「津波に流されて26時間、海を漂流した」トンガの男性が生還報告。神秘的な力「マナ」のお陰と感謝

高さ6メートルを超える津波にのみ込まれて、アタタ島から8km先のトンガタプ島まで漂流したと述べています。
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1月15日の津波で海に流されてから約27時間泳いだと言うトンガ人の男性リサラ・フォラウさん。1月19日撮影 (Marian Kupu/Broadcom Broadcasting FM 87.5/via REUTERS)
Social Media via Reuters

海底火山の噴火に伴う津波にさらわれた57歳のトンガ人男性が、約26時間も海を漂流した後に生還を果たしたというニュースが、世界で話題になった。USA TODAYなどは、ハリウッド映画にちなんで「本当のアクアマンだ」と報じている。

ロイター通信などによると、生還したのは、足が不自由な元大工のリサラ・フォラウさん(57)だという。首都ヌクアロファがあるトンガタプ島の8キロ北に位置する人口61人のアタタ島に住んでいた。

15日に海底火山「フンガトンガ・フンガハアパイ」が噴火したことで、同日午後7時ごろに津波に押し流されたが、翌16日の午後9時ごろにトンガタプ島までたどり着いたという。

■最初の津波は木に登って避難。2度目の津波にさらわれる

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リサラ・フォラウさんが流されたアタタ島の位置。下方にある大きな島が、流れ着いたトンガタプ島(Googleマップより)
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地元ラジオ局「ブロードコム」が1月20日、男性のインタビューを報じた。同局に勤務するジョージ・ラヴァカさんがFacebookに英訳した内容を掲載している。

それによると、ファラウさんは自宅で塗装作業をしていたところ、兄から津波が来ていると知らされた後、高さ6メートルを超える津波がやってきたが、木に登って難を逃れた。しかし、地上に降りた後に、より大きな津波が来たことで、ファラウさんと家族は押し流された。15日の午後7時ごろの出来事だった。

海に流される中で、息子が自分を呼ぶ声が聞こえたが、あえて返事はしなかった。「返事をしたら助けるために海に飛び込んでしまう」と考え、最悪の事態を避けるために敢えて返事しなかったという。荒波に流されるうち、夜が明けた。

午前7時ごろ、トケトケ島のあたりでアタタ島に向かう警察の巡視船が見えた。布きれを掴んで手を振って助けを求めたが、船は気付くことなく行ってしまった。

まだ体力が残っていたのでポロア島に向かうことにして、夕方の6時頃にやっと到着したが、そこには誰もいなかった。そこで首都があるトンガタプ島に向かって、午後9時ごろに海岸に到着した。道路まで這って行った後、木材を杖代わりにして進んだところ、通りすがりの運転手が彼を見つけてくれたという。

ファラウさんはこのインタビューの中で、自分が津波に流されたあとに苦難を乗り越えて生き残ることができたのは、この地域で信仰されている神秘的な力「マナ」のお陰だと感謝している。