森の中でリモートワークしたら「憑き物が落ちた」 読者と過ごした2日間

主催者なのに子連れで参加。遅刻もアリ。なんとかなりました
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読者のみなさんと、長野県富士見町にあるコワーキングスペース「森のオフィス」を訪れ、「2拠点居住」を体験してみるツアー「アタラシイ働きかたに出会う時間」を企画した。

初めて会う人たちと金曜日に長野に集まって、みんなでリモートワークして、長い時間一緒に過ごす。金曜出発、1泊2日。ニュースメディアとしてはかなりの大冒険だ。

しかも私は1歳の息子と一緒に参加する。はたして主催なのに子連れで参加して大丈夫なんだろうか。その2日間をレポートする。

遅刻上等。

「バスに5分、間に合いませんでした」

「バスに乗り遅れてしまって...」

参加者との待ち合わせは、JR富士見駅やバス停だった。森のオフィスから少し距離があったため、私たちが車で迎えに行くことになっていたのだ。

どんな人が参加するんだろう? とドキドキしていたら、早速2人から「集合時間に間に合わない」と連絡があった。

なんだか一気に楽しくなった。

私たちは、都心のオフィスで打合せをするわけじゃない。電車やバスを1本乗り過ごしたら遅れる場所に集まるのだ。

今回の旅は、働きかたや生きかたを見つめ直す時間。私も1歳の息子と一緒に参加する。いつもと違う時間を過ごすのだ。

同僚の別の顔。

ハフポスト日本版のメンバーは、ツアーの企画を担当した同僚のニュースエディター濵田理央(リオくん)と私と1歳の息子もっち。

もちろん私たちは一足先に森のオフィスへ向かった。

リオくんは、10人乗りの大型ハイエースをかっこよく乗りこなす。

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編集部一のさわやかエディターりおくん
Kaori Sasagawa

彼は休日、仲間たちとよくスポーツをしたり、キャンプしたりするという。

都会から離れたリオくんは生き生きしている。「僕、プライベートは積極的なんで」という名言も飛び出した。

もっちは、車に揺られて、早速すやすやと寝息を立てていた。

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ほっぺ力が高いもっち
Kaori Sasagawa

森のオフィスに着いたら...

富士見町の森のオフィスに到着。自然豊かな場所にあり、青空が眩しい。

オフィスは天井が高く、自然光が降り注ぐ。それぞれがデスクで思い思いに働いている。

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自然光が降り注ぐ森のオフィス。天井が高い。
森のツアー参加者提供

と思ったら、友人のあやこちゃんがいた!

フードの仕事で日本各地を飛び回っている彼女が富士見町にいるなんて。富士見町への移住の準備をしているという。はるばる森のオフィスに来たのに、世界は狭い。

ほどなくして、第一陣の参加者のみなさんが到着した。それぞれ自由におしゃべりを始めている。私が無理に声をかけなくても、参加者は「2拠点居住」への関心でつながっている。

20分ほど遅れて、バスを乗り過ごした2人も無事に森のオフィスに着いた。

参加者は20〜40代の読者6人。ハフポストや後援のフリーランス協会・代表理事の平田麻莉さん、子ども3人を含めると全部で12人が2日間をともにする。

森のオフィスを企画・運営するRoute Designの津田賀央さん、スタッフの高柳祐人さんを交えて、ワークショップは始まった。2人とも東京と富士見町で、都内と自然を行き来する2拠点生活を送っている。

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森のオフィスの説明をする津田さん。週4日は富士見町、週3は東京の2拠点生活を送っている。
Kaori Sasagawa

自由すぎるリモートワーク

森のオフィスや富士見町についてのレクチャーの後は、参加者のみなさんに、それぞれ持ち寄った仕事でリモートワークを実践してもらった。

デスクで働く人、木々の下で働く人。みんな自由に働く場所を決めている。

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森のオフィスではなく森の中で働く山本さん
フリーランス協会提供
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平田さんのお子さんたちも庭でのんびり。
フリーランス協会提供
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参加者ともっち。このときはまだ元気だった。
Kaori Sasagawa

