中国SNS、五輪で審判への不満相次ぐ。一部は日本批判にも発展、中国選手は「橋本選手の金、祝いたい」

「中国チームの強さは良く知っているし、とても尊敬しています。試合後、私たちはお互いの健闘をたたえ合いました」(日本の水鳥寿思・体操代表監督)

東京オリンピック開幕後、中国のSNSで、日本への批判的な投稿が増加している。

7月26日に卓球混合ダブルスで水谷隼・伊藤美誠ペアが中国を破り金メダルに輝いたのに加え、28日も体操男子個人総合で橋本大輝選手が中国選手を上回り金。SNS・ウェイボーでは審判のジャッジに異議を申し立てるハッシュタグなどがトレンド入りし、一部のコメントは日本へのバッシングにも発展している。試合後に対戦相手を称える選手もいるなかで、対照的な動きだ。

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日本の橋本大輝選手(中央)と中国の肖若騰選手(右)。左はROCのナゴルニー選手。
Kaz Photography via Getty Images

■「大胆かつ勇敢」「金祝いたい」選手とは対照的に

卓球混合ダブルスの試合後ウェイボーでは、水谷選手が感染防止対策のため禁じられていた、ボールに息を吹きかける行為をしていたとするハッシュタグがトレンド入り。「最終セットはあれだけ点差が離れていた。勝ち負けには関係ない」などのコメントもあったが、審判への不満を訴える投稿が多くを占めた。

批判的な投稿は、体操男子個人総合で橋本大輝選手が金メダルを獲得した後にも増加した。中国体操チーム関係者が中国メディアに「採点競技とはこのようなものだ」などとコメントをすると、SNSでは審判が日本有利だったとする投稿が多く寄せられた。

この競技では、橋本選手に及ばず銀メダルだった中国の肖若騰(しょう・じゃくとう)選手が最後の種目だった鉄棒で、挨拶をしないミスをしたことから0.3減点されている。このことにも「盗まれた金メダル」などと不満が爆発している(なお、仮に0.3が加点されたとしても橋本選手の得点には届かない)。

こうしたバッシングは他競技にも広がり、バドミントン混合ダブルスや女子水球でも、審判や日本選手を対象にした批判が起こっている。中には、日本に対する侮蔑的な表現を用いたものも含まれた。

一方で、選手の反応は異なる。卓球混合ダブルスで水谷・伊藤ペアに敗れた許昕(きょ・きん)選手は、伊藤美誠選手を「私のボールに適応し、大胆かつ勇敢だった」と男子選手である自身の強打を打ち返した技術を称賛した。

体操個人総合の肖若騰選手も、競技終了後に橋本選手らを讃えた。ロイター通信によると、会見では「まずは橋本選手の金メダルをお祝いしたい。すごくうれしい」と語った。

日本の水鳥寿思・体操代表監督はTwitterで、「採点に対する不満の矛先を選手や指導者に向けるのはとても悲しいことですね」とコメント。

「私たちは良い演技を目指し採点を待つだけ。もしも開催国に有利な採点ができるとすれば、日本は団体決勝で0.103の差で負けることはないはず。公平な採点は体操の価値そのものだと思います」と指摘した。

水鳥監督はさらに、「中国チームの強さは良く知っているし、とても尊敬しています。だからこそ、2年前に中国との合同合宿が実現しました。試合後、私たちはお互いの健闘をたたえ合いました」と投稿した。