男子生徒がスカートで登校。何が起こった?制服への抗議運動が、カナダの高校生の間で広がる

彼らが訴えているのは、ジェンダー平等と性的マイノリティの権利についてだ。
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カナダ・ケベック州でスカートを履いて登校した男子生徒たち
Cassandre Bau-Plourdeさんのインスタグラムより

カナダ東部のケベック州にある複数の学校で、制服のルールに抗議するために、男子生徒がスカートを履いて登校している。

現地メディアが複数の学生に取材。彼らが訴えているのは、ジェンダー平等と性的マイノリティの権利についてだ。

 

「男子生徒の気が散る」のは女子生徒のせい?

CBCによると、ケベック州ラヴァルの私立高校に通う男子生徒ジュゼッペ・コセンティーノさんは、モントリオールのサウスショアの、スカートを履く男子生徒のSNSの投稿を見て、自分たちのクラスでも、何か行動を起こそうと計画したという。

この高校には、他の学校と同様に「スカートの丈は、最も短くて膝上10センチまで」というルールが存在する。一方で、男子学生が着るショートパンツなどの制服には、このようなルールは存在しない。

コセンティーノさんは、CBCの取材に対し、「多くの教師が女子生徒に対し、『気をつけなさい。スカートが短すぎて、男の子たちの気が散るだろう』と注意しています。しかしそれは、女の子ではなく、男の子の問題のはずです」と回答。性差別的なドレスコードや、女性の身体の過度な性対象化に、異議を唱えている。

コセンティーノさんは友人らと連帯し、クラスの男子生徒15人を説得。校内でスカートを着用した。

この抗議に対し、校長らはすぐ止めようとしたが、生徒と話し合いをした結果、理解を示したという。

発起人の一人であるエリッサ・ファーラさんも、男性教師からスカート丈について注意されたことがある。今回、スカートを履いた男子生徒に対し、「それ(スカートを履くこと)は“ゲイ”がすることだ」という声があったが、「彼らと話をして、抗議の理由を説明すると、肯定的な反応があった」と明かした。

 

性的マイノリティの権利を訴える

この抗議には、ジェンダー平等だけでなく、性的マイノリティの権利について訴えるという意図もあった。

CTV Newsの取材に、発起人の一人でノンバイナリー(性別が女性・男性のどちらか一方には当てはまらないと認識する人)のルカ・ムッソさんは、「家ではスカートを履いていて、学校でもそうしたいのですが、できなかった」とコメント。今回、複数の男子学生がスカートを履いて登校したことで、「安全で快適であると思えた」と答えている。

ルッソさんは、CBCに取材にも「もっと幼い頃から、たくさんの中傷を浴びてきた」と過去の経験を明かしながら、「結局のところ、スカートはただの生地にすぎない。スカートは女性だけのものではない。パンツが男性だけのものでないのと同じです」と話している。

 

ケベック州の高校に広がる、抗議運動

男子生徒がスカートを履いて登校する動きは、ケベック州の複数の学校で起きている。ツイッターやインスタグラムなどのSNSには、多くの写真が投稿され、反響を呼んでいる。 

ハフポスト フランス語版の記事をもとに、編集・加筆しました。