息子のもっちは、ワークショップ中も、ご機嫌でプロジェクターを触り、本棚の本を手に取り、階段の上り下りを楽しんだ。2階奥の出張マッサージの部屋まで「ばぁ〜」とのぞいていた。

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プロジェクターが気になる。津田さんは穏やかに対応してくださった。
Kaori Sasagawa

しかし、リモートワークの途中から、もっちは飽きたのか眠いのか、ご機嫌ななめになってきた。みんなが戻ってきて、これからの働きかたをディスカッションしはじめた頃には、ギャン泣きしはじめた。

部屋の奥の方で抱っこしたり、絵本を見せたりしたが、おさまらない。森のオフィスの庭で散歩したりして気分転換した。

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もっちを抱っこしながら、右手のiPhoneで編集部とslackでやりとり。左手には哺乳びん(精神安定剤)。森のオフィスでエクストリームな働きかたを実践。
ツアー参加者提供

ワークショップはつつがなく進んだ。

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白熱するみなさんのトーク。
Kaori Sasagawa
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2拠点を真剣に検討するみなさん。窓一面に新緑。
Kaori Sasagawa

みなさん、本当に真剣に「2拠点居住」を考えている。病気で働きかたを見直した人、時間の使いかたを見直したフリーランスの人、まずはスキルを身につける大切さに気づいた人......様々な気づきがあったようだ。

後から、もっちの泣き声について聞いてみたが、「泣いてるなーと思ったけど、気にならなかった」とリオくん。広いオフィスや豊かな自然は、参加者の心を穏やかにしたのかもしれない。

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Rio Hamada

山奥の火柱

ワークショップを終えて、みんなが宿泊するコテージへ。

Googleマップにも載っていない場所へレンタカーで移動する。アスファルトの道でなくなり、道はどんどん細くなり、新緑の草木は生い茂り、日は暮れていく。道のすぐ横を川が流れている。

ここ通るの? 大きいハイエースで? まじで?

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ここからどんどん狭くなっていった。
ツアー参加者提供

名ドライバーのリオくんは冷静に、勇気をもって前に進んだ。

その道の向こうにはコテージが佇んでいた。

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森の中に佇むコテージ。ここは別世界。
Kaori Sasagawa

オーナーさんは、住民向けのビジネス講習で高柳さんと出会い、富士見町のために役立てたいとコテージの提供を申し出てくださったのだという。

移動式のカレー屋さんも、私たちの夜ごはんを届けてくれた。子どもたちは大興奮。

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カレー屋さんのお子さんと平田さんのお子さんがみんな乗ってます。
ツアー参加者提供

何より私たちを圧倒したのは、オーナーさんによるウェルカムファイヤーだった。

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森のオフィス提供

!!!!!

こんな火を囲むのは子どものとき以来かもしれない。この火柱、一生忘れません。ありがとうございます。

みんなで朝ごはん

みんなでカレーを食べて語り合う。子どもたちも一緒に遊んでいる。

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ツアー参加者提供

もっちと私はお留守番して、みんなは銭湯に出かけた。真っ暗な夜道を無事に戻って来たときは安心した。

コテージの2階で、みんなが布団を並べて眠った。

キャンプファイヤーの火を囲みながら、夜更けまで語り合った人たちもいる。ワインのボトルが空いていた。

翌朝。新緑がめちゃくちゃ生き生きしている。

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なんとブランコもあったのです。
Kaori Sasgawa

朝ごはんはトーストやフルーツ、グラノーラ。シンプルな食事だったが、みんなでごはんを食べる時間を新鮮に思ってもらえたようだ。この朝ごはんは、編集部が用意した食事だったので、実は一番気にかけていたのだ。

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Kaori Sasagawa

最大のミッション

2日目の午前は、富士見町の自然散策。入笠山でゴンドラに乗り、八ヶ岳展望台へ。

ここでの最大のミッションは、ルバーブのソフトクリームを食べること。

八ヶ岳を眺めながら、ソフトクリーム。

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ツアー参加者提供

もっちは、人生初のソフトクリーム。その美味しさに気づいて「もっと」が止まらなかった。

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ソフトクリームの美味しさに気づいてしまった。
ツアー参加者提供

