女性を脅し「奴隷」に。性搾取画像をチャットで共有「n番部屋」の博士ことチョ被告に懲役40年の判決 韓国

「博士」ことチョ被告は、一連の事件に関わった加害者の中でも、手口が際立って残忍なことや、会員から受け取った多額の犯罪収益を得ていたことで知られる。
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「博士」ことチョ・ジュビン被告
ASSOCIATED PRESS

女性をだまして性的な画像や個人情報を入手、脅迫してさらなる性的搾取を行い、秘密のチャットルームで共有する。それを見ていたのは26万人(重複含む)ーー。

韓国社会を揺るがした「n番部屋」の一連の事件に関連して、児童・青少年の性保護に関する法律違反(わいせつ物制作・配布など)と犯罪団体組織の罪などで起訴されていた「博士」ことチョ・ジュビン被告(24)にソウル中央地裁は11月26日、懲役40年(求刑・無期懲役)などの判決を言い渡した。

チョ被告は、一連の事件に関わった加害者の中でも、手口が際立って残忍なことや、会員から受け取った多額の犯罪収益を得ていたことで知られる。

裁判所は、「特に多くの犠牲者の身元を公開し、修復不可能なダメージを与えた」と指摘。犯行の重大性と犯行による社会的害悪、チョ被告の態度などを考慮すると、「厳しく処罰して長期間社会から隔離する必要がある」と量刑理由を説明した。

また、10年間の個人情報告知と電子足輪の装着30年、児童・青少年関連機関と障害者福祉施設への就業制限10年などを命じた。

 

n番部屋事件とは?

一連の「n番部屋」事件の舞台となったのは、メッセージアプリ「テレグラム」内のチャットルームだった。

2019年7月、大学生記者たちの取材でまず最初に報じられ、その後、創始者とされる「ガッガッ」ことムン・ヒョンウク被告(24)の手口を模倣し、「博士部屋」と呼ばれる類似のチャットを始めたチョ被告の逮捕をきっかけに、一般に広く知れ渡るようになった。

その手口は、まずSNSで自身の身体の一部の写真をのせた未成年を含む女性に接触し、個人情報や裸体の写真を入手することから始まる。チョ被告らは、これらを「周囲にばらまく」などと脅迫の手段として用い、女性にさらなる性搾取物を撮影させ、また自身が指定した人と性行為を強要するなどしていた。

ニュース1によると、捜査の過程で、被害者の女性が多数にのぼり未成年の女性も被害にあっていたこと、単純計算で女性たちを脅して撮影された性搾取動画や画像を見たのは26万人(重複含む)の会員であることなどがが次々と判明。

重複を考慮しても10万人以上とみられる人々が動画を密かに見ていたと推測され、韓国社会を震撼させた。その後の捜査で公務員や教員なども視聴者に含まれていたことがわかっている。

国民日報によると、「n番部屋」「博士部屋」などに関連した一連のデジタル性犯罪を捜査している警察は、9月3日までに、デジタル性犯罪1549件を摘発し、1993人を検挙したという。

ハンギョレによると、創始者のムン被告は、2019年2月から、テレグラム上に1番から8番の8個の秘密のチャットルームを作り、脅迫で入手した映像や共犯者から得た数百の映像を流出させていた。そのことから、事件は総称として「n番部屋」事件と呼ばれている。

 

「博士部屋」で行われていたこと

韓国検察は10月22日、ソウル中央地裁で開かれたチョ被告と共犯6人に対する公判で、「被害者は、厳罰に処して欲しいと涙ながらに訴えている」として、被告に対して、無期懲役と電子足輪45年装着などを命じるよう求めた。

ニュース1などによるとチョ被告は2019年5月〜2020年2月、未成年を含む多数の女性を脅迫し、性搾取的な映像を撮影し、チャットルーム「博士部屋」で販売・流布したなどの罪で2020年4月に拘束・起訴された。検察側によると、被告らは入場料や映像の販売などで犯罪収益を得ていた。

検察はさらにチョ被告と共犯者たちが犯罪団体を組織し、膨大な量の性搾取物を制作・流布したとして、犯罪団体組織罪としても起訴している。

検察側は、チョ被告を「(職員と呼んでいた)多数の構成員で組織されたチャットルームの『博士部屋』を作った首謀者」「私たちの社会は計り知れない衝撃に包まれた」と指摘。「何の罪悪感もなく他の構成員と被害者の映像を見て侮辱し、首謀者だということを誇りにさえ思っていた」と指摘した。

ハンギョレによると、チョ被告は被害者の女性に自ら性的な映像を撮影させるだけでなく、2019年10月には「博士部屋」の会員を被害者女性(15)の元に差し向けて性的暴行をさせ、その映像を流出させるなどの残虐な犯罪も行っていた。

 

創始者「ガッガッ」の裁判

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「ガッガッ」ことムン・ヒョンウク被告
慶北地方警察署

チャットの創始者とされるムン被告(24)、通称「ガッガッ」に対する裁判は韓国・大邱地裁で続いている。

検察側は、未成年者に対する性搾取物を制作・流布したとする児童青少年保護法違反など12の罪で起訴。一度は無期懲役を求刑したが、その後弁論を再開している。

検察側の起訴内容によると、ムン被告が「n番部屋」と呼ばれるチャットルームを創設したのは2019年2月。2020年1月までにムン被告が「n番部屋」にアップロードした性的搾取映像の数は3762本で、確認された被害者数は39人だとした。

また、ハンギョレによると、ムン被告は2017年1月から2019年7月にも、275回にわたって、児童・青少年ら21人に対して性的な映像を撮影するように要求し、送らせていた疑いがある。さらに、2018年11月から2019年3月まで、複数の共犯者と性搾取映像を制作していたことも捜査により明らかになっていた。

検察は、求刑の理由について「被告人は、緻密で計画的、そして個人の欲望の充足のために罪を犯した。多数の被害者が発生し、映像を流通させることで被害を受けさせ続けた」と述べていた。

「ガッガッ」はその後、チャットルームを通称「ケリー」ら他の人々に引き継いで姿を消したが、2020年5月に警察が身柄を拘束した。

また、自身のチャットルームを作り、n番部屋にも画像を流出されていた「ワッチメン」こと、会社員男性のチョン被告(38、氏のみ公表)に対しては、2020年11月、韓国・水原地裁で懲役7年などの有罪判決が言い渡されている。「ワッチメン」は、自身のチャット部屋で、「n番部屋」へつながるリンクを掲載する「仲介役」もしていた。

チョン被告の裁判が始まったのは「n番部屋」事件の全容が判明する前で、検察は当初3年6カ月を求刑していた。しかし、「刑が軽すぎる」との世論の高まりを受けて、検察が弁論再開を申請。ニュース1によると、10月19日、検察は「ワッチメン」に対し、懲役10年6カ月を求刑した。