扱いによって、私はもはやドイツ代表のユニフォームを着たいとは思わない。私は望まれない存在であり、私が2009年の代表デビュー以来成し遂げてきたことが忘れられてしまったと思う」

「人種差別的な思考の背景を持つ人物が、2つのルーツを持つ選手たちが多数所属する世界最大のサッカー連盟で働くことが許されてはならない。彼らのような姿勢は、ドイツの代表選手たちにふさわしくない」

「ラインハルト・グリンデル、私はあなたの行動に失望しているが、驚いてはない。なぜなら、あなたは国会議員だった2004年に『多文化主義は神話に過ぎず、大嘘だ』と言った。そして、二重国籍を認める法案に反対票を投じた。決して許されないし、忘れることはない」

「私は誇りを持ってドイツ代表のユニフォームを着ていたが、今はそうではなくなった」

「私はチームメイトやコーチ陣、ドイツの良い人々のために今まで尽くしてきた。この決断はとても難しかった。だが、ドイツサッカー連盟の幹部たちが私のルーツを軽蔑し、利己的な目的で政治的な宣伝に利用するというのなら、もうたくさんだ」

「私はそのためにサッカーをしているわけではないし、黙って引き下がることもない。人種差別は絶対に受け入れられてはいけない」