抱っこしながらの山歩きはハードだったが、豊かな自然、アウトドアを楽しむ人たちの姿が印象に残った。

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ツアー参加者提供
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子どもを背負って山を登るリオくん
ツアー参加者提供

大人も子どもも遊ぶ

お昼からは富士見町をめぐるツアーへ。年に一度、駅前で開かれる市場「すわイチ」では、地元のお店が出店。若い人たちで賑わっていた。

八ヶ岳自然文化園には、美しすぎるドッグランもあった。

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Kaori Sasagawa

ここでは地元の人たちと森のオフィスが協働で、新しいプロジェクトを進めているという。地元に「夜も集まれる文化施設を」との思いから、本やアートなどが楽しめるカフェが6月にオープンするそうだ。

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Kaori Sasagawa

聞けば、準備期間はとても短いという。「やりたい」と思ってチームができれば、すぐに形にするチャンスがある。クラウドファンディングにも挑戦する。大企業にはない機動力がうらやましい。

中央農業実践大学校では、広場の芝生でひなたぼっこした。

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Kaori Sasagawa

子どもたちが、大きな背中に乗っかって遊んでいる!

気づけば、大人も子どもも一緒になって楽しんでいた。この一枚がとても気に入っている。

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Kaori Sasafawa

いつもの新宿駅で

森のオフィスに戻ると、「笹川さん」と声をかけられた。渋谷で働くメガネの似合うT木さんだ! 2度目の再会。森のオフィスは人が集まる場所なのだと実感する。

その後は、宿泊したコテージに戻って懇親会。オーナーの手作り料理をいただき語りあった。この日のウェルカムファイヤーも暖かかった。

帰路には、同じ電車に乗った参加者とお話した。「この2日間で1年間くらいの体験ができた」との言葉が胸にしみる。

見慣れた新宿駅が、なんだか別世界のようだった。喧騒と自分の間に薄い膜ができたような不思議な感覚。そう思っていたら、参加者も同じようなことをつぶやいていた。

「憑き物が落ちた」といわれて

週明けに出社すると、同僚には「憑き物が落ちた」といわれた。リオくんは生き生きして、目が輝いていた。

実は、ツアーに少し行く前に肺炎にかかっていたことがわかり安静にしていた。でも、長野の空気はきれいで、正直東京にいるときより快調だった。

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ツアー参加者提供

森のオフィスに行きたいなあ。子どもと一緒に行きたいなあ。そう思っていたら、5周年の特集「アタラシイ時間」でツアーが実現してしまった。

初めてのツアーで手作り感満載。けれど、そのゆるさが新鮮だったようで、みなさんからは「参加者も一緒になって取り組む」「体験者の一員として参加できた(良い意味で)」との声を寄せてもらえた。

「イベントツアーを通じて、頭だけでなく体で2拠点居住を理解することができました」

「色々な年齢境遇の方と、『はじめまして』から温泉から就寝、帰路までご一緒できて、子育て含めみなさんのビジョンや考え方を聞けて、本当に働き方含め生き方を自分で考えたいと思えるきっかけになりました」

「参加した方々も、様々なバックグラウンドを持った方ばかりだったので、自分の生き方を問い直す貴重な機会になりました」

私は、仕事と子育てを一緒に楽しむアタラシイ時間を作りたくて、主催でありながら子連れで参加した。どうなるか未知数だったが、大人も子どもも一緒に楽しむひとときが生まれた。寛大なみなさんは、 「移住先の日常」として受け入れてくれた。

参加者のみなさんと作りあげる「アタラシイ時間」だった。また行きたいなあ。

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大人も子ども楽しめる「アタラシイ時間」をつくってみました。

ハフポスト日本版は5月に5周年を迎えました。この5年間で、日本では「働きかた」や「ライフスタイル」の改革が進みました。

人生を豊かにするため、仕事やそのほかの時間をどう使っていくかーー。ハフポスト日本版は「アタラシイ時間」というシリーズでみなさんと一緒に考えていきたいと思います。「 #アタラシイ時間 」でみなさんのアイデアも聞かせてください。